駐車場を安全に利用するためには

2018年10月号

今月のクイズ

2016年中に事故を起こしたドライバーの法令違反のうち、「安全運転義務違反」が最も多くの割合を占めていました。では、駐車場で起こった事故の法令違反のうち、「安全運転義務違反」が占めていた割合を、次の中から選んでください。

  • (1)約58%
  • (2)約78%
  • (3)約98%

「駐車場内は車がゆっくり走行するから、道路に比べれば事故に遭う危険性は低い」と気を抜いていませんか?
今月は、警察が出動した駐車場内での事故を通じ、駐車場の安全な利用について考えてみましょう。

駐車場内では「発見の遅れ」が事故につながる

2016年中に起きた駐車場内での事故の種類をみると、車対車(車両相互)と人対車(人対車両)の事故が全体の約94%を占めていました(図1)。事故時のドライバーの人的要因をみると「安全不確認」による車や歩行者の「発見の遅れ」が多くを占めています(図2)。

駐車場内は、道路のように信号や標識等による交通整理がされていないため、車や歩行者の行動が予測しにくくなります。駐車スペースから突然車が出てきたり、前を走行する車が駐車しようと後退してきたり、目の前に歩行者が不意に現れたり等、至るところに危険が潜んでいます。駐車場内では、危険をいち早く発見できるように、周囲に注意を配り十分な安全確認を行うことが求められます。特に、歩行者は車がゆっくり走行していても接触すれば負傷する危険性があり、場合によっては死亡事故にもつながりかねません。

【図1:駐車場内で起きた事故の種類(2016年中)】車両相互約66%、人対車両約28%、車両単独約6% 【図2:駐車場内で起きた車両相互と人対車両の事故によるドライバーの人的要因(2016年中)】発見の遅れ(安全不確認、前方不注意)約89%、操作上の誤り約6%、判断の誤り等約5%

駐車場内は、高齢者や子どもとの重大事故に遭う確率が高い

2010年~2014年の5年間に、駐車場等で起きた人対車による死亡重傷事故の発生割合をみてみましょう。図3のグラフは、歩行者の年齢層と場所別(駐車場等/駐車場以外)で、それぞれ事故でケガをした人のうち、死亡重傷事故となった人の割合を示したものです。このうち、歩行者の年齢層別にみると、65歳以上の歩行者が最も高い確率で死亡重傷事故に遭遇しています。また、事故の内容をみると、他の年齢層と比べ車の後退時に事故に遭うケースが多くなっています。高齢者は、視野が狭くなり聴力も弱ってくるため、近づく車に気づかない可能性があります。さらに、目の前の車に注意が向くと、他車への注意がおろそかになるなど、周囲に対し注意を分散することが加齢とともに難しくなります。そうすると、安全確認が不十分なまま車の陰から出てくる危険性があります。

次に死亡重傷事故の発生割合が高い6歳以下の子どもは、駐車場等と駐車場以外での重大事故に遭う確率がほぼ同じとなっています。事故時の子ども側の要因をみると、保護者が「駐車場内は安全だ」と思って手をつながずにいたケースが多くみられました。背丈が低い子どもは車の陰に隠れてしまうため、ドライバーが注意を怠ると子どもの存在に気づけず、接触するおそれがあります。子どもは、ゆっくり走行している車に接触すると、跳ね飛ばされずに車の前で転んでしまう可能性があります。そのまま走行を続ければ、小さな身体に1トン近い車が乗り上げ死亡事故に至る危険性があります。


図3:歩行者の年齢層別 道路形状別死亡重傷割合(2010~2014年)
     死亡重傷割合=(死亡重傷者数÷死傷者数)×100

駐車場は至るところに危険が潜んでいると考えよう

道路から駐車場に入ると、車の速度も低速になり、交通量も減るせいか「ほっ」と気が抜けてしまいがちになります。しかし、駐車場内は車の陰から歩行者が出てきたり、停止している車が動き出したり等、至るところに危険が潜んでいます。では、いち早く危険を発見し駐車場を安全に利用するためには、どうしたらよいのかをみてみましょう。

駐車場内を直進するときは…

十分な車間距離をとって走行しましょう
前の車が、空いている駐車スペースをみつけて急に停止したり、突然後退したりする可能性があります。十分な車間距離をとって走行しましょう。
すぐに止まれる速度で走行しましょう
駐車車両の陰から歩行者が飛び出してきたり、車が駐車スペースから出てきたりしても、すぐに止まれる速度で走行しましょう。

通路が交差するところでは、必ず一旦停止して安全確認を行いましょう
駐車場内は交通整理されていないので、交差する場所に車や歩行者が通過しようと出てくる危険性があります。通路が交差するところでは必ず一旦停止して、安全確認を行いましょう。

高齢者や子どもがいるかもしれない…

高齢者は車に気づいていないかもしれないと考えましょう
高齢者が安全確認が不十分なまま通路等に出てくる可能性があります。高齢者を見かけたら、車に気づいていないと考え、通路や駐車スペースに出てきそうな場合は、一旦停止して様子をみましょう。

死角に子どもがいるかもしれないと意識しましょう
車は、運転席の反対側や後方部分などを含め、直接確認できない死角が多くあります。小さな子どもが死角に入り込むと、発見することが難しく事故につながるおそれがあります。駐車場内では、十分な安全確認はもちろんのこと、窓を開けて子どもの声がしたり、違和感があったりしたら、すぐに車を停止して周囲を確認しましょう。

後退して駐車スペースに停めるときは…

出ようとしている車が無いか確認しましょう
駐車しようとしているスペースの両隣の車にドライバーがいるときは、その手前で一旦停止し、ドライバーの動きをよく観察してから駐車しましょう。
ハザードランプを点け、左に寄って一旦停止しましょう
駐車するときは、周囲の車に知らせるためハザードランプを点けましょう。後続車が通過しやすいように左に寄って一旦停止し、車の行動を後続車が気づいていると確認してから、後退し始めましょう。
安全確認を十分に行い、いつでも止まれる状態で後退しましょう
駐車スペースの後ろ側が通路になっている駐車場もあります。また、両隣の車の乗員が駐車スペースを通行している場合もあります。安全確認を十分に行いながら、車がいつでも停止できるように、ブレーキペダルに足を乗せた状態でゆっくりと後退しましょう。

駐車スペースから発進するときは…

2段階で停止しながら車を出しましょう
両隣に駐車中の車があったり壁があったりして、通路の安全確認がしにくい場合は、車の先頭を少し出して一旦止まり、通路を通行している車や歩行者に出庫する車の存在を知らせましょう。通路の安全確認ができるところまでゆっくり前に進み、停止して周囲の安全確認を行ってから通路に進み出ましょう。

保護者の方へ

未就学児を連れて駐車場を利用するときは、必ず手をつなぎましょう
6歳未満の未就学児は、目の前に興味をひくものが現れるとそちらに気が移ってしまい、他のことを見聞きする注意力が低下して、興味のままに行動してしまいます。駐車場は安全な場所ではありません。未就学児を連れて駐車場を利用する時は、必ず手をつないでお子様の安全を確保しましょう。

駐車場内では、至るところに危険が潜んでいると考え、十分に安全確認を行いましょう。

今月のクイズの答え