To Be a Good Company

霧の中で事故を起こさないようにするには…

2017年9月号

今月のクイズ

昼間に走行中、霧が出てきて前方が見えにくくなりました。視界を確保するために適切と思われる対応を次の中から選んでください(ただし、フォグランプ(霧灯)は装備していません)。

  • (1)
    ヘッドライトを上向き(ハイビーム)にして点ける
  • (2)
    ヘッドライトを下向き(ロービーム)にして点ける
  • (3)
    ヘッドライトは点けない

「霧が出てきたな」とそのまま走行を続けていたら、急に前が見えにくくなり「ヒヤリ」とした経験はありませんか?
今月は、霧が発生しているときの事故とその危険性を通し、霧の中で事故を起こさないようにするための対応方法について考えてみましょう。

霧のときは道路が滑りやすく、視認性が低下して見誤る事故が多くなる

霧のときに起きた事故(2016年中)のうち、路面の状態が「湿潤」だった割合は約31.5%でした。事故全体(全天候)のうち、路面が「湿潤」だった割合は約15.1%であることから、約2倍も多くなっており、路面が濡れて滑りやすい状態になっていることがわかります。
事故発生時の道路形状のうち、「カーブ・屈折」が占める割合を比べると、霧のときは7.5%で、事故全体(約2.8%)の3倍近い発生率になります。晴天時でもカーブを曲がるときは先の見通しが悪く、前の車との追突や対向車との衝突の危険性があります。霧がかかると視認性がさらに低下するので、他車の動きを見誤ったり、カーブ自体を見落としたりする危険が生じます。
一方、交通事故に占める死亡事故の発生割合を比べると、霧のときは2.0%で、全気候にかかわらず事故全体(約0.8%)の2.5倍となっています(図)。霧がかかると道路が滑りやすく、周囲が見えにくい状態になるので、そのまま運転を続けると重大事故を起こすおそれがあります。

図:天候別にした交通事故に占める死亡事故の割合(2016年中) 本文及び図の出典:公益財団法人交通事故総合分析センター 平成28年 交通事故統計表データ「地形別 路面状態別・昼夜別 天候別 事故件数」「地形別 道路形状別・昼夜別 天候別 事故件数」「都道府県別・昼夜別 天候別 事故件数」より弊社作成

霧は、水分を含んだ暖かい空気が冷えるときに、その水分が細かい水滴に変化して発生します。日中の日差しにより温められた地面は夜になると冷えるため、その影響で地表の気温も下がり、翌朝にかけて霧が発生しやすくなります。特に、盆地は風が弱いため霧が流されずに留まるので、霧が出ているときの運転は危険です。
また、暖かい空気は坂をたどってのぼっていきます。山などの高度が高いところでは気温が低いため、霧が発生しやすくなります。そのとき上り車線を走行していれば、次第に霧が濃くなりセンターラインも見えにくい状態に陥る危険性が生じます。

図:霧が発生するしくみ図:霧が発生するしくみ

霧の中を走行中に、事故を起こさないようにするには…

霧は、熱いお茶から出る湯気と似ており、周囲の気温が低いほど湯気の量は多くなります。冷まそうと息を吹きかければ、湯気は流れて一瞬消えそうになりますが、お茶は熱いままなのですぐに湯気が立ちのぼります。霧も強い風が吹けば流れますが、気温の差はすぐに縮まらないので、風がやむと再び霧が立ち込めます。湖や川、海などの岸辺は空気中の水分量が多いので、数日にわたり霧が続くこともあります。
では、霧の中を走行中に事故を起こさないようにするには、どうすればよいのかをみてみましょう。

Point1:霧の注意報が出ている場合は、車の運転を控えましょう

「今日は冷え込んだな」と思ったら、天気予報で霧の予報が出ていないかチェックしましょう。特に、山間部や高速道路を走行するときは交通情報もチェックし、霧や濃霧の注意報が出ている場合は、車の運転を控えましょう。

Point2:走行中に霧が出てきたら、速度を落とし、車間距離を十分にとりましょう

走行中に霧が出てきたら、徐々に視界が悪化することを考慮しなければいけません。霧の中から車や障害物が不意に現れるなどの事態にも対応できるように、速度を落とし、車間距離を十分にとりましょう。

Point3:ヘッドライトは、下向き(ロービーム)にしましょう

「前方の視界を確保したい」とヘッドライトを上向き(ハイビーム)にすると、光が霧で乱反射し、視界が低下してしまいます。ヘッドライトは下向き(ロービーム)にしましょう。フォグランプ(霧灯)を装着している場合は、フォグランプを点けましょう。

Point4:危険を感じたら、安全な場所に移動して停車し、霧が晴れるまで待ちましょう

「前後の車が見えにくくなった」、「センターラインを視認できる距離が短くなった」と感じたら、事故が起きる危険が高くなっています。無理に運転を続けず、安全な場所へ移動し、停車しましょう。その際、道路わきに停めると後続車に追突される危険性があります。必ず、近くの駐車場など事故を誘発しない場所に停車しましょう。また、周囲の音から状況をつかむこともできるので、移動するときは窓を少し開けましょう。
安全な場所に停車したら、ラジオやスマートフォンなどを利用して天気や交通の状況を把握し、慌てずに、霧が晴れてから走行しましょう。

霧の中を走行するときは、
(1)速度を落として車間距離を十分にとり、ヘッドライトは下向きにしましょう。
(2)危険を感じたら、安全な場所に停車し、霧が晴れるのを待ちましょう。

今月のクイズの答え