渋滞回避は事故回避につながる

2018年8月号

今月のクイズ

NEXCO西日本管内の高速道路で、2016年中に起きた渋滞発生時の死傷事故率*は、渋滞していないときに比べどのくらい比率が高かったでしょうか?

  • (1)10倍以上
  • (2)20倍以上
  • (3)30倍以上
  • *死傷事故率:交通量(台)×距離(km)あたりで発生する死傷事故の件数

夏休みを使って海に山に、帰省のために長距離ドライブの計画を立てている方もいらっしゃることでしょう。しかし、行楽シーズンにつきものの渋滞は悩ましく、前の車に追突しそうになってヒヤッとした経験をおもちの方もいらっしゃるのではありませんか?
今月は、渋滞が発生する原因を分析し、渋滞時の事故の危険性を踏まえて、安全で楽しいドライブにするためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

交通量が多くなると渋滞が発生し、事故につながる危険性が高くなる

交通量(道路のある地点を一定の時間内に通過する車の台数)が少ないときは、車間距離を十分にとることができるので、ドライバーはストレスを感じることなくスムーズに走行できます。
ところが、朝夕の通勤時間帯などの交通量が多いときは、一台の車がコンビニに入るためブレーキを掛け減速しただけで、後続車が次々にブレーキを踏んで速度が落ち、自然に渋滞が発生します。特に、信号付近では、青信号の間に通過できる車の台数より道路上の交通量の方が多くなると、信号を先頭に車がつまりはじめ渋滞が発生しやすくなります。
コンビニや信号のない高速道路でも、交通量が多ければインターチェンジなどの合流部分を先頭に渋滞が発生します。また、下り坂から上り坂に差し掛かったことに気づかずに速度が落ちる車があると、それにあわせて後続車がブレーキを踏みはじめるので、全体的に速度が落ち渋滞になります。
このように、道路工事や事故による要因がなくても、交通量が多いだけで渋滞に巻き込まれる可能性があります。


図1:交通量が多いときの車の様子

交通量が多いということは、それだけ事故につながる危険性が高くなります。
2016年中に高速道路で起きた交通事故のうち、車線上の停止車両に追突した事故が約46%と半数近くを占めていました(図2)。低速で進んだりすぐに止まったりを繰り返す渋滞では、次第にドライバーの集中力が薄れ、ボーッとして注意を欠いた運転に陥りやすくなり、ブレーキを踏むタイミングが遅れて前の車に追突する可能性があります。また、渋滞の最後尾に高速のまま追突すれば、重大な事故に至る危険性があります。

図2:高速道路での類型別交通事故の割合(2016年中) 車線上停止車に追突が約46%、その他の追突が約27%、衝突・接触・車相互 他が約19%、車両単独が約7%、人対車が約1%

渋滞を回避するためには・・・

渋滞を回避することは、事故を回避することにもつながります。
朝夕の通勤時や、長距離ドライブに出かけるときは、交通情報をチェックして渋滞が発生していないか確認しましょう。カーナビやラジオでも一般道路や高速道路の渋滞情報を確認できますが、スマートフォンやタブレットで手軽に確認できるアプリもあります。
また、高速道路会社各社のWebサイトでは、お盆や年末年始が土日に重なっていると渋滞しやすいという傾向のデータや、過去の渋滞実績、周囲で行われる行事など渋滞の誘因となる情報を集積して、渋滞予測を公開しています。お盆に長距離ドライブなどを計画するときは参考にしましょう(渋滞予測は当日の天候により情報が変わる場合があるので、出発前にもう一度チェックしましょう)。渋滞のピークに差し掛かりそうな場合は、出発時間を1時間程度ずらしましょう。

渋滞に遭遇したとき、安全に走行するためには・・・

渋滞を回避しようとして出発していても、事故などで渋滞に遭遇することがあります。そのような場合は、どう対処すれば安全なのかをみてみましょう。

走行車線を選択しましょう

渋滞中に「追越車線の方が早く進むかも」と思いがちなのは他のドライバーも同じです。東名高速道路の大和サグ部(下り坂から上り坂に差し掛かる谷の部分)下りに設置されている車両感知器のデータを車線別にみると、交通量が少ないときは追越車線の利用率は低く、交通量が多いときは利用率が2倍以上になります*。一方、走行車線は交通量が多くなると追越車線よりも利用率が低くなり、スペースができやすくなります。渋滞のときに追越車線を選んでも、早く進まないことがわかります。幹線道路や高速道路で、道路情報板に「この先渋滞」などと表示された場合は、走行車線を走り、追越車線への車線変更は控えましょう。渋滞が事故によるものであれば、緊急車両が追越車線を通過できるようにしなくてはなりません。
走行車線は、高速道路ではインターチェンジやサービスエリアに移動しやすい車線でもあります。また、渋滞の最後尾に着いて後続車に追突されたとき、非渋滞時から走行車線は追越車線より車両の速度が遅いため、多少なりとも衝撃が緩和できる可能性があります。なお、渋滞の最後尾に近づいたら、ハザードランプを点け後続車に渋滞していることを知らせましょう。

  • *出典:国土交通省 国土技術政策総合研究所 ITS研究室 2016年3月「ITS 時代の渋滞緩和につながる道路利用マナーを実践しませんか? ~高速道路サグ渋滞の研究成果より~ 」より

車間距離は十分にとりましょう

渋滞中は気が急いて「割り込みされたくない」と車間距離をつめるドライバーを見掛けます。しかし、車間距離を十分にとっていれば、前の車が急ブレーキをかけたときに追突する危険性が低くなります。また、後車から追突された場合、前の車との間に挟まれる可能性を低くすることができます。車間距離は、十分にとって運転しましょう。
渋滞にイライラしても、目的地に着く時間が早くなるわけではありません。自分を含む乗員の安全を第一に考え、心にも車間距離にもゆとりをもって運転しましょう。

今月のクイズの答え