トンネルでの重大事故を防ぐために

2017年11月号

今月のクイズ

2015年4月現在、高速道路に設置されているトンネルは1,021箇所で、全国のトンネル総数の約10%を占めています。では、2016年中に全国のトンネルで発生した死亡事故のうち、高速道路のトンネルで発生した死亡事故はどれくらいの割合を占めているか次の中から選んでください。

  • (1)約16%
  • (2)約26%
  • (3)約36%

トンネルのような閉鎖された空間では、ひとたび事故が発生すると他車を巻き込む重大事故に発展する危険性があります。
今月は、トンネルで発生した重大事故の傾向を通し、事故を防ぐための方法をみてみましょう。

トンネルでは、短い車間距離や速度超過、無理な運転が重大事故につながる!

2016年中にトンネルで起きた全事故と死亡事故を比べて、重大事故の傾向をみてみましょう。
発生時の事故類型(事故の種類)の割合をみると、全事故では追突が最も多く、死亡事故では追突が半分以下に減りますが、正面衝突は5.8倍、車両単独は4.6倍に急増します(図1)。
事故を起こしたドライバー(第1当事者)の行動類型(運転時の行動)の割合をみると、全事故・死亡事故ともに等速(一定の速さ)で直進しているときの事故が最も多くを占めています(図2)。全事故では減速時や発進時などが続きますが、死亡事故になると速度が出ている状態でアクセルをさらに踏み込む加速時や、左右への進路変更が増えます。

図1:トンネルの交通事故/事故類型別の全事故と死亡事故の割合(2016年中) 図2:トンネルの交通事故/行動類型別の全事故と死亡事故の割合(2016年中) 出典:公益財団法人交通事故総合分析センター 平成28年 交通事故統計表データ「地形別 道路形状別・事故類型別 事故件数」「地形別 道路形状別・行動類型別 事故件数(第1当事者)」より弊社作成

トンネルの入口や出口を通過するときは、急に暗くなったり明るくなったりして、一瞬前が見えにくくなります。目が周囲の明るさに慣れて見えやすくなるまで数秒かかり、その間ドライバーは不安を感じて速度を落とすことがあります。もし、前車との車間距離が短いままトンネルに入ったり出たりした場合、速度を落としている前車に気づかずに追突する危険が生じます。
一方、トンネル内は左右の側面から天井まで壁で覆われた空間が続くので、カーブの見通しが悪かったり、緩やかな下り坂に気づかなかったりする場合があります。トンネル内で無理な進路変更や追い越しなどをすれば、他車と接触し死傷事故を引き起こす可能性があります。さらに、速度が出ている状態で運転操作を誤れば、ピンボールのように左右の壁面に衝突を繰り返し、次々に車を巻き込む重大事故につながる危険にさらされます。

トンネルを安全に通過するために…

トンネルでの事故を防ぎ、安全に通過するための方法をみてみましょう。

長いトンネルに入る前は、眠気を吹き飛ばそう!

トンネル内は景色の変化がなく、目からも耳からも刺激が入らないため、距離が長くなるほど眠気をもよおすことがあります。長いトンネルに入る前に眠気や疲れがある場合は、安全な場所で休憩してから通過しましょう。

トンネルに入る前にライトを点け、トンネルを出てからライトを消す

トンネル内での視界を確保するため、ヘッドライトを点けましょう。また、入口・出口では対向車に自車の存在を知らせるため、トンネルに入る前にライトを点け、トンネルを出てからライトを消しましょう。

速度をコントロールし、車間距離を十分にとる

トンネル内が緩やかな下り坂になっていると、気づかないうちに速度が出て、車間距離が短くなる傾向があります。スピードメーターをこまめに確認して安定した速度を保ち、十分な車間距離を維持しましょう。

視線を遠くに向け、車線の中央を走行する

トンネルを走行していると、壁に目が向きがちになり車線の左側に寄ったり、壁が怖くて右側に寄ったりして、事故を起こす危険性があります。
姿勢を正してまっすぐ前を向き、視線を遠くに向けて、車線の中央を走行するように心がけましょう。

トンネルは原則として、追い越しが禁止されている

トンネルでは追い越すための進路変更や、前の車の側方を通過する行為は禁止されています(道路交通法第30条第2号)。ただし、片側が2車線以上あり、白線で区切られている場所では、進路変更や追い越しをすることができます。しかし、トンネル内で前の車を追い越す運転は事故につながりやすいので、トンネルを出るまで自車の車線を走行しましょう。やむを得ず前の車を追い越すときは、周囲の安全を十分に確認し、ウインカーを点けて意思表示を行い、ゆっくりと移動して進路変更を行いましょう。

落下物を発見したときは…

トンネル内に落下している部品の破片やビニール袋などは、トンネルの外に排出されずに風圧で道路上を浮遊し、運転操作に支障をきたすおそれがあります。落下物を発見したら速度を落とし、注意を払いながら通過しましょう。トンネルを出て安全な場所で停車し、道路緊急ダイヤル【#9910】に通報しましょう。

トンネルを通過するときは、ヘッドライトを点け、速度をコントロールして十分な車間距離を保ちましょう。視線を遠くに向け、車線の中央を走行しましょう。

今月のクイズの答え