新入社員に安全運転を指導するには

2016年4月号

今月のクイズ

20~24歳の若手ドライバーが、2014年中に起こした交通事故の原因のうち、最も多かった法令違反を、次の中から選んでください。

  • (1)運転操作不適 (正しい運転操作をしていなかった)
  • (2)安全不確認 (周囲の安全確認を怠った)
  • (3)わき見運転 (カーナビ等、運転以外の方向に目が向いていた)

フレッシュな新入社員が入社する時期になりました。業務で社有車を使用する企業では、「新入社員にすぐに社有車を運転させて大丈夫かな?」と心配していませんか?新入社員は学生時代にほとんど運転しておらず運転に不慣れな場合が多く、ベテランドライバーよりも事故を起こす可能性があります。また、運転マナーが悪いと社会的な企業イメージを損ねかねません。
今月は、新入社員への安全運転の指導の仕方を考えてみましょう。

新入社員は運転に不慣れで、不安を抱えている

日本製薬工業協会によると、2010年度に医薬品会社にMR(医薬品の営業として医療機関を訪問する担当者)として入った新入社員が配属後1年間に起こした有責事故(ドライバー側に少しでも過失責任がある事故)の発生率は5割を超え、同年度の全MRの発生率(約2割)に比べ高くなっています。
また、入社前の運転状況の調査によると「ほとんど運転しない」が33%、「月1回運転」が31%で、約6割が運転の経験が浅いまま入社していました(図1)。新入社員は運転に不慣れで、不安を抱えていると考えられます。
運転経験の浅い新入社員は、医薬品会社に限りません。新入社員への安全運転の指導が重要です。

図1:新入社員MRの入社前の運転状況 (出典:日本製薬工業協会「環境報告書2013労働安全衛生活動」より弊社作成)

安全確認や危険予測の大切さを教えましょう

20~24歳の若手ドライバーが起こした交通事故の原因を法令違反別にみてみると、周囲の安全確認を怠った「安全不確認」と、カーナビや携帯電話等を見て危険に気づかない「わき見運転」が最も多くなっています(図2)。次いで、相手の動きをよく見ていなかった「動静不注視」、考え事やぼんやりして運転する「漫然運転」等が続き、若手ドライバーの約8割が、安全運転の義務に違反して事故を起こしています。運転経験が浅い若手ドライバーは、交通場面での「危険を知らない」ため「安全確認の対象や方法が解らない」状態にあると考えられます。また、安全確認の対象や方法を理解していたとしても、その通りに運転できるとは限りません。
新入社員には「危険を知り、安全確認の対象や方法を覚える」「その通りに正しく実践する」ことを指導しなくてはなりません。

図2:20~24歳のドライバーの法令違反別交通事故発生状況(2014年中) (出典:警察庁「平成26年中の交通事故の発生状況」より弊社作成)

新入社員が運転に慣れるまでは同乗し、安全運転のポイントを指導しましょう

運転前には必ず「不安なことや難しいと思うことはないか」をたずね、新入社員の話をよく聞きましょう。また、新入社員が運転に慣れるまでは同乗し、次のような安全運転のポイントを指導しましょう。

Point1:安全確認すべき対象を教えましょう

信号のない交差点等で「人も車も来ないからそのまま進行しよう」と安易に判断すると、大きな事故につながる危険性があります。
新入社員に先にある危険を知ってもらうために、さまざまな交通場面で「あっ、危ない」と自らが経験した話を交えながら教えましょう。たとえば、信号のない交差点等で「人や自転車、車が交差する道路では急に飛び出してくる可能性がある」と、安全確認すべき対象を教えましょう。常に「危険が潜んでいるかもしれない」とその先の危険を予測して、運転するように指導しましょう。

Point2:声を出して安全確認を行わせましょう

声出し確認は、新入社員が安全確認すべき対象をはっきりと意識させる手助けとなります。安全確認すべき対象を理解していないまま、目で見るだけで確認していると「なんとなく確認した」という習慣がついてしまい、見落としが発生する危険性があります。
「対向車が来ない」「周囲に人がいない」ことを、目で見てしっかりと認識させるために、「対向車よし」「歩行者よし」と声を出して安全確認を行うように指導しましょう。

Point3:運転に集中できる環境をつくるように指導しましょう

1秒にも満たないわき見が事故につながります。カーナビや携帯電話は、車を安全な場所に停めてから操作するように指導しましょう。
また、運転の途中で携帯電話の通知音が鳴ると、運転から注意がそれてしまう危険性があります。携帯電話はドライブモード(公共モード)に設定し、カバン等に入れて、運転に集中できるような環境をつくるように指導しましょう。

Point4:時間に余裕をもった訪問スケジュールをたて、早めに出発するように指導しましょう

運転に不慣れなうえ、訪問する経路を把握していなかったり、時間の余裕がなかったりすると、必要以上に焦ってしまいます。そうなると、相手の動きを見過ごしたり、運転操作を誤ったりして事故を起こしやすくなります。
時間に余裕をもった訪問スケジュールをたて、早めに出発するように指導しましょう。

周囲から見られていることを意識させ、企業ドライバーとしての自覚をもたせましょう

まずは、自分の運転行動は周囲から見られていると意識させ、企業ドライバーとしての自覚をもたせましょう。事故に至らなくても、運転マナーが悪いと「あの企業は運転が乱暴だ」と噂が広がり、企業イメージが損なわれます。車体に会社名が入っていなくても、ユニフォームや荷物などから会社名が露見することがあります。さらにSNS(ソーシャルネットワークサービス)などを通じて不名誉な情報が公開される可能性があります。法令を遵守し、ゆとりある丁寧な運転を行うことは、企業イメージのアップにつながります。

新入社員には、安全運転のポイントを教え、企業ドライバーとしての自覚と責任感をもつように指導しましょう。

今月のクイズの答え