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大雪の被害

大雪によって起きる被害

雪は他の天災と違って、長時間その場に残るため、降っている時だけではなく、降った後も、その周辺地域にさまざまな災害を引き起こします。

停電

雪が電線の上に積もると、その重みで電線が切れ、停電が起こることがあります。特に太平洋側では湿った重たい「ぼたん雪」が降ることが多く、送電線にかかる負荷はより大きくなります。

交通障害

大雪が降ると、交通機関の運休や主要道路の通行止めなどによる、交通障害が発生しやすくなります。線路や道路の除雪作業の遅延や、雪による自動車のスリップ事故などにより、交通障害は長時間化することがあります。
雪に不慣れな太平洋側の平野部では、わずかな積雪でも交通機関が混乱し、社会機能に大きな影響を及ぼすことがあります。

凍結による転倒事故

降り積もった雪が道路上で凍ったり、タイルや大理石の上でシャーベット状になったりすると、表面が滑りやすくなり、そこを歩く人が転倒して頭を強打したり、骨折したりする事故が起きやすくなります。特に、太平洋側の平野部などでは、雪の上を歩くことに慣れていない人が多いため、転倒してケガをする事故が比較的多く発生しています。

家屋の倒壊

大量の雪が屋根に積もると、その重みで家屋が倒壊することがあります。また、ビニールハウスの倒壊や商店街のアーケードの落下が発生することもあります。屋根に2mの雪が積もった場合、その重さは1m2あたり600kg以上といわれています。

自動車利用による事故

大量の雪が降った道路を走行していると、自分の自動車がスリップしたり、他人の自動車のスリップに巻き込まれたりすることがあります。

また、急な暴風雪に遭って排気口(マフラー)が雪でふさがり、逃げ道がなくなった排気ガスが車内に流入して、一酸化炭素中毒になる事故が発生しています。

2018年1月、2月 関東、東北、北陸で記録的な大雪

南岸低気圧及び強い冬型の気圧配置により、2018年1月22日~27日にかけて積雪が東京都千代田区で23cm、宮城県仙台市で19cmになるなど広い範囲で大雪となりました。さらに、2月3日~8日にかけては、強い冬型の気圧配置が続き、山地や山沿いに加え平野部でも大雪となりました。特に、福井県福井市では、この期間の最深積雪が147cmとなり、近年では1981年の豪雪(196cm)以来の記録的な大雪となりました。これらの大雪により広い範囲で、道路の通行止め、鉄道の運休、航空機・船舶の欠航等の交通障害が発生したほか、停電や水道凍結、電話の不通等ライフラインに被害が発生しました。また、除雪作業中の事故も多発しました。

2020年12月~2021年2月 北日本から西日本の日本海側で記録的な大雪

北日本から西日本の日本海側を中心とした地域では、2020年12月14日の本格的な降雪から、平年を上回る降雪に見舞われ、雪による倒木の影響で電線が断線し大規模な停電が断続的に発生した上、一部の地域では、停電が長時間に及びました。さらに、2021年1月7日午後からの短期間に集中した降雪により、新潟県上越市高田では8日(24時間)だけで103cmの降雪が観測されたほか、11日には積雪深が249cmを記録し、1月としては1986年以来、35年ぶりの記録的な大雪となりました。これらの大雪により、生活道路の不通や幹線道路における交通障害を始め、建物や農業施設などに被害が発生し、人々の暮らしや経済活動に大きな影響が生じました。

雪崩(なだれ)による被害

山間部では雪崩が起きる危険があります。その種類と被害状況を見ていきましょう。

雪崩は、斜面に積もった大量の雪が崩れ落ちる現象のことです。積もって固くなった古い雪の上に、新たに降った雪が積もり、新しい雪の層だけが滑り落ちる「表層雪崩」と、雪の層と地面の間に雪解け水が流れて、雪の層全体が滑り落ちる「全層雪崩」の2種類があります。

雪崩の速度は極めて速く、表層雪崩で時速100km~200km、全層雪崩で時速40km~80kmで雪が滑り落ちてきます。その衝撃は、コンクリートの建物も破壊するといわれていて、雪による災害の中で特に恐れられています。

例えば、2006年2月に秋田県仙北市の乳頭温泉で発生した表層雪崩では、作業員1名が死亡、宿泊客16人が負傷し、旅館施設の一部が破損しました。また、2010年2月に長野県下高井郡山ノ内町の志賀高原前山スキー場で発生した表層雪崩により、ホテル駐車場に駐車していた乗用車とバスが流されてホテルに衝突し、窓ガラスが割れて2名の宿泊客が負傷しました。

図:表層なだれ

図:全層なだれ

除雪作業

除雪作業中の事故

豪雪地帯ではほとんどの家庭が、家屋の倒壊を防ぐために、屋根に積もった雪をかき落とす、雪下ろしを行います。しかし、雪下ろし中に足を滑らせて屋根から転落する事故が後を絶ちません。屋根から落ちてきた雪が直撃したり、落ちてきた雪に埋まったりする事故と合わせて、毎年多くの人が亡くなっています。

2005年から2006年にかけての冬に発生した「平成18年豪雪」では、112名の人が除雪作業中に亡くなりました。

雪解け水による災害

春になって雪解け水が大量に川に流れ込むと、川が増水して場合によっては土石流が発生する恐れもあります。また、大量の雪解け水が地中にしみこむことで、地すべりの引き金となることがあります。

受付の多い事故形態

大雪の後に、弊社にご連絡をいただく事故受付の例です。ご注意ください。

  • 自動車運転中のスリップ事故
  • 駐停車中のワイパー折損
  • 積雪荷重によるカーポートの破損
  • 積雪荷重による樋(とい)の変形
  • 積雪荷重による家屋の倒壊
  • すが漏れ*
  • 転倒による受傷事故
  • 屋根に積もった雪が屋内から伝わる熱で溶け、屋根を流れ落ちるうちに再び軒先で凍り、つららや氷堤ができることにより、水の流れをせき止めてしまうことで、屋根材などの隙間から屋内に漏水すること。

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