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若年ドライバーの発見の遅れによる事故を防ぐ

2019年5月号

今月のクイズ

2017年中に起きた免許保有者10万人当たりの事故件数は543.5件でした。では、16~24歳(若年ドライバー)の免許保有者10万人あたりの事故件数と全年齢層を比較するとどちらが多いか、次の中から選んでください。

  • (1)
    16~24歳の免許保有者の方が2倍多い
  • (2)
    どちらも同じくらい
  • (3)
    全年齢層の方が2倍多い

2017年中に起きた交通事故のうち、若年ドライバー(16~24歳)の法令違反による事故は61,711件*発生しました。そのうち、脇見運転や安全不確認、動静不注視、運転操作不適などの安全運転義務違反は約8割を占めています。
今月は、若年ドライバーがどのような運転ミスで事故を起こしているのかを通じて、若年ドライバーの事故を防ぐにはどうしたらよいかみてみましょう。

若年ドライバーの事故は、発見の遅れが7割を占めている

2017年中に、16~24歳までの若年ドライバーが起こした交通事故を、認知・判断・操作のどこに誤りが多いのか、人的要因別にした事故割合をみてみましょう(図1)。「前方不注意」が最も多く、「安全不確認」が続き、「発見(認知)の遅れ」だけで全体の7割を超えます。
たとえば「信号が青になったので進もう」としたとき、同乗者との会話に気をとられ前方の注意を怠ると、歩行者や自転車の飛び出しに気付かず事故に至る危険性があります。一方で、信号が青になった時点で左右の安全確認を行えば「自転車が出てきそうだから待とう」と適切に対処することが可能になります。安全な運転操作に必要な正しい判断をする時間を十分にとれないと、発見の遅れにつながり事故を回避することが難しくなります。

若年ドライバーは、運転中に注意が前方からそれて事故を起こしやすい

発見の遅れの詳細な内容を、25~64歳の年代(10歳単位での平均)と比較し、若年ドライバーの事故が特に多いケースをみてみましょう。「居眠り運転」が約2.3倍と最も多く、「雑談等話をしていた」「テレビ操作等」「携帯操作」など運転と関係ない行動で起きた事故も約1.6倍と目立っており、前方不注意が多い傾向がみられます(図2)。
運転経験も社会的経験も浅い若年ドライバーは、「寝不足が居眠り運転につながる」と分かっていても夜更かししたり、「運転中に雑談や携帯電話等の操作は危険だ」ということを知っていても助手席の人と話し込んだり、着信音が鳴れば携帯電話に目をそらしたりするなど、危険に対する認識が甘い可能性があります。さらに「メールチェックしたが、運転には問題なかった」というたまたま運の良い体験が「このくらい大丈夫」と常習化していくおそれがあります。運転と関係の無い行動をとって運転に集中しないことが、いかに危険なのか理解する必要があります。

図1:16~24歳の若年ドライバーの人的要因別事故件数の割合(2017年中)※ 構成比は小数点第1位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。図2:人的要因のうち25~64歳(10歳単位での平均)に比べ、16~24歳の若年ドライバーの事故件数が1.5倍以上多く、かつ100件以上発生しているケースの比較(2017年中)図1,2出典:公益財団法人交通事故総合分析センター 平成29年版 交通事故統計データ「人的要因別・性別 年齢層別 事故件数(1当)-車両」より弊社作成

若年ドライバーの発見の遅れによる事故を防ぐためには

交通状況の中から自車の走行にかかわる情報をいち早く発見し、安全に対処する方法を考え判断し、ハンドルやペダル等を安全に操作するために、若年ドライバー自身や、周囲のドライバーが何に気を付けなければならないのかをみてみましょう。

眠気や疲労がある場合は運転を中止するか、休憩をとり体を休めましょう

睡眠を十分にとっていても、単純な運転操作の繰り返しは眠気を伴うことがあります。
「睡眠不足だな」「疲れているな」と思ったら運転を中止するか、駐車場等安全な場所で仮眠や休憩をとりましょう。

携帯電話やテレビ等、運転以外の操作は、車を停めて行いましょう

運転中に「ちょっとだけだから」と前方から目をそらし、携帯電話やテレビ等の操作をした瞬間に自転車が飛び出してきたら、衝突を避けることはできません。
携帯電話やテレビ、カーナビ等の運転に関係無い操作は、車を安全な場所に停めてから行いましょう。運転中は携帯電話やスマートフォンを、着信音や振動などの着信動作がないようにドライブモード(公共モード)に設定し、カバン等に入れましょう。

一時停止する場所や車線を逸脱するときは、安全確認を行いましょう

一時停止の標識や停止線がある場所は、見通しが悪い交差点等のように、そのまま通過すると事故を起こす危険が生じるため、車を停止して安全確認する必要があります。
また、右左折や車線変更などで自車線から逸脱するときは、十分に周囲の安全を確認する必要があります。

時間や運転にゆとりを持ち、いち早く危険を発見できるようにしましょう

慌てていたり焦っていたりすると、周囲に注意が向かなかったり、安全確認がおろそかになったりすることがあります。
「運転時間に余裕をもって出発する」「十分な車間距離をあける」「速度を抑える」など、日頃から時間や運転にゆとりを持ち、いち早く危険を発見できるようにしましょう。

若年ドライバーは、

今月のクイズの答え