Myanmarミャンマー中南部イラワジ管区の天然のマングローブ林は、1992年に炭焼きが禁止されるまで、炭生産のために伐採されたり、米の増産政策により天然のマングローブ湿地が水田に転換されたりしてきました。しかし、1994年に植林した者に30年間の森林利用権を与える「社会林業条例(Community Forestry Instruction)」が制定され、今では民間による植林が推進されています。

マングローブ植林活動レポート

植林したマングローブの様子

パダウビンゼイ村
ロッカクヒルギ

ワコン村
ロッカクヒルギ

ワコン村
ムベンハマザクロ

ワコン村
マルバヒルギダマシ

ミャンマーでは、1999年よりNGO「マングローブ植林行動計画(アクトマン)」が、FREDA(ミャンマー森林資源環境開発協会)の協力を得て、FUG(Forest Users Group)という住民による森林利用グループが中心となり、活動を進めています。炭や米の生産のために荒廃した天然のマングローブ林を環境保全森林省森林局の住民参加型の社会林業(Community Forestry)手法により、修復再生することを目的としています。

マングローブ植林活動状況

2022年度は、ンガダンセ村、ワパナ村、カナクウィン村、トンバワティ村、オッポクウィンチャン村、パダウピンゼイ村の6カ所、合計100ヘクタールの植林地に30万2,500本のマングローブを植えました。4月~5月に植栽対象地の藪を切り開いて準備し、雨季である6月~8月に苗木の植え付け作業を実施しました。
植えたマングローブは、マルバヒルギダマシとロッカクヒルギのほか、ホウガンヒルギ、ヒルギモドキ、ヒルギダマシという5種類です。2022年12月時点での活着率は、各植林地の平均が約93%と高く、ここ数年で、活着率が70%を下回ったことはありません。


ワパナ村での植林の様子


カナクウィン村で苗を植え付けている様子


ワパナ村の植林地の雑木を伐開している様子

植林地の様子

昨年まで、FREDA(ミャンマー森林資源環境開発協会)が直轄している苗床は、カチンジュン島の1カ所でしたが、オッポクウィンチャン村のベースキャンプ裏の土地を借りることができたことから、現在は2カ所でマングローブ苗を育てています。新しい苗床の開設により、ピンダイェ森林区北部地域へ苗木を運搬する距離が短縮でき、燃料費が抑えられることを期待しています。
カチンジュンの苗床ではマルバヒルギダマシ25万本、オッポクウィンチャンの苗床ではマルバヒルギダマシとベニマヤプシキを合計8万本、合計33万本の苗木を養生しています。近年、道路開発やカニ養殖など環境の変化によって、満潮時に河口から海水が遡る範囲が広がっていることが、低塩分濃度を好むベニマヤプシキの育成を始めた理由です。今後、ベニマヤプシキがこの植林地での有望種になるかもしれません。
また、FREDAのマングローブ植林活動20年間(1999-2018)を総括した「Twenty Years in Pyindaye(ピンダイェの20年)」が、2022年9月に発刊され、英語版・ミャンマー語版の各500部を、関係各位に配布しました。


カチンジュンの苗床で育つマルバヒルギダマシの様子


オッポクウィンチャン村の新苗床で育っているベニマヤプシキ


ピンダイェ森林区の森林官と植林活動の参加者を交えた会議の様子

今後の活動予定

次年度は、新しい植栽地のカダクウィン村を含めた合計9カ所、100ヘクタールで植林活動を行う予定です。