健康起因事故を防ぐには~脳・心臓疾患や体調不良等で、ドライバーの健康状態が急激に悪化し、運転に支障を及ぼすことを防ぐために~

2019年10月号

今月のクイズ

2013年~2017年の5年間に、バスやトラック、タクシー等の事業用自動車のドライバーが、運転中(信号待ちを含む)に意識障害(意識がもうろうとしたり、失ったりする)等で運転操作が不能となった事案が何件発生したか、次の中から選んでください。

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「健康診断で血圧や血糖の値が少し悪かったけど、体調はいいから大丈夫」と考えてハンドルを握っている方、本当に心配はないですか?
今月は、ドライバーの「健康起因」により交通事故や運転中断に至る「事故」*1を通し、安心安全な運転のためにドライバー自身が健康状態を把握して適切に対応するにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

  • *1「健康起因事故」とは、脳・心臓疾患や体調不良等により、運転操作に支障を及ぼして交通事故や運転を継続することができなくなったものをいいます。

心臓や脳の疾患に起因する事故が多い

2013年~2017年の5年間で、健康起因事故を起こしたバスやトラック、タクシー等の事業用自動車のドライバーは1,201人いました。その原因となる疾病の内訳をみると、「心臓疾患」と「脳疾患」が最も高く約3割を占めています(図1)。
また、健康起因により死亡したドライバーは224人で、死亡率*2は19%でした。その内訳は、「心臓疾患」が約半数を占め、次いで、大動脈にコブができたり裂けたりする「大動脈瘤及び解離」が多くなります。


図1:健康起因事故の疾病別の内訳(2013年~2017年)

健康起因事故を起こしたドライバーは、血圧等の健康指標の数値が悪い

健康起因事故及び居眠り運転事故が発生した事業者へのアンケート調査(国土交通省中部運輸局管内)によると、健康起因事故を起こしたドライバーは日本人の平均に比べ、一般的な健康指標の数値が悪い傾向にあります(図2)。脳疾患は血圧や中性脂肪、心臓疾患は総コレステロールの数値が目立ちます。
自覚症状がないまま放置していると、時間経過とともに高血圧や高血糖で血管が傷ついたり、血管に徐々に脂が溜まって血液の流れが悪くなったりして、運転中に脳出血や心筋梗塞、大動脈瘤等が突然発症する可能性があります。


図2:健康起因事故を起こしたドライバーと日本人の平均の、
健康指標の比較

健康起因事故を防ぐには

運転中に、心臓や脳、血管等の疾患を突然発症すると、急激に注意力が低下して意識が遠くなり、運転操作が困難になるため重大事故に至る危険性があります。このような健康起因事故を防ぐには、どうしたらよいかをみてみましょう。

健康診断を受診して、自身の健康状態を正しく把握しましょう

1年に1回は健康診断を受診しましょう。医師の所見や検査結果の数値等により、自身の健康状態を正しく把握しましょう。検査結果で再度の検査や精密検査の記載がある場合は、必ず再受診しましょう。「要経過観察」とある場合は、検査結果のアドバイス等に従い、日常生活の中で健康状態を改善するように努めましょう。

毎日10分間の運動と、バランスの取れた食生活で、健康維持に努めましょう

運動が苦手でも、通勤時に毎日10分間だけ早歩きをする、エレベーター・エスカレーターをやめて階段を上るなど、毎日10分ほど少し汗ばむくらいの運動をしてみましょう。
また、一日の活動の基礎となる朝食を抜かずに、野菜を多めに取り入れたバランスの良い食生活を心がけて健康維持に努めましょう。

  • (参考:厚生労働省「スマート・ライフ・プロジェクト」より)

病気に罹患している場合は、医師や薬剤師の指示に従いましょう

治療中の病気や持病がある方で、医師から車の運転操作に関する注意を受けた場合は、自分の判断で運転せず、注意事項をしっかり守るようにしましょう。説明書に「ふらつき」「車の運転はしないでください」等の副作用の注意書きがある処方薬や市販薬を服用した場合は、運転を控えましょう。
また、処方薬を服用しないと運転操作に影響が出る場合は、医師や薬剤師の説明をよく理解し、用法・用量を守り、適切に服用して運転しましょう。

運転中に体調不良になったら、運転を中止しましょう

運転中に体調不良になった場合は、車を駐車場などの安全な場所へ移動して休憩しましょう。体調が回復しない場合は、運転代行を頼むなどして、運転を中止しましょう。体調が悪化した場合は、迷わずに救急隊(119番)を呼びましょう。同乗者が無く救急隊を呼べる状態ではないという場合は、頭や肩などでクラクションを鳴らし続け、周囲に助けを呼びましょう。

以下の前兆や自覚症状はありませんか?脳・心臓疾患の可能性もありますので、早急に病院で診察を受けましょう
  • 左胸、左肩から背中にかけて、痛みや圧迫感、締め付けられる感じがある
  • 息切れ、呼吸がしにくい
  • 脈が飛ぶ、胸部の不快感、動悸、めまいなどがある
  • 片方の手足、顔半分のまひ、しびれを感じる
  • 言語の障害が生じる
  • 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠けるなどの知覚の障害が生じる
  • 強い頭痛がある

    • 出典:国土交通省自動車局 平成26年4月改訂「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」より


今月のクイズの答え