「危険予測」で事故を未然に防ぐ

2016年7月号

今月のクイズ

朝の住宅街を走行中です。○で囲まれた4箇所には危険が潜んでおり、走行するうえで注意が必要になります。それぞれ、どのような危険が予測できるのか説明してください。

朝の通学路を「速度30km/h以内に落としているから大丈夫」と思い込んで走行していると、子どもの急な飛び出しに気づくのが遅れ、人身事故を起こす危険性があります。たとえば「手を振っている子どもや、手を振っている先の子どもが道路に飛び出してくるかもしれない」といった危険が予測できれば、車をすぐに停止できる状態で走行したり、また、軽くクラクションを鳴らして注意を促すことで、事故防止につながります。
今月は、変化する交通状況の中で「危険予測」を行う重要性について考えてみましょう。

「危険予測」をすると、余裕をもって事故を防ぐことが可能になる

走行中、ドライバーは周囲を目で見て、危険と判断したらブレーキを踏むなどの操作を行います。しかし、目で見える範囲は限られているため、車の陰から人が飛び出してきたり、前の車が急ブレーキをかけたりするなど予想外の出来事が起きると、対処しきれず事故に至ります。そこでドライバーはあらかじめ、その先で起こりうる危険を予測することによって、危険に対する準備ができ、事故を未然に防ぐことが可能になります。
危険予測をしていた場合と、していなかった場合に分けて、危険に気づいてから事故を回避する行動に移すまでの反応時間をみてみましょう(図)。走行中、まったく危険予測をしていなかった場合の「驚愕反応時間」は1.5秒です。ブレーキなどの操作が必要だと危険予測していた場合の「予測反応時間」に比べ2倍の時間がかかります。走行速度が40km/hの場合、「驚愕反応時間」と「予測反応時間」の差は距離にすると約8m(車2台分)になります。危険予測をしていれば、それだけ余裕をもって行動に移すことができます。
交通状況は刻々と変化しますので、「次に何が起こるのか」、「車や歩行者はどんな行動をするのか」と常に危険予測をすることは、安全で余裕のある運転を行うために重要なポイントになります。

図:危険に気づいてから事故を回避する行動に移すまでの反応時間(長山泰久 大阪大学名誉教授 調べ) (出典:JAF(一般社団法人日本自動車連盟)HP「危険予知・事故回避トレーニング」より弊社作成)

どのように危険予測を行えばよいのか

人や車の動き・見えない箇所・交通状況の変化などに潜む危険を的確に予測できれば、事故を未然に防ぐことができます。どのように危険予測を行えばよいのか考えてみましょう。

(1) 見えている人や車が危険な動きをする可能性を考えましょう

「人が飛び出すことは滅多にない」、「自車が見えているはずだから、対向車は車線をはみ出さない」という自分に都合の良い思い込みは、相手の行動を見誤って事故を起こす危険性があります。人や車の動きに注意を向ければ、危険を察知した際に回避行動をとりやすくなります。

人や車の多い住宅街を走行するとき

人通りが多く歩道が狭いと、人が車道にはみ出してきたり、自転車が後方確認をせずに道を横切ろうとする危険があります。特に子どもは、目の前に夢中になることがあると、周囲をよく見ないで行動する傾向があります。手を振っている子どもが車道に飛び出してくる危険がある一方で、車道の反対側にいる子どもが飛び出してくる危険もあるので、行動をよく観察し注意を払いましょう。
また、対向車が人を避けようと自車線にはみ出してくる危険もあります。速度を十分落として周囲に注意を払いながら走行しましょう。

今月のクイズの答え

(2) 見えない箇所に危険が潜んでいるかもしれないという意識をもちましょう

見通しの悪い交差点や停車中の車の陰、また自車の後方部分にできる死角など、走行中に安全確認が難しい箇所があります。「特に人影は見えないし、大丈夫だろう」と思わずに、「人や自転車が潜んでいるかもしれない」と意識しましょう。

見通しの悪い交差点を通過するとき

一時停止した場所から確認できる範囲はごくわずかで、交差する道路の死角から人や自転車が飛び出してくる危険があります。また、交差点によっては人や自転車も、一時停止した車を確認することができません。見通しが悪く信号のない交差点では、所定の場所で一時停止した後、ゆっくりと前に進み出て交差する道路に車の頭を出し、もう一度一時停止しましょう。相手に通過する自車の存在を知らせたら、安全確認を行い、通過するときは、徐行で周囲を注意しながら進みましょう。

(3) 交通状況に応じた危険予測を行いましょう

ドライバーは目の前の交通場面の中から、危険な箇所をピックアップして次に起こることを予測して運転操作を行います。しかし、交通状況は刻々と変化するので、危険な箇所も変化したり新たに現れたりします。危険予測も交通状況に合わせて対処しましょう。

信号のある交差点を右に曲がるとき

対向車やその陰に潜むバイク、歩行者の通過など注意していた対象が無事に交差点を通過しても、すぐに右折するのは危険です。先ほどまで確認できなかった自転車が、右後方から猛スピードで横断歩道に進入する危険があります。もう一度、右後方も安全確認してから右折しましょう。

危険予測トレーニングが実施できるサイト

交通状況に合わせた危険予測を行い、注意を払って事故を未然に防ぎましょう。