小学1年生の交通事故を防ごう!
2017年4月号
今月のクイズ
4月になると、期待で胸をふくらませた新入生が、小学校に登校しはじめます。2015年中に起きた歩行中の交通事故を年齢別にみると、7歳児の死傷者数が最も多く(図1)、その理由として小学1年生になると保護者の手を離れ、登下校や遊びなど1人で行動する範囲も広がるためと考えられます。
今月は、小学1年生の行動を通して、ドライバーや保護者が子どもを事故から守るための方法をみてみましょう。

小学1年生は、登下校時に交通ルールを守らず道路へ飛び出す事故が多い
小学1年生が歩行中に遭った死傷事故のケースを、詳しくみてみましょう。
死傷事故は、家から1km圏内の小学校や遊び場といった近所で多く発生し、登校時にあたる7時台と下校時以降の14~18時台に集中しています(図2)。道路形状別では、交差点やその付近で最も多く発生していますが、直線の道路(単路)でも同じくらい発生しており、その半数が横断歩道以外の場所を横断していました(図3)。また、事故時の交通ルール違反の有無を男女別にみると、男児の方が多いことがわかりました(図4)。違反の内容をみると、男女とも道路への急な飛び出しが最も多くみられます。

ドライバーが注意するポイント
歩行中の子どもの行動を踏まえて、どのような点に注意して走行すればよいかを考えてみましょう。
子どもは車に気づいていないと考え、速度を落とし、距離をあけて通過しましょう
子どもは、大人より目線が低く視野も狭いため、近づいてくる車を容易に把握することができません。さらに、子どもは興味があることに気が移りやすいため、道路の向こうに友達を見つけたときなどは、周囲を気にせず道路に飛び出す危険性が高くなります。
歩道にいる子どもを見かけたら「車に気づいていない」と考えて、子どもの飛び出しを疑いましょう。特に、住宅街や小学校周辺など子どもの多い場所では、速度を落とし、子どもとの距離をあけて通過しましょう。

見通しの悪い交差点や路地では、二段階停止し、十分な安全確認を行いましょう
左右の見通しの悪い交差点や路地では、危険を理解していない子どもが急に飛び出してきたり、曲がったすぐ先にいたりする危険性があります。見通しの悪い交差点や路地を通過するときは、二段階停止し、十分な安全確認を行いましょう。
横断歩道を通過するときは、周囲を確認してから発進しましょう
信号のない横断歩道付近に子どもがいる場合は、注意深く観察し、徐行して通過しましょう。子どもが横断しようとしている場合は、一時停止し、渡りきるのを見届けてからゆっくり発進しましょう。
信号のある横断歩道付近では、青信号になってもすぐに発進してはいけません。子どもが横断歩道に出てこないかを確認してから発進しましょう。

保護者が子どもに教える交通安全のポイント
保護者は、就学前や小学校低学年の子どもに、「道路には危険がたくさんある」ことを教える必要があります。
子どもに教える交通安全のポイントについて一緒に考えてみましょう。
子どもと一緒に歩いて、「交通ハザードマップ」を作ってみましょう
家や学校・遊び場などが載っている地図を手に、登下校の時間帯を実際に歩いてみましょう。交通量や安全確認しにくいなど、危険な箇所をチェックし、オリジナルの「交通ハザードマップ」を作りましょう。次に、マップを手に歩きながら「どのような危険があるか」、「どのように行動すればよいのか」を丹念に繰り返し教えましょう。
交通ルールに沿った道路の歩き方と、飛び出しの危険性について教えましょう
道路を歩くときは歩道を歩き、歩道がない場合は路側帯を歩くように教えましょう。車が通る道路を歩いたり、道路で遊んだり、道路に飛び出したりすると、車と衝突して大ケガをする危険があること、「ケガをすればとても痛い思いをする」ことを伝えましょう。

道路を横断するときは、横断歩道を渡るように教えましょう
ドライバーは、横断歩道を渡ろうとしている子どもに気づいていない可能性があります。
信号のない横断歩道を渡るときは、ドライバーと目を合わせて手をあげ、「私は横断歩道を渡ります」と意思表示をするように教えましょう。車が止まったら、反対側から来る車の安全も確認し、あせらず横断歩道上を渡るように教えましょう。
信号のある横断歩道を渡るときは、青信号になってもすぐに渡ってはいけません。道路上の車が止まったことを確かめてから渡るように教えましょう。
ドライバーは、住宅街や小学校の周辺では速度を落とし、子どもの飛び出しに注意して走行しましょう。保護者は、子どもに交通ルールや安全な歩行の仕方を繰り返し教えましょう。
今月のクイズの答え
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(3)
40%(公益財団法人交通事故総合分析センター 平成28年 第19回研究発表会テーマ論文「子どもの歩行中の交通事故」より)