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冬道でスリップしないためには

2020年12月号

今月のクイズ

2019年中に四輪車が起こした事故のうち、路面の状態が「凍結や積雪」及び「湿潤や水たまり」が原因で運転操作や制動距離等に影響を及ぼした事故は2,290件発生しました。では、それぞれの事故件数を次の中から選んでください。

  • (1)
    「凍結や積雪時」 1,762件/「湿潤・水たまり」 528件
  • (2)
    「凍結や積雪時」 528件/「湿潤・水たまり」 1,762件

これからの季節、車の冬支度はお済みですか?冬道の走行は、雪が降らない地域でも路面の凍結に注意を払う必要があります。
今月は、凍結時や積雪時に起きたスリップ事故の内容を通し、冬道の安全走行についてみてみましょう。

スリップ事故はどこで起きやすい?

2019年中に起きた凍結時の舗装道路での交通事故(四輪車、二輪車)は2,576件で、積雪時(1,778件)の約1.4倍になります。死亡事故に絞ると凍結時は30件で、積雪時(9件)の約3.3倍も多く、路面が凍ると重大事故が起きやすくなるのがわかります。
凍結時の交通事故がどこで起きているかをみると、「単路(その他)」のいわゆる直線道路での事故の割合が高くなっています(図1)。積雪時と比較すると、「交差点付近」や「トンネル」、「橋」、「カーブ」での発生割合が増えます。路面が冷え込んで凍ると、タイヤは路面を捉えきれずスリップしやすくなります。ところが、路面を一見しても凍結しているとわかりにくいため、乾燥した道路から速度を落とさずに進行すると、スリップして追突事故や車線逸脱による衝突事故を起こす危険性があります。
一方、積雪時の事故は、「交差点」や「単路(その他)」で多く発生しています。路面に積雪があれば、あらかじめ速度を落として走行するので、凍結時に比べると事故は少なくなりますが、わだちに沿って車が進むため、危険を発見してもハンドルを切って回避することができにくく事故が起きやすくなります。また、わだちの凹面は、圧雪で硬くなっていたり、シャーベットのように緩くなっていたりしていることがあり、タイヤがスリップして制動距離が長くなる危険性があります。

図1:舗装道路における凍結時や積雪時の道路形状別の事故割合(2019年中)

スリップ事故が起きる原因は?

新潟県で、2018年12月~翌年3月までの4か月間に、スリップによる人身事故は70件発生しました。法令違反別にみると、ブレーキとハンドル操作の誤りで全体の約8割を占めています(図2)。事故時の人的要因をみると、「ブレーキを強く掛け過ぎた」が多く、「驚愕」して急ブレーキや急ハンドルの操作をしたケースが続きます。また、「凍結等に気づかなかった」という回答もみられました(図3)。

図2:スリップが要因の人身事故の法令違反別の割合(新潟県/2018年12月~翌年3月)
  • 構成比は小数点第1位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。
図3:スリップが要因の人身事故時の主な人的要因(新潟県/2018年12月~翌年3月)
  • 出典:
    新潟県警察本部交通部交通企画課 令和元年11月「冬道の安全走行」より弊社作成

凍結や積雪のある道路でスリップしないためには

凍結や積雪のある道路でスリップしないためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)に交換し、タイヤチェーンも装備しよう

2019年中に四輪車が起こしたタイヤの整備不良による事故のうち、冬道での夏タイヤ使用が約半数*を占めました。冬用のスタッドレスタイヤは、低温でも柔軟性を保つ特殊なゴムでできており、深い溝が雪道や凍った路面を捉えてタイヤを回転させます。ただし、空気圧の低下や溝が浅くなったまま走行するとスリップしやすくなります。冬になる前に、タイヤを夏用から冬用に交換し、出庫前には点検を行うようにしましょう。
一方、雪を踏み固めてできたアイスバーンのような路面では、冬用タイヤを装着していてもスリップを起こす危険性があります。また、タイヤチェーンを装着しないと走行できない「チェーン装着車以外通行止」の箇所もあるので、タイヤチェーンは必ず車に装備しましょう。

車間距離をとり、ゆっくりした速度で走行しよう

路面の凍結に備えて走行する場合は、スリップしたときのことを考えていつもより長めに車間距離をとり、ゆっくりした速度で走行しましょう。
また、急発進・急ハンドル・急ブレーキを避ける必要があります。凍結や積雪の道路を走り始めるときは、ブレーキから足を離したときに車が動き始める「クリープ現象」を利用して静かに走り始めましょう。停止するときは、エンジンブレーキを利用して普段より早めに減速し始め、軽くブレーキを踏んだだけで停止できるようにしましょう。

カーブではゆっくり操作しよう

路面の凍結もしくは積雪があるカーブは、ハンドル操作が効かなくなる可能性が高くなります。カーブを曲がるときは、ハンドルをゆっくりと操作しましょう。カーブから出るときは、アクセルを踏み込まずゆっくりと加速させましょう。

橋の上やトンネルの出入口付近は、速度を落としハンドルをしっかり握って走行しよう

橋の上やトンネルの出入口付近は風を遮るものがないので、路面が凍結しやすくなります。
乾燥した路面からそのままの速度で橋を渡ろうとしたり、トンネルから出ようとしたりするとスリップする危険性があります。橋の上やトンネルの出口では、「凍結しているかもしれない」と意識して、速度を落としハンドルをしっかり握って走行しましょう。

日暮れから翌朝までは、スリップ事故が起きやすいので注意して走行しよう

日が暮れると、雪などで濡れた路面の水が凍り始めるため、スリップしやすくなります。
また、夜間は道路の凍結した箇所が濡れたように見える(ブラックアイスバーン)ので、路面凍結に気付き辛く十分な注意が必要になります。朝になると、凍結した路面の表面の氷が溶け出して、車が水の上をすべる状態になる危険性があります。日暮れから翌朝まではとくにスリップしやすい時間帯だと認識し、注意して走行しましょう。


今月のクイズの答え