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⼤雪から住まいを守る対策とは

地球温暖化により、⼀度に⼤量の雪が降る「ドカ雪」や雪質の変化による「湿った重い雪」が降るリスクが⾼まっています。⼤量の重い雪は、屋根やカーポートの破損や落雪による事故などにつながり、⽇常⽣活にも深刻な影響を及ぼします。

⼤雪による住まいの被害

Qどんな事故が起こるの?

A実際の事故事例を⾒てみよう

屋根の破損

雪の重みで屋根が破損し、破損した部分から雨水や雪解け水が浸入し雨漏り発生。
損害額:約150万円

雨樋(あまどい)の破損

雪の重みで軒樋と呼び樋が破損。
損害額:約70万円

カーポートのゆがみ

雪の重みによりカーポートの屋根にゆがみが発生。
損害額:約80万円

落雪による被害

2階の屋根雪が氷となって落下し1階の屋根の⼀部を破壊。
1階屋根からの落雪によりサイディング壁にも損害発⽣。
損害額:約180万円

エアコン室外機の破損

屋根からの落雪によって室外機が破損。
損害額:約20万円

Qどの部分への被害が多いの?

A屋根、雨樋(あまどい)への被害が約34%を占める*

大雪・寒波 損害箇所

大雪・寒波 損害箇所 円グラフ
⼤雪・寒波 損害箇所別割合 屋根23.2%・雨樋10.4%・軒7.0%・外壁5.1%・瓦4.3%・窓4.3%・カーポート3.5%・車庫3.4%・物置3.2%・その他35.6%
  • *2018年度〜2022年度の当社事故データから算出しています。
  • *2018年度〜2022年度の当社事故データから算出しています。

住まいへの被害を防ぐ対策

⽇頃から「雪に強い家」を作りましょう

雪のシーズンに⼊る前にお住まいを点検・修理することが重要です。
ご⾃⾝で確認が難しい場所の点検は、無理をせず業者に依頼をしましょう。

チェックポイント

「屋根・軒先・カーポート」強風時に屋根から異音が聞こえないか、天井や屋根裏に雨が染みていないか、瓦・トタンのめくれ、割れがないか、錆びや飛来物による傷がないか、雪止めを設置しているか 「雨樋(あまどい)」歪みや固定器具の外れがないか、雨の日、水がきちんと流れているか 「外壁」塗装の剥がれやひび割れ、水染みがないか 「エアコン室外機」高置台や防雪屋根、防雪パネルが設置されているか 「外構・フェンス」曲がりや倒れ、支柱のぐらつきがないか

雪⽌めは、屋根からの雪が⼀気に落下するのを防ぎ、隣接する敷地や通行人などへの被害を防止・軽減する大切な設備です。
⼀⽅で、屋根に雪が留まるため、屋根材や構造に負担がかかる場合があります。雪が多く降る地域では、雪⽌めと適切な雪下ろしを併⽤することが⼤切です。

屋根雪止め1
屋根雪止め2

無落雪屋根でも要注意!

多雪地域では、無落雪屋根を採⽤している家も多くありますが、無落雪屋根だからこそ「漏⽔(⽔濡れ)事故」の発⽣に注意が必要です。
スノーダクトに落ち葉やゴミが溜まっていると、融雪⽔のスムーズな排⽔を妨げ、オーバーフローを起こし漏⽔につながる危険性があります。
無落雪屋根であっても、こまめに清掃やメンテナンスを実施するようにしましょう。

シーズンに⼊ったら適切なタイミングで雪下ろしをしましょう

雪はスポンジのように⽔を含む性質があるため、雨によって見た目では雪が減ったように見えても、重さは増加している可能性があります。また、気温の上昇で雪がとけ、かさが減ったように⾒えても、とけた⽔が雪の中に閉じ込められて重さが変わらない場合もあります。
天気予報やお住まいの地域の積雪重量を確認し、危険域に達する前に雪下ろしを実施しましょう。

雪落とし棒の活⽤を!

屋根に登って実施する雪下ろしは転落などの危険性がありますが、屋根に登らずに除雪ができる「雪落とし棒」などの簡易除雪道具を使用することで、転落事故などを防ぐことができます。
雪落とし棒は雪庇やつらら、屋根の軒先やカーポートに積もった雪を落とすのに特に有効です。

雪落とし棒は便利な⼀⽅で落とした雪が⾃分に落ちてくる危険性があります。⻑めの棒を使⽤して屋根から距離を取るなど、細⼼の注意を払い、必ず2⼈以上で実施しましょう。

安全な雪下ろしの⽅法

雪害による死亡事故の約9割は除雪作業中に発⽣しています。雪下ろしは、視界が良くなる「天気の良い日」に行うことが多くなりますが、天気が良い⽇でも、無理のない作業計画が非常に重要です。命とお住まいを守るために以下の10箇条を守り、安全な除雪作業を⼼がけましょう。

命を守る10箇条!

まも丸_説明(右)

  • 1作業は家族、となり近所にも声をかけて2⼈以上で!
  • 2建物のまわりに雪を残して雪下ろし!
  • 3晴れの⽇ほど要注意、屋根の雪がゆるんでいる!
  • 4はしごの固定を忘れずに!
  • 5低い屋根でも油断は禁物!
  • 6作業開始直後と疲れたころは特に慎重に!
  • 7⾯倒でも命綱とヘルメットを!
  • 8命綱、除雪機など⽤具はこまめに⼿⼊れ・点検を!
  • 9作業の時には携帯電話を持っていく!
  • 10除雪機の雪詰まりの取り除きはエンジンを切ってから!

出典:防災科学技術研究所 屋根雪事故を防ぐためにを加⼯して作成

住まいへの被害を予防するには「雪の重さ」を知ることが有効

雪が降るとき、積雪の深さに注目することが多いと思いますが、実際に建物にかかる負荷においてもっとも重要なのは、「雪の重さ」です。
雪は種類によって性質が異なり、それに伴って重さ(密度や含⽔率)も⼤きく変わります。例えば同じ1mの雪が積もっていても、積もったばかりの雪と、固くしまった雪やとけて⽔を含んだ雪では、重さが違ってきます。そのため、「雪の深さ」だけでなく、どれくらいの重さの雪が屋根や建物にかかっているのかを理解することが、被害を防ぐための第⼀歩となります。

「新雪」降りたてで、軽くてふわふわした雪。「しまり雪」時間が経つにつれて圧縮され、密度が⾼くなった雪。※圧縮されて重くなった雪は、屋根や建物に大きな負荷をかける。新雪の3倍以上の重さ「ざらめ雪」⽔を含んだしめった状態の重い雪。※ざらめ雪は⽔を含んでいるため、気温が下がると含んだ⽔が凍り、硬い雪になる。そのため、落雪などによる被害の危険性が高まる。新雪の6倍以上の重さ 「新雪」降りたてで、軽くてふわふわした雪。「しまり雪」時間が経つにつれて圧縮され、密度が⾼くなった雪。※圧縮されて重くなった雪は、屋根や建物に大きな負荷をかける。新雪の3倍以上の重さ「ざらめ雪」⽔を含んだしめった状態の重い雪。※ざらめ雪は⽔を含んでいるため、気温が下がると含んだ⽔が凍り、硬い雪になる。そのため、落雪などによる被害の危険性が高まる。新雪の6倍以上の重さ

このように積雪の深さは変わっていないように見えても、重さが変わることで家屋などへの負荷が大きくなっている可能性があるため、雪の重さを基準に除雪のタイミングを判断する必要があります。

積雪重量って知ってる?

積雪重量は、雪の密度を基に、1平⽅メートルあたりに積もっている雪の重さを表したもので、積もっている雪が家屋やカーポート、ビニールハウスなどに与える影響を予測するために重要な数値です。

積雪重量:積雪の重さ(kg/㎡)

⽇本では、多雪地域とそれ以外の地域では、建物が耐えられる積雪重量が異なるため、積雪重量による被害が発⽣する⽬安が異なります。

  • 多雪地域   500kg/㎡を超えると家屋が破損する可能性があります。
  • 多雪地域以外60㎏/㎡を超えるとカーポートやビニールハウスが、
    150㎏/㎡を超えると家屋が破損する可能性があります。

積雪重量は⾮常に重要な⽬安のひとつです。
ただし、建物の構造や形態(⼾建て・マンションなど)によって危険度や影響が異なることから、お住まいに合わせて屋外⾏動に適した天気(⾵、降⽔量など)に気を配り、計画的な除雪を⾏うことが重要となります。