車の運転と薬の関係

2019年2月号

今月のクイズ

市販の風邪薬のパッケージに「服用後、車の運転をしないでください」と注意書きがあるのに、その風邪薬を服用して車を運転した場合、法律違反になるのでしょうか。次の中から選んでください。

  • (1)道路交通法違反になる
  • (2)道路交通法違反にはならない

病院で薬を処方してもらうとき、医師や薬剤師から「車の運転は控えてください」と言われたことはありませんか?また、ドラッグストアなどで市販薬を購入するとき「車の運転をしますか?」と聞かれたことはありませんか?
今月は、運転時の服用に注意が必要な薬と、ドライバーはどう付き合っていけばよいのかをみてみましょう。

運転操作に影響を及ぼす薬を服用して運転を行うのは、危険です!

車の運転に影響を及ぼす薬が処方されるときは、医師や薬剤師からの説明に加え、薬の説明書にも注意が記載されます。もし、服用後に運転して死傷事故を起こした場合は、危険な運転行為を行った*1として、処罰が重くなる可能性があります。
医薬品副作用データベースによると、2004年4月~2016年3月までの12年間に薬の副作用があったと報告された数は390,669件、そのうち交通事故に至ったケースは342件ありました*2

  • *1自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)
    第2条「次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。」の第1項「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」
  • *2日本交通科学学会 日本交通科学学会誌 第16巻 第1号 平成28年 著:安藤剛・松元一明・横山雄太・木津純子
    「有害事象自発報告データベース(JADER)からみた医薬品による交通事故」より

図:薬局に自分で車を運転してくる患者の割合(2014年12月1日~2015年1月15日 滋賀県と東京都の薬剤師へのアンケート調査より)滋賀県(111 薬局)多い79%、どちらとも言えない14%、少ない7% 東京都(482 薬局)多い 24%、どちらとも言えない16%、少ない60%

  • 出典:公益社団法人日本薬学会 2017年YAKUGAKUZASSHI137(3) 著:永田泰造・山田純一・大原整・木津純子
    「自動車運転に影響を及ぼす医薬品の処方に対する薬局薬剤師の対応」より改変

滋賀県と東京都の薬局に対して行ったアンケート調査によると、患者自身が車を運転してくる割合が多いと答えた薬局は、日常的に車を使用する滋賀県では約8割、公共交通の利用者が多い東京都でも約4分の1を占めていました(図)。薬局にくる患者の中には、病院で注射などによる投薬を受けてきた人がいる可能性があり、その処方された薬に眠気を催したり、意識を消失したりする成分が含まれている可能性もあります。
一方、ドラッグストアなどで手軽に購入できる市販薬も、運転に影響を及ぼす可能性がある薬の場合は薬剤師からの説明があり、薬に添付されている説明書には注意が記載されています。「近い距離だから大丈夫」「薬が切れかかる時間だから大丈夫」と安易に考え運転すると、薬の副作用で意識が遠のいた一瞬の間に、重大事故を起こす危険性が高くなります。

運転操作に影響が出ないように、薬を服用するには・・・

薬の中には、睡眠薬など服用した後は運転してはいけない薬や、風邪薬など服用すると運転に支障をきたすおそれがある薬がある一方、薬を服用し作用が効いた状態で運転すべき場合があります。
では、薬を服用し心身を健康に保って正常な運転ができるようにするには、どうしたらよいのかをみてみましょう。

服用する薬が、運転操作に影響を及ぼす場合は・・・

服用する薬に眠気やアレルギーによる意識障害等の副作用がある場合、服用して運転すれば事故を引き起こしかねません。
医師や薬剤師から、車の運転操作に関する注意を受けた場合は、運転を控えましょう。また、薬局で処方薬と一緒にもらう説明書や、一般の市販薬のパッケージなどには、薬の「使用上の注意」が記載されています。「眠気」「ふらつき」など車の運転操作に影響を及ぼす副作用が記載されている場合や、「車の運転操作はしないでください」と注意がある場合は、服用後の車の運転をやめましょう。
ただし、日常的に車を運転する必要がある場合は、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。運転に影響を及ぼさない薬に変えられる場合があります。

処方薬の用法・用量を適切に守らないと・・・

持病があるドライバーの中には、処方薬の用法・用量を守って適切に服用しないと、運転操作に影響が生じる方がいます。
例えば、高血圧の患者が降圧剤などを適切に服用しないと、緊張を強いる運転の連続に血圧は上昇して脳や心臓に負担がかかり、運転中に突然脳内出血や心筋梗塞等を発症する危険性があります。また、糖尿病の患者が、食事を抜いたまま血糖値を下げる薬を服用すれば、血糖値が下がりすぎて低血糖に陥り、運転中に意識がもうろうとする危険性があります。
高血圧や糖尿病に限らず、持病があるドライバーは処方薬の内容を理解し、用法・用量を守り、適切に服用して運転しましょう。

薬の内容をよく理解するためには・・・

「お医者さんの薬の説明が理解できなかった」「市販薬の風邪薬はどれも眠くなるのかな」と思ったことはありませんか?また、複数の病院から処方薬が出ている患者さんは「薬を飲み合わせて、体調が悪くなったりしないかな」と不安を抱えていませんか?自分がよく通う「かかりつけ薬局」を決めて、市販薬との飲み合わせ等を相談してみましょう。「かかりつけ薬局」の薬剤師にお薬手帳や日頃服用している市販薬を提示し、薬の内容をよく理解して運転に影響を及ぼさないようにしましょう。


今月のクイズの答え