垂直避難で苦労
(福祉施設職員 50代 女性)
私は特別養護老人ホームで、いわゆる垂直避難の指揮をとっていました。見たことのない警報が出たので、1階の利用者さんをまず2階に避難させました。その後停電が起き、いよいよ施設に水が入ってきたので、90名の利用者さんを2階から3階へ「行くよ!せーのっ」と声をかけ合って運びました。自力で歩ける方はほとんどいません。寝たきりの方も多く、そういった方はおんぶができないので、車いすごと運びました。ベッド自体を運ぶことはできなかったので、はずしたマットレスを硬い床の上に敷き詰め、ざこねをしていただきました。本来は男性と女性を分けるのですが、仕切りすらなくて、利用者の方には申し訳なかったです。垂直避難が終わった時、1階に家や車の鍵、財布を置いていることに気がつきました。「取りに行かなきゃ」と思い、3階から2階に降りて、階段のドアを開けると、2階の床近くまで水が来ていました。「ああ、こんな状況だったんだ」と初めて知りました。外を見ている余裕は全然なかったのです。今となっては、エレベーターが使えた早いうちに、3階までベッドごと皆さんを避難させていれば、あの大変な階段移動はなかったなと思います。
- ※上記エピソード・イラストは内閣府「災害被害を軽減する国民運動のページ」より転載させていただきました。
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