高齢の同乗者をいたわる運転をしよう

2014年9月号

今月のクイズ

2013年中に、自動車に同乗して事故に遭い死亡した人は340人いました。そのうち65歳以上の人が占める割合は、次のうちどれでしょうか?

  • (1)13.5%(46人)
  • (2)33.5%(114人)
  • (3)53.5%(182人)

内閣府の高齢社会白書によると、2013年10月1日の時点で65歳以上の人口の割合は25.1%を占めており、4人に1人が高齢者という状況です。ドライバーの中には、高齢のご家族を病院に連れて行ったり、デイケアセンターに送迎したりする方もいるでしょう。
今月は、同乗する高齢者の安全と、乗り心地を考えた運転の仕方をみてみましょう。

同乗している高齢者は、安定した着座姿勢で正しくシートベルトを着用していますか

2008年~2012年に起きた交通事故データをみると、事故に遭遇したときに同乗者(助手席+後部座席)がシートベルトを着用していると、死亡重傷の割合は大幅に低くなります(図1)。しかし、高齢者はシートベルトを着用していても、助手席が7.2%、後部座席が5.5%も死亡重傷となっており、死亡重傷割合が高いことがわかります。
高齢の同乗者(シートベルト着用)が死亡重傷となる事故内容のうち、車の衝突部位をみると前面(正面と左右前面)が衝突したときに死亡重傷となるケースが74.1%を占めています。また、前面衝突時の推定速度は11km/h~50km/hが死亡重傷者数の76.9%を占めており、低い速度の衝突でも死亡重傷に至ることがわかります(図2)。

図1:年齢別・シートベルト着用有無別にみた同乗者の死亡重傷の割合(2008~2012年)(死亡重傷割合=死亡重傷者数/死傷者数×100) 図2: 高齢同乗者の車が前面衝突した時の速度(推定)別にみた死亡重傷者数(2008~2012年) 出典:公益財団法人交通事故総合分析センター 2014年5月イタルダインフォメーションNo.104「高齢同乗者の事故による傷害」より弊社作成

高齢者の中には、身長が低く体重が軽い人が座席に浅く座ったり、同じ姿勢を長く保つことが困難な人がシートベルトをゆるく着用したりしているケースが考えられます。このような状態においては、車が衝突した時に、身体がシートベルトの下に潜り込み、腰のベルトがずり上がって腹部を圧迫します。また、肩のベルトが胸部や首を圧迫したり、膝が前の座席やダッシュボードに当たったりする等、座席の上で身体が動きやすくなり、重傷に繋がることが考えられます。
また、高齢になるほど骨がもろく、体重が軽くなるので、車の揺れで手足がドア等に当たって骨折したり、首が大きく振れて怪我をしたりする可能性があります。高齢者を乗せて運転する際は、高齢者が安定した姿勢で座りシートベルトを正しく着用しているかを確認するとともに、速度を抑え、急ハンドル急ブレーキを避け、いたわりのある運転を行いましょう。

安定した着座姿勢と、シートベルトの正しい着用の仕方を確認しましょう

安定した姿勢で座席に座り、シートベルトを正しく着用すれば、安全を確保できるとともに高齢者も疲れにくく、快適に乗車することができます。出発前には、高齢の同乗者に声をかけ、着座姿勢とシートベルトの正しい着用の仕方を一緒に確認しましょう。

安定した姿勢で座っているかを確認しましょう

背が低いため座席に深くかけられなかったり、高齢になって背が丸まったりする等、腰と背もたれの間に隙間ができやすくなります。隙間があると、車の振動やブレーキをかけたときにシートベルトの下に身体が潜り込んでしまいます。
高齢者が安定した姿勢で座っているかを確認しましょう。

姿勢:
姿勢がよくなるように背もたれを立てましょう。
着座位置:
腰と背もたれに隙間ができないように深く座りましょう。
隙間:
腰と背もたれに隙間があるときは、薄いクッションなどを利用して埋めましょう。
  • 注意
    座席の上にクッションを置く場合は、腰が前に動かないように、座席に固定できるものか、滑り止めが着いたクッションを置いて座りましょう。

シートベルトを正しく着用しているかを確認しましょう

シートベルトの圧迫がきついと感じ、腰のベルトを緩めてバックルを差し込んだり、肩ベルトを手でおさえたりすることがあります。シートベルトにたるみやズレがあると、安定した姿勢を保てなくなる可能性があるので、着用時に高齢者と一緒に確認しましょう。

肩ベルト:
肩から胸骨を押さえ、首にかからないように着用しているか確認しましょう。
腰ベルト:
腹部の下の位置に左右の骨盤を挟むように着用しているか確認しましょう。
バックル:
差し込んだ後、しっかり接続されているかを確認しましょう。
たるみ:
ベルトに締めすぎやたるみ、よじれがないことを確認しましょう。

いたわりのある安定した運転を心がけましょう

車の揺れが大きいと身体に負担がかかり、車酔いを起こします。特に、身体を自由に動かすことができない要介護の高齢者にとっては、身体への負担を強いるとともに不安を抱かせてしまいます。安定した運転は、エコ運転を心がけることで実行できます。高齢者が同乗するときは、エコ運転を実行し、車の揺れを少なくし、地球にも高齢者にもいたわりのある安定した運転を行いましょう。

出発:
ブレーキから足を外し、車が動き出したら、アクセルを徐々に踏み込んでゆるやかに出発しましょう。
走行:
遅すぎず速すぎず、一定の速度で、ムラの無い走行をしましょう。
カーブ:
十分に減速し、横ゆれしないようにハンドル操作を行いましょう。
停止:
早めにアクセルから足を離し、エンジンブレーキを使って徐々に減速しましょう。
そっとブレーキを踏むだけで止まれるようにしましょう。

高齢者を乗せて出発する前に、安定した姿勢で座っているか、シートベルトを正しく着用しているかを確認しましょう。走行するときは揺れが少ない安定した運転を行いましょう。

今月のクイズの答え