インド

インドは、世界にあるマングローブ林の約2.8%の面積を保有していましたが、沿岸開発や一部劣化によって失われています。このプロジェクトでは、天然のマングローブ林が存在しなかったインド西部・グジャラート州の河口で植林活動を行っています。

マングローブ植林活動レポート

植林したマングローブの様子

インドでは、2009年からNGO「国際マングローブ生態系協会(ISME)」が、現地NGO「Daheda Sangh」とともに、インドマングローブ協会の協力を得ながら、ヴァドガム村の住民のみなさんとともに植林事業を進めています。多くの住民が農業で生計を立てているこの地域で、マングローブ植林を実施する目的は、「農地に浸入する海水を軽減すること」、「波を弱めて海岸が削られるのを防ぐこと」、「乾季に家畜への飼料を供給すること」などです。

  • 2020年度の植林面積 70ヘクタール
  • 累積植林面積 955ヘクタール

マングローブ植林活動状況

2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮して、グジャラート州のサバルマティ川河口の干潟で、ヴァドガム村の近隣にあるヴァンアージ村のみなさんとともに、植林活動を実施しました。

この地域は年間降水量が300mmと少なく、乾季はほぼ砂漠に近い環境となります。そのため、降雨量が少ない立地環境でも生育できるヒルギダマシを植えました。植林面積は70ヘクタールです。川の水が増えて種が流されてしまうことを想定して、1カ所に3粒ずつの種を直接まきました。

また、マングローブ樹種の多様性を確保するため、インド西海岸のゴアからオヒルギやフタバナヒルギなどを導入する実験も継続して行いました。

順調に生育している2019年の植林地 ⒸISME

2020年の植林地の様子 ⒸISME

植林地の様子

ヒルギダマシは、ヤエヤマヒルギなどと比較しますと、単木あたりの炭素蓄積量は多くありません。一方で、ヒルギダマシが成長すると、多くの生物のすみかや採餌場として生態系が形成されます。さらに、枝葉は乾季の家畜の飼料として利用できることから、生物多様性の保全と地球環境の保全に、貢献できると考えています。

2019年に植えたマングローブと現地の技術顧問 ⒸISME