豪雨に遭ったときの視界と対処方法

2019年6月号

今月のクイズ

雨量が30mm/hという大雨の昼間に、前方の白い服を着ている歩行者(マネキン)を発見した車が、歩行者から何m手前で止まれるかを測ったところ、約63mでした。では、歩行者が黒い服を着ている場合の結果を、次の中から選んでください。

  • (1)約78m
  • (2)約58m
  • (3)約38m

(※条件:ヘッドライトを下向きにし、時速40kmで走行)

夏から初秋にかけて、積乱雲の急激な発達により豪雨が発生しやすくなります。
今月は、豪雨で視界が悪いときに前方の車がどのように見えるのかという実験を通して、走行中に豪雨に遭ったときの対処方法についてみてみましょう。

豪雨時にテールランプを点灯させることは、周囲の車への注意喚起にもつながる

豪雨で視界が悪い中、前方に停止している車(前の車)を見つけてすぐにブレーキをかけたとき、前の車の何m手前で止まれたのかをみてみましょう(時速40kmで走行)。
雨量30mm/h*1の場合、昼間は約100m手前で停止しています(図1)。視認性が悪くなる夜間、前の車のブレーキランプが点灯していないときには、自車のヘッドライトが下向きになっていると約50~60m手前で止まりますが、上向きにすると約80~90m手前で停止できています。さらに、前の車のブレーキランプが点灯している場合は、昼間と同じくらい手前で停止することができます。

  • *1雨量が30mm/hの「激しい雨」のときは、ワイパーを速くしても前方が見づらく、道路は川のようになり、高速走行のときはタイヤと路面の間に水の膜ができてスリップしやすい状態(ハイドロプレーニング現象)になります。(出典:気象庁 2014年3月「雨と風の階級表」より)

図1:前方の停止車両を発見し、止まれた位置(雨量30mm/h)

雨量80mm/h*2の場合、前の車が無灯火のときは約24~40mまで接近し停止しており、前方が見えづらい状況であることがわかります(図2)。「まだ24mもある」と感じるかもしれませんが、時速40kmで走行している車なら、約2秒で到達する距離です。一方、前の車がテールランプを点けていると約50~60m手前で停止しています。さらにブレーキランプが点灯している場合は約70m手前で停止しており、前の車に追いつくまで約5~6秒の時間的余裕ができます。豪雨時にヘッドライトを点けることも重要ですが、テールランプを点灯させることは、周囲の車へ注意喚起し事故防止につながることがわかります。

  • *2雨量が80mm/hの「猛烈な雨」のときは、あたり一面が水しぶきで白っぽくなって視界が悪くなり、道路は冠水する危険性が高まるので、車の運転自体が危険です。(出典:気象庁 2014年3月「雨と風の階級表」より)

図2:前方の停止車両を発見し、止まれた位置(雨量80mm/h) 図1,2出典:JAF(一般社団法人日本自動車連盟)2018年5月JAFユーザーテスト「豪雨のとき、前方の車や歩行者はどう見える?」より弊社作成

豪雨に遭ったときの対処方法

急激な積乱雲の発達による豪雨は、全国どこでも起こる可能性があります。走行中に豪雨に遭ったときの安全な対処方法をみてみましょう。

雨量が50mm/h以上の降水予報が出ているときは、運転を控えましょう

「雷をともなう」「大気の状態が不安定」「竜巻などの激しい突風」などの天気予報が出ていたら、急な大雨を降らせる積乱雲が発生しやすい状況にあります。出かける直前にWebや携帯アプリで詳細な気象情報をチェックし、雨量が50mm/h*3以上の降水予報が出ている場合は、運転を控えましょう。

  • *3あたり一面が水しぶきで白っぽくなって視界が悪くなり、マンホールから水が噴出したり土石流など災害が発生したりしやすい状況になるので、車の運転自体が危険です。(出典:気象庁 2014年3月「雨と風の階級表」より)

視界を確保するため、フロントガラスの清掃やワイパーの点検整備を行いましょう

豪雨時は雨粒に加え、前の車や対向車が跳ね上げる水しぶきがフロントガラスにかかり、前方が見えにくくなります。フロントガラスに汚れや油膜が付着していると、ウォッシャー液を使いワイパーをかけても、汚れを落としきれずに視界がさらに悪くなることがあります。また、ワイパーのゴムが劣化していると、フロントガラスの水をはらいきれません。日頃から、フロントガラスの清掃やワイパーの点検整備を行いましょう。

天候の変化を感じたら、豪雨になる前に運転を中止して避難しましょう

走行中、「黒い雲が近づいてきた」「雷の音が聞こえる」「窓を開けたら風が冷たい」などと天候の変化を感じたら、積乱雲が近づいてきている可能性があります。豪雨になる前に迷わず運転を中止し、安全な場所に車を停め、乗員は堅牢なつくりのビルに避難するなど、身の安全を確保しましょう。
また、自車が、河川近くや高架下、アンダーパスなど大雨で冠水しそうな場所を走行している場合は、速やかに高い場所に避難しましょう。

走行中に雨が強くなったら徐々に減速し、車間距離をあけ、ヘッドライトを点けましょう

豪雨時は、タイヤと路面の間に水の膜ができてスリップしやすい状態になる危険性があります。雨が強くなってきたら急ハンドル・急ブレーキを避け、タイヤが路面をとらえていると感じられるまで徐々に減速して、前の車との車間距離を十分にあけましょう。昼間でもヘッドライトを点け、夜間は上向きにして前方の視認性を高めるとともに、周囲に対し自車の存在を知らせましょう。

路肩に寄せて車を止め、ブレーキランプの強い光で後続車の追突を防ぎましょう

前の車がよく見えないほど雨が強い状態になると、運転自体がとても危険になります。ハザードランプを点滅させ、車を路肩に寄せて止めましょう。停止中は、テールランプを点けた状態で、さらにブレーキペダルを踏み続け、ブレーキランプの強い光で後続車の追突を防ぎましょう。


今月のクイズの答え