高齢ドライバーによる重大事故を防ぐには

2020年10月号

今月のクイズ

2019年中に起きた、75歳以上の高齢ドライバーによる交通事故(30,459件)のうち、事故原因として最も多い法令違反を次の中から選んでください。

  • (1)運転操作不適
  • (2)安全不確認
  • (3)脇見運転

高齢ドライバーが運転操作を誤るなどして、重大事故を起こすニュースを耳にします。
今月は、運転経験豊富な75歳以上の高齢ドライバーがなぜ重大事故を起こすのか、死亡事故のデータを通して考え、未然に防ぐためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

高齢ドライバーの重大事故は、認知症が関係している?

乗用車・貨物車のドライバーが起こした死亡事故件数を免許人口10万人当たりでみると、75歳以上が6.0件で、75歳未満の約2.2倍多く発生していました(図1)。高齢ドライバーが重大事故を起こしやすいことがうかがえます。
高齢ドライバーの重大事故は、認知症などの認知機能が関係していると思われがちですが、死亡事故を起こした高齢ドライバーの認知機能検査の内容をみると、「認知機能低下のおそれなし」が全体の約6割を占めています(図2)。高齢ドライバーは認知機能に関係なく誰でも重大事故を起こすおそれがあります。


図1:乗用車・貨物車のドライバー(第1当事者)が起こした年齢層別の免許人口10万人当たりの死亡事故件数(2019年中)


図2:死亡事故を起こした75歳以上の高齢ドライバーの認知機能検査結果の割合(2019年中)

高齢ドライバーは、「慌て」や「焦り」、発見の遅れなどにより事故に至る

高齢ドライバーが起こした死亡事故件数を昼夜別にみると、昼間が約8割を占めます。発生場所は非市街地が約半数で、自宅からの距離も5km以内が約6割でした*1。高齢ドライバーは、自身の視力や身体能力の低下を感じて、視界が開ける昼間に自宅の近くを運転している様子がうかがえますが、なぜ重大事故に至るのでしょうか。
高齢ドライバーの死亡事故の人的要因の割合をみると操作不適が30%で最も多く、75歳未満のドライバーと比べて約2.5倍も発生しています。このうち、ハンドルの操作不適が約15%、ブレーキとアクセルの踏み間違いが約8%を占めており、「慌て」や「焦り」により運転操作を誤り重大事故に至る様子がうかがえます(図3)。
一方、交通事故全体における高齢者の事故原因として最も多い法令違反は「安全不確認」でした。安全確認を十分に行わなかったことにより、危険の発見が遅れ事故に至ると考えられます(図4)。


図3:四輪車ドライバー(第1当事者)の年齢層別/人的要因別死亡事故の割合(2019年中)


図4:75歳以上のドライバー(第1当事者/原付以上)の法令違反別の交通事故割合(2019年中)

  • 図4出典:警察庁交通局 令和2年2月「令和元年中の交通事故の発生状況」より弊社作成

高齢ドライバーによる重大事故を防ぐには

高齢ドライバーによる重大事故を防ぎ、安全運転を続けるためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

ご自身の運転について、ご家族や周囲の人の声に耳を傾けましょう

「最近、車のキズが増えた」「交通違反の切符を切られた」といった、これまでに経験がないような出来事があれば、ご家族や周囲の人に、ご自身の運転についてどう思うかを聞いてみましょう。耳に痛い言葉が返ってくるかもしれませんが、客観的な評価でもあります。それを踏まえた上で、今後の運転についてご家族や周囲の人とよく話し合い、考えてみましょう。

慌てず焦らずに、安全確認を十分に行い、慎重な運転操作を心がけましょう

運転経験が豊富になるほど、自分の運転は「大丈夫」と思い込み、交通環境への油断や習慣化された運転をしがちになります。しかし、若いころよりも確実に身体能力や情報処理能力は低下しています。不意に自転車が現れて慌てたり、交差点を右折するのに焦ったりしたとき、判断や操作を誤る可能性が高くなります。
一時停止の標識があるところでは、停止線で車を止め、安全確認を十分に行いましょう。交差点での右折や車庫入れなど複雑な運転操作を要するときは、一つ一つ順番に安全確認を行い、慎重な運転操作を心がけましょう。

視機能の低下を自覚し定期的に眼科検診を受けましょう

ご自身に自覚が無くても、加齢とともに視力の低下や視野が狭くなり、さらに眼球を動かす筋肉も衰えて動体視力が低下します。そうなると、運転中に標識や歩行者、車両の動きを的確にとらえることが難しくなり、危険の発見に遅れが生じてしまいます。視力検査はもちろんのこと、定期的に眼底検査を含む眼科検診を受け、問題があれば早期に治療を行いましょう。

車を買い替えるときは、サポカーSの車を検討してみましょう

ドライバーの運転をサポートし、安全を支援するシステムを搭載した車が実用化されています。中でも、衝突被害軽減ブレーキ*2やペダル踏み間違い急発進抑制装置*3などを搭載している車(サポカーS)は、事故を未然に防いだり被害を軽減したりすることが可能な先進安全技術搭載車です。車を買い替えるときは、ご自身の運転をサポートしてくれるサポカーSの車を検討しましょう。軽自動車やコンパクトカーでも、サポカーS機能もしくは同等の機能が付いている車があります。
ただし、安全装置を頼りすぎずに装置の機能を正確に把握した上で、上手に活用しましょう。

「セーフティ・サポートカー(サポカー)」とは衝突被害軽減ブレーキを搭載した、すべての運転者に推奨する自動車です。

「セーフティ・サポートカーS(サポカーS)」とは衝突被害軽減ブレーキに加え、ペダル踏み間違い急発進抑制装置等を搭載した、特に高齢運転者に推奨する自動車です。


今月のクイズの答え