運転と健康の関係

2012年1月号

今月のクイズ

次の文中の(A)と(B)には、それぞれ何という言葉が入るでしょうか?

失神は、短い時間(数十秒の単位)、血圧が低下して心臓から脳に送る(A)量が少なくなり、脳全体が(B)不足になって意識を失う発作です。

引用:慶應義塾大学病院 KOMPAS

日中、非常に眠くなったり、急に具合が悪くなったりしたことはありますか。もし、運転中に急に体調を崩したり、何かの病気が原因で発作を起こし意識を失ったとしたら、重大な事故を引き起こす危険性があります。ドライバーは安全運転のために日頃から健康な状態を保たなくてはいけません。
今月は、安全運転と健康状態の関わりについてみてみましょう。

年齢が高くなるにつれ、発作・急病が原因で発生する事故の確率は高くなります

ドライバーが運転中に意識を失ったり、心臓や脳の病気で急死したことによって、重大事故が起きたニュースを時折り耳にします。いったいこのような事故はどれくらい起きているのでしょうか。
財団法人交通事故総合分析センターの研究報告書*によると、2001~2006年の6年間にドライバーが運転中に発作・急病により事故を発生させた件数は1,602件あり、年間200~300件も起きています。交通人身事故全体に占める割合は0.03~0.04%で推移していますが、ドライバー本人の死亡率・死亡重症率は発作・急病なしの事故と比べると約5~10倍の高さになっています。運転の操作ができない状態で、スピードを出していたら、人通りが多いところを走行していたとしたら、ドライバー本人ばかりでなく、他者を巻き込む重大事故になる危険性があります。
また、18~54歳、55~74歳、75歳以上と年齢が高くなるにしたがい、発作・急病が発生する事故率は2倍、4倍と高くなります。とくに75歳以上のドライバーは「通院」時の発作・急病の事故率が高く、健康上の懸念があるにもかかわらず、運転して事故を起こすケースが多いことがわかります。

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運転中の失神や意識障害は、誰にでも起こる可能性があります

発作・急病の内容はどのようなものなのでしょうか。
財団法人交通事故総合分析センターの研究報告書*事故例調査データのうち44件をより詳しくみてみると(右表)、発作・急病の種類は脳や心臓、てんかんが最も多く、血圧等が続きます。また、その他の12件で特異なものは、運転する直前に野球をして左胸にデットボールを受けていたという例もあり、病気以外にも発作・急病が発生することがわかります。

運転中の失神や意識障害は、特定の病気を患っている人だけに起こるものではありません。運転の緊張により急激に血圧が変動し、心臓に負担をかけ急性心筋梗塞を起こしたり、脳卒中などにより、失神や意識障害を起こす可能性は誰にでもあります。また、腹痛や風邪などで運転に集中できなかったり、疲労や寝不足で意識レベルが低下するなど、体調を崩して運転することが困難な状態になる可能性もあります。
安全な運転を行うためには、生活習慣を見直し、自らの健康を管理することが大切です。

表:発作・急病事故の発生の状況

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普段から健康状態の維持に気をつけましょう

普段から、規則正しい生活に気を配り健康な状態を維持することは、車を安全に運転する上でとても大切なことです。しかし、不順な天候が続いたり、精神的に落ち込んだりすることで、体調を崩すことがあります。また、自分でも気づかないうちに、病気にかかっていることがあります。
安全な運転を行うために、日頃から次のことに気をつけましょう。

適度な運動・食事・睡眠をとりましょう
定期的に健康診断を受診しましょう
健康診断を受診後、再検査や要治療などの診断結果が出たときは、必ず医師と相談しましょう。
運転前に、微熱や眠気、胸や胃がむかつくなど、体調が優れない場合は運転を控えましょう

薬を服用するときには、説明書や使用上の注意をよく読みましょう
薬に眠気を伴うものなど運転に影響がある成分が含まれている場合は、運転をしてはいけません。
発作を起こす疾患をお持ちの場合は、薬を服用するタイミングを守りましょう。
日中に強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性がありますので検査しましょう
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中にのどの気道(空気が流れる道)が塞がり10秒以上の呼吸ができなく(無呼吸)なったり、呼吸が浅く空気の流れが弱くなる状態(低呼吸)が断続的に繰り返されたりするため、睡眠が浅く、脳へ酸素の供給が悪くなり、質の良い睡眠がとれなくなることをいいます。そのため、運転中に強い眠気におそわれたり、居眠りがちになって重大な事故を引き起こすおそれがあります。
ご家族に就寝中の大きなイビキや無呼吸の指摘をされた覚えのある方は、専門の病院で検査しましょう。
病気治療中の場合は、定期的に通院し、医師の指示を守り、具合の悪いときには運転を控えましょう
次の病気を治療中の方は、運転前に次の症状がある場合、運転を控えましょう。

<高血圧症>□ めまいはないか □ 頭が重い、あるいは痛くないか □ 動悸がしないか □ 脈が乱れることがないか<心血管系疾患> □ 動悸がしないか □ 脈が乱れたり、極端におそくなることがないか □ 息切れはしないか □ めまいはないか □ 気分はどうか □ 胸痛はないか

参考:2010年7月1日 国土交通省自動車交通局 自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会
「事業者用自動車の運転者の健康管理に係るマニュアル」より

快適で安全な運転を行うために、生活習慣を見直し、良い健康状態を保ちましょう。

今月のクイズの答え