1. ホーム
  2. 東京海上日動について
  3. GX取り組みTOP
  4. セミナー・コラム
  5. メタネーションについて

メタネーションについて

メタネーションについて

天然ガスの脱炭素化に向けて注目が集まるメタネーション。天然ガスは家庭や工場、発電所などさまざまな場面で使用されており、暮らしや経済に欠かせない燃料の一つです。天然ガスをクリーンな燃料に転換することができれば、社会全体の脱炭素化が加速すると期待されています。今回は、こうした課題の解決策であるメタネーションについて解説します。

メタネーションとは

メタネーションによるCO2排出削減効果
合成メタンの利用(燃焼)によって排出されるCO2と分離回収されたCO2とがオフセット(相殺)されており、合成メタンの利用ではCO2は増加しない

出典:資源エネルギー庁

まず、メタネーションとは、水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を反応させ、天然ガスの主成分であるメタン(CH4)を合成することを指します。メタネーションによって、人工的に合成されたメタンのことを「合成メタン」と呼びます。

メタネーションの原料として、発電所や工場などで排出されたCO2を利用する場合、合成メタンを燃焼しても大気中のCO2が増加することはないとされています。このようなクリーンな方法で生成されたメタンを「カーボンニュートラルメタン」と呼ぶこともあります。

メタネーションが注目される背景

そもそも天然ガスは、家庭の給湯や暖房から工場などの産業部門、発電所などの電力分野まで、幅広い用途で使われています。また、天然ガスによる火力発電は、石炭や石油を使った発電よりもCO2排出が少ないという強みがあります。

現在、世界的に地球温暖化対策が急務とされており、家庭や産業部門、発電といったさまざまな場面でCO2排出を抑制することが求められています。将来的には、天然ガスそのものをCO2フリーな燃料に転換していく必要性も高まっていくでしょう。

そこで、こうした課題の解決策としてメタネーションが注目されているのです。前述の通り、カーボンニュートラルメタンは燃焼しても大気中のCO2を増加させることはないため、さまざまな場面での脱炭素化に役立つと考えられています。

日本ガス協会によると、都市ガスの9割を合成メタンに置き換えたと仮定した場合、年間約8,000万トンのCO2削減効果があるとされています。これは全国のCO2排出量の約10%に相当する量で、メタネーションによるCO2削減効果がいかに大きいかがわかります。

参考:「ガスのカーボンニュートラル化を実現する『メタネーション』技術」資源エネルギー庁

メタネーションの導入目標

国のエネルギー政策の根幹である「エネルギー基本計画」では、メタネーションの導入目標として、2030年に既存の都市ガスインフラに合成メタンを1%注入すること、メタネーションなどの手段を活用してガスの5%をカーボンニュートラルにすることを掲げています。

また、2021年に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、成長が期待される重要分野の一つにメタネーションが挙げられました。このように国が推進するメタネーションは、今後、技術開発や実用化の加速が予想されます。

次世代熱エネルギー産業の成長戦略『工程表』
供給サイド(メタネーション、水素直接利用)は2030年頃までに、開発フェーズ、実証フェーズを終え、2050年頃までに導入拡大・コスト低減フェーズ、自立的商用フェーズに移行する。需要サイドはすでに導入拡大・コスト低減フェーズ、自立商用フェーズに移行しており、また2030年頃から合成メタンへの転換を実施する工程となっている。

出典:資源エネルギー庁

メタネーションの課題

一方で、新たな取り組みであるメタネーションには課題も残されています。日本ガス協会によると、合成メタンの価格は従来の天然ガスと比較して高額であることに加えて、合成メタンを導入するための設備コストも発生するとされています。脱炭素化に向けてメタネーションを推進していくためには、合成メタンの価格を天然ガスと同程度にすることが求められますが、その実現のためには国による支援が必要不可欠だといえます。

また、合成メタンを使う場合のCO2排出量のカウントなどについても、しっかりとしたルールの整備が求められるでしょう。国内で合成メタンを生成するだけでなく、海外から輸入した場合なども想定し、国際的なルールも策定する必要があります。

参考:「合成メタンの社会実装に向けた課題について」日本ガス協会

まとめ

メタネーションによって天然ガスが合成メタンに置き換わると、家庭から産業部門までさまざまな分野の脱炭素化が促進されるでしょう。都市ガスの9割が合成メタンになると、日本全体のCO2排出量を約1割削減できるということからも、その影響力の大きさが見て取れます。
一方で、コストや法整備の面で課題が残されており、実用化に向けてこうした課題を速やかに解決することが求められています。

セミナー・コラムページに戻る