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車の点検整備を行っていますか?

2018年9月号

今月のクイズ

2016年に四輪車の整備不良で起きた事故のうち、タイヤの整備不良が約61%を占めていました。では、続いて約27%を占めていた事故の内容を、次の中から選んでください。

  • (1)
    制動装置(ブレーキ)不良
  • (2)
    かじ取り装置(ハンドル)不良
  • (3)
    車輪不良(脱輪、締め付け不良)

車の所有者は、安全走行と環境保全のために、日常点検と1年点検、車検時の2年点検の3種類の点検を行い、不具合があれば整備を行って車を正常な状態に保たなければなりません*1
今月は、車の点検整備の実態と重要性を踏まえ、車を安全で正常な状態に保つための点検整備についてみてみましょう。

1ヶ月に1回以上は日常点検整備をしよう!

車の点検整備に関するWEBアンケート調査によると、日常点検整備は約6割の人が「する」と回答し、その頻度は「まれにする」が最も多くなりました(図1)。しかし、日常点検整備を「全くしない」と答えている人も多く、道路上にはタイヤの溝がすり減ってスリップしやすいなど、事故を起こすおそれのある車が4割近くも走行していることになります。車の使用頻度によって日常点検整備の回数は違ってきますが、少なくとも1ヶ月に1回以上は日常点検整備を行い、長距離のドライブ前にも必ず点検整備をしましょう。手間はかかりますが安全にはかえられません。

図1:日常点検の実施状況 Q:「日常点検整備(日頃、ご自分で車を点検)」をすることはどの程度ありますか。よくする6.6%、時々する24.7%、まれにする30.8%、全くしない37.9%

1年に1回、定期点検整備をしよう!

一方、1年点検と2年点検*2の一定期間ごとに行う定期点検整備については、「自動車の適正な状態の保持が法的に義務付けられている」ことを約9割の人が知りながら、その約半数の人は行っていませんでした(図2、3)。その理由として、「お金がかかるから」が最も多く約41%を占め、「面倒だから」が約39%と続きます。あなたは、定期点検整備を1年に1回行っていますか。
定期点検整備を行うには、エンジンやブレーキの仕組みなど専門的な知識や技術が必要となるので、車のディーラーや整備工場に依頼しましょう。また、自動ブレーキやクルーズコントロールなど電子制御装置を搭載している車の場合は「コンピューター・システム診断認定店」の名称がある整備工場で機能診断ができます。確かに、お金がかかるうえに面倒かもしれませんが、安全にはかえられません。走行中に突然ブレーキが効かなくなるなどの不具合で事故が発生しないよう、必ず点検を行いましょう。

図2:「自動車の適正な状態の保持が法的に義務付けられていること」の認知 Q: 自動車ユーザーには、自動車の点検整備による適正な状態の保持が法律によって義務付けられていることをご存知でしたか。はい(知っている)87.5%、いいえ(知らない)6.5%、わからない 6.0%図3:はい(知っている)と答えた人の「定期点検整備」の実施状況 Q: あなたは「定期点検整備(一定期間ごとに車を点検)」を実施していますか。必ず実施している49.9%、車検の時に実施している25.0%、実施したり、しなかったりする14.6%、全く実施していない10.6%(構成比は小数点第2位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。)

日常点検の方法

では、日常ではどこを点検すればいいのでしょうか。日常では、次の15項目の点検を行います*3。不具合があれば、各車の取扱説明書に従い整備を行うか、車のディーラーや整備工場に相談しましょう。

  • *3
    日常点検と整備=「日常点検整備」道路運送車両法 第47条の2 自動車点検基準(国土交通省令)第1条第2号

ボンネットの中を点検

ブレーキ液の点検(ブレーキ・リザーバ・タンク)
ブレーキ液の量が、上限(MAX)と下限(MIN)の間にあるかを点検しましょう。
  • 下限より少なくなると、ブレーキの効きが甘くなり、事故を起こす危険性があります。
冷却水の点検(ラジエータ・リザーバ・タンク)
冷却水の量が、上限(MAX)と下限(MIN)の間にあるかを点検しましょう。
  • 下限より少なくなると、エンジンの熱を冷ませずに過熱(オーバーヒート)して、エンジンが停止してしまいます。
ウィンド・ウォッシャ液の点検
ウィンド・ウォッシャ液の量が、十分にあるかを点検しましょう。
  • ウィンド・ウォッシャ液が不足していると、フロントガラスの汚れを落とせないので、走行中の視界が悪くなります。
バッテリ液の点検
バッテリ液の量が上限(UPPER)と下限(LOWER)の間にあるかを点検し、少ない場合は交換しましょう。
  • 下限より少なくなると、走行に必要な電気を供給できずに、エンジンがかかりづらくなったり、バッテリが破裂したりします。
エンジンオイルの点検
エンジンについているオイルレベルゲージを引き出し、乾いたタオルなどでオイルをふき取ります。ゲージを差し込んで戻し、再度引き出して付着しているオイルの量を見ます。ゲージに示された範囲内(「L」と「H」もしくは「F」の間)にあるか、色が黒ずんでいたり汚れが付着していたりしないかを点検しましょう。
  • エンジンオイルの量が少なかったり、汚れたりしていると、エンジン内の部品が焼きつくなどして破損し、エンジンが停止してしまいます。

車の周囲を点検

ランプ類の点検
ヘッドライト、スモールランプ、ブレーキランプ、テールランプ、ウインカーなどが正常に点灯・点滅しているか、汚れや破損がないかを点検しましょう。
  • ランプ類が正常に点灯・点滅していないと、夜間に視界を確保できなかったり、他車や歩行者に自車の動きを伝えられなかったりするので、事故を誘発する危険性があります。
タイヤの亀裂や破損の点検
タイヤに傷がついていないか、溝に石などが挟まっていないか、タイヤ全体を目視のうえ手で触り点検しましょう。
  • タイヤに亀裂や破損があると、走行中にパンクや破裂してハンドルをとられる危険性があります。
タイヤの空気圧の点検
タイヤの接地部分のたわみ具合を目視で確認します。たわんでいると感じたときは、エアーゲージを使ってタイヤの空気圧が規定の範囲内にあるか測りましょう。たわみがなくても、1ヶ月に1回以上は空気圧の点検をしましょう。
  • タイヤがたわんでいると接地部分が広くなるため、縁石などにこすれて傷つくなどしてタイヤが破裂する要因になります。
タイヤの溝の点検
タイヤの溝の深さが1.6mm以下になるとスリップ・サインが現れます。タイヤの溝が十分あるかを目視で点検しましょう。
  • タイヤの溝が浅いと、路面が濡れている時にスリップする危険性があります。

運転席に座って点検

エンジンのかかり具合や異音の点検
エンジンが速やかに始動し、スムーズに回転するか、異音がないかを点検しましょう。
  • 走行中にエンジンに不具合が発生し停止してしまうと、ブレーキやハンドルの機能が低下し、適切な運転操作ができなくなる危険性があります。
ウィンド・ウォッシャ液の噴射状態の点検
ウィンド・ウォッシャ液を噴射させ、向きや高さが適当かどうかを点検しましょう。
  • ウィンド・ウォッシャ液が適当な位置に噴射できていないと、フロントガラスの汚れを落とせず走行中の視界が悪くなります。
ワイパーのふき取り能力の点検
ワイパーを作動させ、低速および高速に切り替えて正常に作動しているか、ウィンド・ウォッシャ液がきれいにふき取れているかを点検しましょう。
  • ワイパーが動かないと、雨の日にフロントガラスから水滴や汚れを落とすことができず、走行中の視界が悪くなります。
ブレーキペダルの踏み残りしろと効き具合の点検
エンジンがかかった状態でブレーキペダルを強く踏み込み、床板との間に適当な隙間(踏み残りしろ)があるか、ブレーキの効き具合が適当かを点検しましょう。
  • ブレーキペダルの踏み応えに違和感がある状態で走行すると、ブレーキの効きが悪くなる可能性があり大変危険です。
パーキング・ブレーキの引きしろ(踏みしろ)の点検
パーキング・ブレーキ・レバー(ペダル)をいっぱいに引いた(踏んだ)とき、引きしろ(踏みしろ)が多すぎたり少なすぎたりしていないかを点検しましょう。
  • パーキング・ブレーキの引きしろ(踏みしろ)が多いと、坂道などで駐車したときに車が動き出す危険性があります。
エンジンの低速・加速状態の点検
エンジンが温まった状態で、アイドリング時の回転がスムーズに続いているかを点検しましょう。次に、エンジンを徐々に加速させ、アクセルペダルに引っ掛かりがないか、エンストやノッキングを起こさずにエンジンの回転がスムーズに上がるかを、走行するなどして点検しましょう。
  • エンジンの調子を点検しないと、走行中にエンジンが停止するおそれがあります。

車を安全で正常な状態に保つため、1年に1回の定期点検整備と、1ヶ月に1回以上の日常点検整備を行いましょう。

今月のクイズの答え