高齢ドライバーの安全運転について~75歳以上のドライバーのご家族や周囲の方へ~

2016年9月号

今月のクイズ

2015年末の運転免許保有者全体のうち約21%が65歳以上で、5人に1人が高齢ドライバーになります。では、75歳以上のドライバーが運転免許保有者全体に占める割合を、次の中から選んでください。

  • (1)1.8%
  • (2)3.8%
  • (3)5.8%

75歳以上になると、運転免許の更新時に高齢者講習に加え、記憶力や判断力を測定する予備検査を受けることが義務づけられています。
今月は、予備検査が必要とされている背景を知り、75歳以上の高齢ドライバーの事故の実態や、運転に関する認識を理解することを通じて、高齢ドライバーの安全運転について考えましょう。

75歳以上のドライバーの死亡事故は、75歳未満に比べ約3倍

2015年中の運転免許保有者10万人あたりの交通事故発生件数*を、20~74歳と75歳以上で比較すると、75歳以上のドライバーの発生件数は約1.2倍増えます。さらに、死亡事故になると約3倍にもなり、75歳以上のドライバーによる重大事故が多いことがわかります。
この死亡事故を法令違反別にみると、75歳以上のドライバーは運転操作を誤った「運転操作不適」が3.27件と最も多く、20~74歳のドライバーと比較すると約8倍になります(図1)。また、逆走など通行が許可されていない部分を走行した「通行区分」、一時停止を怠った「一時不停止」、信号のない交差点などで優先車両の通行を妨害した「優先通行妨害」等は5倍以上も発生しています。加齢による視機能や、交通状況を正しく認識・判断・操作する機能の低下などにより、重大事故を引き起こしていると考えられます。

図1:年齢層別・法令違反別にした運転免許保有者10万人あたりの死亡事故発生件数(出典:警察庁交通局 平成28年3月「平成27年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法取締り状況について」より弊社作成)(*警察庁交通局 平成28年3月「平成27年における交通事故の発生状況」「平成27年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法取締り状況について」より)

注意力の衰えや運転操作の遅れに関しての認識が甘くなっている

警察庁が行ったアンケートで、75歳以上のドライバーに「運転に関して、若い頃と比べて変わったと感じるか」を聞いたところ、信号機や一時停止の見落し、ハンドルやブレーキの操作、車線からの逸脱に関しては4割以下にとどまっており、死亡事故の発生状況とのズレが生じています(図2)。また、半数以上が「経験を積み、上手に運転できるようになった」と回答しており、運転に自信がある様子がうかがえます。
身体の衰えは感じるものの、周囲に対しての注意力の低下や運転操作の遅れなどに関しての認識が甘くなっています。くわえて、自身は経験豊富で「安全運転をしている」という自信が、目の前にある危険を見逃し重大事故につながっているといっても過言ではありません。

図2:「運転に関して若い頃と比べて変わったと感じるか」アンケート(対象:75歳以上のドライバー)(出典:平成26年6月 警察庁交通局運転免許課「高齢運転者による交通事故防止に関するアンケートの実施について」より弊社作成)

高齢ドライバーに安全運転を続けてもらうために…

高齢ドライバーになったら、身体の衰えを素直に受け入れ、それを補う慎重な運転を心がける必要があります。高齢ドライバーに安全運転を続けてもらうためにはどうしたらよいのか、一緒に考えましょう。

安全運転を継続するための話し合いをしましょう

高齢ドライバーに「危険だから運転を控えてほしい」と言っても、買い物や通院など日常の移動に支障をきたしたり、運転の楽しみを奪われることに抵抗があったりして、すぐに運転を控えてもらうことは難しい場合が多いと考えられます。
まずは、高齢ドライバーの話をよく聞き、なぜ車の運転が必要なのかを理解しましょう。その上で、車に同乗するなどして、日頃どのような運転をしているかを把握しましょう。運転の継続のためには、周囲から「危ない」、「こんな癖がある」と言われた客観的な意見を素直に受け入れ、改善する柔軟さが必要なことを伝え、今後の運転の仕方について十分に話し合いましょう。

視機能の低下を自覚し、慎重に運転するよう促しましょう

加齢とともに視力の低下や視野が狭くなり、さらに眼球を動かす筋肉も衰え、動体視力が低下します。そうなると、運転中に標識や歩行者、車両の動きを的確にとらえることが難しくなり、事故を起こす危険性が高くなります。
視機能の低下や、物の動きに対する反応が遅れてしまうことを自覚してもらい、慎重に運転するよう促しましょう。

確実に安全確認を行うために、一時停止と声だしの習慣をつけてもらいましょう

運転経験が豊富になると、一時停止する場所や見通しの悪い交差点で「何も通らないから大丈夫」と勝手に思い込み、一時停止しなかったり安全確認を怠ったりして事故を起こす危険性があります。
一時停止の標識がある場所では必ず止まり、「右よし!左よし!」と声をだして安全確認を行う習慣をつけてもらいましょう。声をだすことによって、危険の見逃しを防ぐことにつながります。

高齢運転者標識(シルバーマーク)をつけましょう

シルバーマークは、70歳以上のドライバーが運転していることを意味しています。このマークをつけた車に対する幅寄せ・割り込みなどの危険な行為は、交通違反となります(道路交通法第71条第5号の4)。
高齢者が運転していることを周知するためにも、必ずシルバーマークをつけましょう。

体調が優れないときや通院時は運転を控えるよう促しましょう

「体調がよくないけど大丈夫」と無理に運転すると、途中で体調が悪化して事故を起こす危険性があります。また、通院に車を運転する場合、病気の種類や注射などの治療の影響で運転に支障をきたすことがあります。
体調が優れないときや通院時は車の運転を控え、タクシーなど別の交通手段で移動するよう促しましょう。

こんなことはありませんか?

次のようなことが何回もある場合は、ご本人とよく話し合い、病院やお近くの免許センターへ一緒に相談に行きましょう。

高齢ドライバーに安全運転を続けてもらうために、日頃から慎重な運転と、確認を行う習慣を心がけてもらいましょう。車にはシルバーマークをつけ、体調が優れないときは運転を控えるよう促しましょう。

今月のクイズの答え