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若年ドライバーが安全運転を行うためには

2023年5月号

今月のクイズ

ドライバーは、認知→判断→操作を繰り返して運転しています。16~24歳の若年ドライバーが2021年中に起こした事故のうち、認知の誤り(発見の遅れ)による事故が占める割合を次の中から選んでください。

  • (1)
    約32%(11,883件)
  • (2)
    約52%(19,301件)
  • (3)
    約72%(26,830件)

新しい季節を迎え、「仕事で運転する機会が増えてきた」という若年ドライバーの方もいらっしゃることでしょう。
今月は、若年ドライバーに多い事故を通し、安全運転を行うためにはどうしたらよいかをみてみましょう。

16~24歳の若年ドライバーは、25歳以上のドライバーに比べ事故の発生件数が高くなる

16~24歳の若年ドライバーの過失*による免許保有者10万人当たりの交通事故件数(2022年)は663.1件で、25歳以上(317.1件)と比べ約2倍になります。16~24歳の若年ドライバーがどのような状況で事故を起こしているか、事故類型別に全体と比較すると車両の相互事故が多く、なかでも「正面衝突」「追突」は約3倍、「出会い頭」「右折時」も約2倍になります(図1)。
法令違反別をみると安全運転義務違反が多く、なかでも「運転操作不適」「漫然運転」「脇見運転」が約3倍、相手の動きを見誤る「動静不注視」「安全不確認」や「信号無視」も多く発生しています(図2)。考え事や居眠りをするなどの漫然運転や、運転中にスマートフォンを見るなどの脇見運転は、前方への注意がおろそかになるため前の車や駐車車両へ「追突」する可能性があります。交差点での安全確認の怠りや信号無視は、交差道路から来る車両と「出会い頭」に衝突する危険性があり、「右折時」に安全確認を怠ったり、対向車両や横断歩道の歩行者の動きを見誤ったりすれば重大な事故を引き起こすおそれがあります。また、無理な追越しや運転中の操作の誤りは、車線を逸脱して「正面衝突」する危険性があります。
一方、事故発生件数は少なくても「最高速度」違反は若年ドライバーの方が多くなります。事故直前の速度(危険認知速度)をみると、若年ドライバーは事故時の危険認知速度が時速20km以上の割合が多くなり、25歳以上のドライバーに比べて速度が出ている時の事故が占める割合が高くなります(図3)。

図1:事故類型別の交通事故発生件数の比較(16~24歳と25歳以上のドライバー/免許保有者10万人当たり/2022年中)
図2:法令違反別の交通事故発生件数の比較(16~24歳と25歳以上のドライバー/免許保有者10万人当たり/2022年中)
図3:危険認知速度別の交通事故の割合の比較(16~24歳と25歳以上のドライバー/時速70km以下/2022年中)

安全運転を行うためには

安全運転を行うためには、正しい運転行動を実践する必要があります。どのようにすればよいのかをみてみましょう。

日頃から時間や運転にゆとりをもちましょう

「次の訪問先に遅れそうだ」と慌てたり焦ったりしながら運転すると、周囲へ注意が向きにくくなるため安全確認が不十分になり、危険に気付くことができず重大事故につながる可能性があります。また、慌てや焦りは車間距離をつめたり、法定速度を超過したりするおそれがあります。
「遅れそうなときは先方に連絡する」「時間に余裕をもって出発する」「十分な車間距離をあける」「速度を抑える」など、日頃から時間や運転にゆとりをもちましょう。

一時停止する場所や交差点では、周囲の安全確認を十分に行いましょう

一時停止の標識や停止線がある場所や見通しが悪い交差点等で、一時停止しても安全確認が不十分だと、思いもよらない場所から歩行者や車両が現れ、出会い頭事故を起こす危険性があります。また、交差点の右左折時に対向車や対向車に隠れているバイク、進行先の横断歩道の歩行者の安全確認が不十分だと、重大事故につながります。
一時停止する場所や交差点では、周囲の安全確認を十分に行いましょう。

交通状況を適切に把握し、交通ルールを守って運転しましょう

交差点で「黄色だから対向車は止まるはず」と右折しようとしたり、横断歩道を歩行者が渡ろうとしているのに「まだ大丈夫」と通過しようとしたり、交通状況を自分に都合よく考え、強引な運転をすれば重大事故を起こしかねません。「対向車は止まらないかもしれない」と疑い、「横断歩道は歩行者が優先」と交通ルールを守る必要があります。また、道路上にある交通標識や標示は、安全で円滑な交通のために「ここで止まらないと危ない」と注意を喚起してくれたり、「こちらを通行すれば安全だ」と通行方法を教えてくれたりするものです。
交通ルールや安全運転の方法は、「安全運転ほっとNEWS」の他の記事もご覧ください。

運転に集中できるように自身の体調等を整えましょう

運転中にボーッとしていたり考え事をしていたりすると、前の車が停止したことに気付かず追突する危険性があります。また、高速道路等での単純な運転操作の繰り返しは、眠気を伴うことがあり、危険を見逃す可能性があります。日頃から、十分な睡眠や休養をとり、運転に集中できるように体調を整えましょう。
また、仕事やプライベートで気になることがある場合も運転中の考え事につながり、集中を阻害してしまいます。周囲に相談するなどして、身辺の環境も整えましょう。

スマートフォンやナビゲーションシステム等、運転以外の操作は、車を停めて行いましょう

走行中、SNS等の通知音に気をとられ、前方から目を移した一瞬に前の車が速度を緩めたら、追突する危険があります。さらに、スマートフォンを手に取ったり、ナビゲーションシステムを操作しようとしたりすれば、前方の危険を発見できないばかりか、ハンドル操作もおろそかになり事故を起こしかねません。
スマートフォンや携帯電話はドライブモードに設定しカバン等に入れ、ナビゲーションシステム等を操作するときは安全な場所に停止してから行い、前を向いて運転できる環境をつくりましょう。


今月のクイズの答え