ハンドル操作は余裕をもって適切に

2018年7月号

今月のクイズ

2016年中に、車両による交通事故の死亡事故率*は0.7%でした。そのうち、ハンドル操作の誤りによる死亡事故率を、次の中から選んでください。

  • (1)1.4%
  • (2)4.4%
  • (3)7.4%
  • *死亡事故率=死亡事故件数÷全交通事故件数×100

人通りが多い道路を走行中に、駐車車両の前後などから不意に人や自転車が飛び出してきて、慌ててハンドルを切ったことはありませんか?
今月は、ハンドル操作の誤りで起きた事故を通し、適切なハンドル操作を行うためにはどうしたらよいかを考えてみましょう。

ハンドル操作の誤りによる死亡事故が多い

2016年中に車両の運転操作の誤りで起きた死亡事故は600件で、そのうち「ハンドル操作不適」が65%を占め、「ブレーキ・ハンドル同時操作」を含めると、ハンドル操作の誤りによる事故は7割を超えています(図1)。ハンドル操作不適事故の内訳をみると、工作物への衝突や路外への転落などの「車両単独」事故が約76%と最も多く、「正面衝突」事故が約16%と続きます。ハンドル操作を誤り車線を逸脱すると、工作物や対向車に衝突して死亡事故を起こす危険性が高い様子がうかがえます。


図1:車両の運転操作の誤りで起きた死亡事故の割合(2016年中)

「慌て」や「パニック」がハンドル操作を誤らせる

2004~2013年の10年間に起きた交通事故のデータをもとに、ハンドル操作の誤りによる事故時の状況をもう少し詳しくみてみましょう。事故直前の速度(危険認知速度)は、約半数が40km/hを超えており、その速度の割合は他の操作の誤りに比べ約3~9倍も高くなります(図2)。道路の形状別にみると、カーブでの発生割合が最も多く、次いで直線道路となっています。時間帯は、深夜0時~朝5時台が多く、特に24歳以下の若者は他の年齢層より深夜の発生率が高くなります。
さらに、交通事故例調査データをもとに、ハンドル操作を誤って事故を起こしたときのドライバーの人的要因をみると、「慌て、パニック」が最も多く、「運転技量・経験不足、過信」「飲酒」が続いています(図3)。
「直線道路で人や自転車が飛び出してきた」「速度が出ている状態でカーブに差し掛かった」などの状況に直面した際、慌てたりパニックを起こしたりしてハンドル操作を誤り、重大事故を起こしていると考えられます。また、深夜から朝にかけては、交通量が減るため速度を出しやすい時間帯であると同時に、疲れや眠気から注意力が散漫になるため、危険が迫ったとき、適切にハンドル操作できない状況が生じます。特に若者は運転経験が浅く技能も未熟なので、速度を出しすぎてハンドル操作を誤る危険性が高くなります。


図2:運転操作不適事故の危険認知速度の比較(2004~2013年)


図3:ハンドル操作不適事故の人的要因(複数回答あり)

適切なハンドル操作を行うためには

慌てず安全にハンドル操作を行うためには、どうしたらよいのかをみてみましょう。

正しい運転姿勢を保ちましょう

リラックスしすぎた運転姿勢だと、肘が伸びた状態なので余裕のあるハンドル操作ができません。一方、前かがみで背中が背もたれについていない運転姿勢だと、肘が曲がりすぎているため、大きく早くハンドルを切る操作が困難になります。
座席に深く座り、肩甲骨から腰までをぴったりと背もたれにつけた状態でハンドルを両手で握ります。そのとき、肘が少し曲がるように、背もたれと座席の位置を調整しましょう。ハンドルの高さも、操作しやすく計器が見やすい位置に合わせましょう。
また、運転中に片手でハンドル操作をしていると、飛び出しなど不意に現れた危険に対応できず衝突する危険性があります。ハンドルを両手でしっかりと握り、正しい姿勢を保って操作しましょう。

運転に集中し、車間距離を十分にとり、車線の中央を維持しましょう

前の車が急停止したとき、車間距離が短いと、ブレーキを踏み込むと同時に、追突を避けようとハンドルを切りすぎて車線を逸脱し、事故を起こす危険性があります。また、ぼんやりと運転していると、ハンドル操作から意識が離れてしまうため、気づかないうちに車線を逸脱するおそれがあります。
常に運転に集中し、車間距離を十分にとって、車線の中央を維持するようにハンドルを操作しましょう。

速度をコントロールしましょう

速度が出ているほど車は前に進もうとする力が強くなるため、前方の危険に気づいてハンドル操作をしても、間に合わずに事故を起こす危険性があります。また、減速せずにカーブに差し掛かった場合、車は車線を逸脱し、対向車と正面衝突したり道路わきの工作物に衝突したりするおそれがあります。そのとき、カーブを曲がりきろうとハンドルを内側に切りすぎると、車は大きく回転し重大事故につながってしまう場合があります。
走行中は、スピードメーターをこまめに確認して速度をコントロールし、カーブに入る前に十分減速しましょう。特に夜間は交通量が減り、速度を出しやすい状況になるので、速度コントロールを怠らないようにしましょう。

慌てず適切なハンドル操作を行うためには、
(1)正しい運転姿勢を保ち、ハンドルは両手でしっかりと握りましょう。
(2)車間距離を十分にとり、車線の中央を維持して、速度をコントロールしながら走行しましょう。

今月のクイズの答え