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生活道路の安全走行

2020年2月号

今月のクイズ

2019年8月に行った全国94カ所の「信号機のない横断歩道」における歩行者優先の実態調査で、歩行者が横断歩道を渡ろうとしているときに、一時停止した車はどのくらいの割合だったか、次の中から選んでください。

  • (1)
    17.1%
  • (2)
    27.1%
  • (3)
    37.1%

自宅周辺を運転するとき「慣れた道」だと思い、気を抜きがちです。地域住民が日常生活のために利用する生活道路は、道幅が狭く車道と歩道の区別があいまいな箇所があったり、自転車が道路の真ん中を走行していたりするなど、人と車両が混在しやすいため、走行には細心の注意が必要です。
今月は、生活道路で起きた死傷事故の内容を通し、歩行者や自転車が安全に通行できるようにするにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

生活道路では、歩行者や自転車の死傷事故が増える

2015年の交通事故による死傷者数の割合を、幅員5.5m以上の幹線道路と5.5m未満の生活道路に分けて比較した報告書をみると、生活道路では自動車の割合が約3/4に減る一方 、自転車は2倍、歩行者は約1.4倍になります(図1)。年齢層別では、15歳以下の子どもと65歳以上の高齢者は、他の年齢に比べ生活道路での死傷者の占める割合が高くなっています。
また、生活道路のどこで死傷事故が起きたのかをみると、信号のない交差点が約半数と多く、信号のある交差点、交差点付近を含めると約68%を交差点とその付近が占めます(図2)。法令違反別にみると、車両が第1当事者(過失が最も重い当事者)の場合は、安全不確認が36%を占め、一時不停止、交差点安全進行違反がそれぞれ10%、脇見運転や動静不注視(相手の動きを見誤る)もそれぞれ9%と少なくありません(図3)。一方、歩行者が第1当事者の場合は、飛び出しが約半数を占め、信号無視や横断方法等違反が続きます(図4)。

図1:車道幅員別状態別死傷者数の割合(2015年)
図2:道路形状別死傷事故件数の割合(幅員5.5m未満、2015年)

図3:車両等(第1当事者)の法令違反別死傷事故件数の割合(幅員5.5m未満、2015年)
図4:歩行者(第1当事者)の法令違反別死傷事故件数の割合(幅員5.5m未満、2015年)
  • 構成比は小数点第1位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。

生活道路で、歩行者や自転車の安全を確保し走行するには

生活道路において、車は歩行者や自転車の安全の確保に、細心の注意を払い走行する必要があります。では、どうしたらよいのかをみてみましょう。

歩行者や自転車の横を通るときは、速度を落とし距離をあけて通過するか、一時停止して先に通行させましょう

最近は走行音が静かな車が増えたため、歩行者や自転車が近付いてくる車に気づいていない可能性があります。狭い歩道や、道路と歩道の境界線が曖昧な場所などで歩行者の横を通るときは、注意を払いながら速度を落とし、距離をあけて通過しましょう。とくに、小さな子どもは周囲を気にせず道路に飛び出す危険性があるので、子どもを見かけたら速度を落とし、警戒しながら走行しましょう。
また、自転車の行動に危険を感じた場合は、一時停止して自転車を先に通行させましょう。

横断歩道以外の場所でも、歩行者が道路を渡ろうとしているときは、一時停止を行いましょう

歩行者が横断歩道を渡ろうとしている、または横断中のときは、直前で必ず一時停止しましょう(道路交通法第38条*)。横断歩道付近に歩行者がいない場合はそのままの速度で通過できますが、歩行者がいる場合はいつでも止まることができる速度で走行しましょう。
また、横断歩道以外の場所で歩行者や自転車が道路を横断しているときも、直前で一時停止を行い歩行者の安全を確保しましょう(道路交通法第38条の2*)。

  • *
    道路交通法第38条及び第38条の2に違反した場合は、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。

信号のない交差点を通過するときは、十分な安全確認を行いましょう

生活道路は信号のない交差点が多くあります。一時停止の標識があったり、見通しが悪かったりする交差点では、必ず一時停止し周囲の安全確認を十分に行ってから通過しましょう。また、見通しがよく一時停止の標識が無い場合でも、交差する道路から人や自転車等が飛び出してくるかもしれません。速度を十分に落とし交差点内の安全確認を行ってから通過しましょう。

時速30km以下で走行しましょう

生活道路で、事故時の車の速度が時速30kmを超えると、死亡事故につながる確率が約4倍になります(図5)。
走行速度が時速30km以下の場合、歩行者や自転車の飛び出しなどを発見しやすく、車を停止させる時間的な余裕が生まれます。制限速度は必ず守り、生活道路は時速30km以下で走行しましょう。


図5:生活道路の速度別の致死率(2018年)

生活道路では、

今月のクイズの答え