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自転車との事故を回避するためには

2019年4月号

今月のクイズ

2017年中に起きた自転車事故のうち、自転車と衝突した相手側に過失がある事故は77,875件でした。そのうち相手側が四輪車だった事故件数を、次の中から選んでください。

  • (1)
    28,759件(約37%)
  • (2)
    48,759件(約63%)
  • (3)
    68,759件(約88%)

「交差する路地から自転車が飛び出してきて焦った」「夜間、目の前に迫るまで自転車に気付かずヒヤッとした」ということはありませんか?
今月は、四輪車と自転車の事故の発生場所や事故類型を通じ、自転車との事故を回避するためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

自転車との事故は、住宅街や道幅が狭い交差点で多発している

2015年中に起きた四輪車と自転車の事故内容をみると、出合い頭が55%で最も多く、右左折を含めると交差点での事故が85%を占めています(図1)。茨城県のつくば地区周辺で過去に発生した四輪車と自転車の出合い頭事故(200件)が起きたときの、それぞれの通行帯別の構成割合をみてみましょう(図2)。四輪車は、車線による通行区分が無い「区分無し」が最も多く「片側1車線」が続きます。そのとき自転車は「車道」を走っていました。信号機や標識などが整備されていない住宅街の交差点や、道路の幅が狭く見通しが悪い交差点などで事故が起きている様子がうかがえます。

死亡事故では自転車への追突が多く、とくに夜間は昼間の2倍

四輪車と自転車の死傷事故1,000件当たりの死亡事故発生件数(2012年~2016年)を事故類型別にみると、追突事故が最も多く、出合い頭や右左折時の件数に比べ約8倍も高く発生しています(図3)。自転車側は、後方から迫る危険に気付かずに回避行動をとれず追突され、死亡事故に至っていると考えられます。さらに、昼夜別*1に死亡事故の事故類型を比べると、追突が占める割合は昼間が30%で夜間が62%と、昼間に比べ夜間は構成率が約2倍も高くなります(図4)。視認性が悪くなる夜間の走行は、四輪車側が追突する直前まで自転車に気付かず、減速しないまま衝突して死亡事故に至っていると思われます。

  • *1
    「昼間」とは日の出から日没までを「夜間」とは日没から日の出までをいいます。
図1:事故類型別の四輪車と自転車の死傷事故の割合(2015年中) 図2:自転車と四輪車の出合い頭事故発生時の通行帯別構成割合(つくば地区:過去200件) 図1、2出典:公益財団法人交通事故総合分析センター イタルダインフォメーション No.122 平成29年5月「自転車と四輪車の出会い頭事故」より弊社作成 図3:事故類型別の四輪車と自転車の死傷事故1,000件当たりの死亡事故発生件数(2012年~2016年:車道) 図4:昼間と夜間の、事故類型全体に占める追突による死亡事故の構成率(2012年~2016年:車道) 図3、4出典:公益財団法人交通事故総合分析センター イタルダインフォメーションNo.125 平成30年2月「四輪車対自転車の追突事故」より弊社作成

自転車との事故を回避するためには…

自転車には、乗員を守る車体もシートベルトもありません。四輪車が低速だったとしても、衝突すれば自転車の乗員は投げ出され、打ち所が悪ければ致命的な事故になる危険性があります。自転車との事故を回避するためにどうすればよいのかをみてみましょう。

交差点を通過するときは

2015年中の自転車との出合い頭事故で、自転車側の年齢層のうち最も多かったのは10代で、約3割*2を占めます。学生が多い10代は、交通ルールの知識不足等により、自転車の安全走行に対する意識が低い場合が多く、交差点内の安全確認が不十分なまま進入していると考えられます。20代~70代も1割前後と少なくなく、通勤通学の時間帯に、先を急ぐ自転車側の信号が赤に変わりそうなのに「まだ大丈夫」と進入したり、信号の無い交差点では「車はこない」と思い込み通過しようとしたりするケースが考えられます。さらに、自転車に子どもや重い荷物を乗せている場合、危険を発見して自転車のブレーキをかけても、止まりきれずに交差点へ進入するおそれがあります。

  • *2
    出典:公益財団法人交通事故総合分析センター イタルダインフォメーションNo.122 平成29年5月「自転車と四輪車の出会い頭事故」より

信号のある交差点

信号のある交差点で青信号に変わったら、交差する道路から自転車が飛び出してこないか確認するため一拍置いてから、ゆっくりと発進しましょう。
交差点を右左折する場合は、自転車が交差点に飛び出してくる危険性をふまえ、十分な安全確認をしてから徐行で通過しましょう。

信号の無い交差点

信号の無い見通しが悪い交差点では、一時停止の標識が無くても左右から自転車が飛び出してくることを想定し、交差点手前で一旦停止し安全確認を行いましょう。さらに、交差する道路を確認できるところでもう一度停止(二段階停止)し、安全確認を行いゆっくりと通過しましょう。

道路を直進しているときは

最近は、スマートフォンを見たり、音楽を聴いたりしながら自転車で走行している人を見かけますが、周囲に注意が向いていないため、後方から車が接近していることに気付かず、思いもよらない運転行動をとる危険性があります。さらに、子どもは後方の安全確認をせずに急に車道に飛び出してくることがあります。また、自車がハイブリッド車や電気自動車の場合は、走行音が静かなので、自転車側が自車の存在に気付かないおそれがあります。

自転車の横を通過

自転車の横を通過するときは、急に飛び出してくる危険性をふまえ、減速して自転車との間隔をあけて通過しましょう。自転車が車道に飛び出す危険性がある場合は、減速して十分な距離をとるか、場合によっては停止し自転車を先に通行させましょう。

夜間の通行

視認性が悪くなる夕方から夜間は、自転車を見つけにくくなります。薄暗くなったら早めにヘッドライトを点けて、いち早く自転車を発見し危険を回避できるようにしましょう。


今月のクイズの答え