ブレーキの特性

2012年6月号

今月のクイズ

2014年10月以降に新しく生産される自動車*に装備することが義務化されるのは、どちらの装置でしょう。次の中から選んでください。

  • (1)ABS (アンチロック・ブレーキ・システム)
  • (2)ESC (横滑り防止装置)

ブレーキは、ドライバーがブレーキペダルを踏み込むだけで、重さ1トンを超える車の速力を落としたり、止める働きをします。もし、ブレーキが作動しなかったら事故を起こす危険があることは言うまでもありません。
今月は、ブレーキの仕組やその特性を解説します。適切で安全なブレーキ操作に役立てましょう。

ブレーキはどのようにして車の走りを制動し、止めるのでしょうか?

タイヤの回転が止まり、タイヤと路面との摩擦力が働くことによって車は停止します。そのタイヤの回転を止める役割がブレーキで、各タイヤの内側の車軸に付いています。
自転車のブレーキを思い浮かべてみてください。レバーを引くとワイヤーが引っ張られ、先端についたゴムがタイヤのホイールを押さえて、その摩擦力によって回転を止めようとします。では、車を止める仕組はどうなっているのでしょうか。
車のブレーキは、大きく分けて「ディスク式ブレーキ」と「ドラム式ブレーキ」があります。ブレーキペダル(下図の(1))を踏み込むと、ピストンのようにマスターシリンダー(下図の(2))の中にあるブレーキ液に圧力が掛かり押し出されます。ブレーキ液は、各タイヤの内側の車軸に付いているディスク(下図の(3))やドラム(下図の(4))に圧力を掛け、その摩擦力によってタイヤの回転を止めます。
ドラム式とディスク式のブレーキは、その性能や起きるトラブルに違いがあり注意が必要ですので、次はその違いをみてみましょう。

図:ブレーキの仕組み

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ブレーキは摩擦によって熱を発し、過熱しすぎるとトラブルが発生します

綱引きのとき、綱を引く手のひらが熱くなります。これは綱と手の間の摩擦により発生する熱です。綱を引いている時間が長くなると、手のひらがさらに熱くなり、その熱を下げるための汗で綱が滑り、綱を引く力が弱まります。
ブレーキ内でもタイヤの回転を抑えるパッドやシューの摩擦により、100度を超える摩擦熱が発生します。適度な使用は問題ありませんが、山道や坂道などでブレーキを頻繁に掛けていると、ブレーキ内の温度が何百度にも上昇しガスが発生して摩擦力が弱くなり、ブレーキの利きが悪くなってしまいます。これを「フェード現象」といいます。とくにドラム式の場合は、ドラムの中にブレーキが入っており、熱がこもりやすいため注意が必要です。アクセルペダルから足を戻すとエンジンの回転が下がる特性(エンジンブレーキ)を応用して、坂道では速度を抑えて運転しましょう。また、ゴムや金属が焦げるような臭いがしたら、車を安全な場所に移動させて止め、ブレーキを冷ましましょう。
一方、過熱したブレーキ液の中に気泡が発生すると、ブレーキに伝えるべき圧力を気泡が吸収してしまいブレーキが利かなくなるおそれもあります。これを「ヴェイパーロック現象」といいます。

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このようなときは注意しましょう

ブレーキ自体に負荷が掛かった場合、どのようにすればよいのかをみてみましょう。

パーキングブレーキが掛かったまま車を発進すると・・・

ブレーキが掛かったままタイヤを回転させようとするので、ブレーキ内の熱が上がりフェード現象を起こします。発進前には必ずパーキングブレーキを解除しましょう。

悪天候時や水溜りのある道路を運転すると・・・

ディスクとパッド、ドラムとシューの間に水膜ができ、摩擦力が弱まってブレーキが利かなくなる危険があります。
排水性の高いディスク式ブレーキを使用している場合は、速度を落として、ブレーキを軽く数回掛け、水膜を取りましょう。
ドラム式ブレーキの場合は、ドラムの中に水が入ると排水することが難しいので、冠水した場所は通らないなど、十分に気をつける必要があります。

ディスク式ブレーキは水以外にもトラブルを起こす要因が・・・

ホイールの隙間から見えるディスクに、タイヤに吹きつけるスプレーなど油性のものが付着すると、摩擦力が無くなりブレーキが利かなくなる危険があります。また、砂や泥の多い海岸や山道では砂利などが詰まって、ブレーキが利かなくなるおそれがありますので注意しましょう。

車体が振動したり、タイヤの方から“キーキー”と音が聴こえたら・・・

ブレーキの部品のさびやゆがみで車体がゆれたり、パッドやシューがすり減って“キーキー”と音が出ることがあります。整備工場などで点検修理してもらいましょう。

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ドライバーのブレーキ操作を補助するシステムとは?

安全にブレーキを作動させるために、最近では各種のブレーキ・システムを装備した車が登場しています。(あくまでも安全運転のための支援システムなので、天候や路面状況、運転の仕方によっては有効に機能しない場合があります。)
次のシステムは、2014年10月以降に生産される自動車*に装備が義務づけられます。

BAS (ブレーキ・アシスト・システム)
ブレーキを踏む力が一定以上の強さを超えた時、少ない力でブレーキを最後まで踏み込むことができます。踏み込む力が弱い人でも、急ブレーキを掛けたとき、ペダルを最後まで踏み込むことができるようになります。
ESC (横滑り防止装置)
ハンドルを切りすぎたときの車体のぶれや、滑りやすい路面での横滑りをセンサーが感知すると、コンピューターが各タイヤに適切にブレーキを掛け、進行する方向を正しく保つよう制御します。これにより、雨や雪により路面状態が悪いとき、カーブでの急ブレーキで車が横滑りして車線の外に出てしまう危険を回避することが可能になります。

ブレーキを適切に作動させるために、次のことに注意して運転しましょう。

今月のクイズの答え