二輪車の存在や動きを見落とさない!

2021年3月号

今月のクイズ

二輪車(126cc~250cc)の2019年中の販売台数は58,359台でした。では、2020年中の販売台数を次の中から選んでください。

  • (1)
    42,392台(約27%減)
  • (2)
    58,392台(同率)
  • (3)
    74,392台(約27%増)

交差点を右折するときや見通しの悪いカーブを曲がるとき、急に二輪車が現れヒヤッとしたことはありませんか?二輪車乗車中の死者数は2019年中は10年前の約4割減になりましたが、2020年1月~11月は前年同月と比べ約5%増えました。
今月は、二輪車と四輪車の衝突による死傷事故の状況から、二輪車との事故を防ぐためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

二輪車の存在や動きを見落として死傷事故が起きる

2013年~2017年の5年間に起きた二輪車乗車中の車両相互事故による死傷者(335,514人)のうち、相手が四輪車だったケースは306,359人で約9割を占めています。二輪車と四輪車との死傷事故の事故類型をみると、出会い頭(約32%)事故の死傷者が最も多く、次に右折時(約24%)、左折時(約14%)と、交差点等での死傷者が多いことがわかります(図1)。一方、それぞれの事故類型に占める死者数の割合をみると正面衝突が最も多くなり、シートベルトもエアバックもない二輪車への影響は重大であることがわかります。
出会い頭のうち交差点での死傷者数を、信号機の有無別にした割合でみると「信号機なし」が全体の約84%を占めています(図2)。信号機の無い交差点で、二輪車の飛び出しを予測できず出会い頭事故に至る様子がうかがえます。
右折時のうち、右折直進(右折車両と直進車両の衝突)事故での死傷者数は58,922人でした。そのうち四輪車が「右折」で二輪車が「直進」による事故の死傷者は約75%を占めています(図3)。そのときの四輪車側の人的要因をみると、安全不確認が約8割を占め、「二輪車は見えるところにいたが存在を認識していなかった」や「衝突してはじめて二輪車がいたことを知った」等、二輪車に気付いていないケースが多くみられました。
また、二輪車の過失による四輪車との正面衝突の死傷事故のうち発生場所別でみると、「カーブ・屈折」が約6割を占めていました(図4)。カーブを曲がる際に二輪車が対向車線に逸脱し、四輪車と正面衝突しているケースがうかがえます。

図1:二輪車対四輪車の車両相互事故の事故類型別死傷者数と死者の割合(2013年~2017年)
図2:二輪車対四輪車の出会い頭のうち、交差点での死傷者数を信号機の有無別にした割合(2013年~2017年)
図3:二輪車と四輪車の右折時のうち、右折/直進事故の死傷者数の進行方向構成割合(2013年~2017年)
  • 構成比は小数点第1位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。
図4:二輪車の過失による四輪車との正面衝突のうち、道路線形別死傷者数の割合(2013年~2017年)

二輪車との事故を防ぐためには

二輪車との事故を防ぐためには、どうしたらよいのかを見てみましょう。

信号機の無い交差点では、十分な安全確認を行いましょう

見通しの良い悪いにかかわらず、信号機の無い交差点では二輪車が飛び出してくることを考え、停止できる速度に減速し、一時停止の標識がある箇所では必ず停止しましょう。十分な安全確認を行い、二輪車が来る場合は通り過ぎるのを待ってから、ゆっくりした速度で交差点を通過しましょう。

交差点の右折時は、十分な安全確認を行い、いつでも停止できる速度で右折しましょう

交差点を右折するとき、対向車やその先の横断歩道の状況等に意識がとられてしまい、二輪車の存在に気付かない可能性があります。対向車が交差点手前で停止したと同時に、右折を開始しようとすると、二輪車が対向車の陰から直進してきて衝突する危険性が生じます。また、対向車が二輪車だけで信号機が赤色だったとしても、交差する道路の信号機が青色になる前に通過しようと、二輪車側が速度を上げて交差点に進入する可能性もあります。
右折するときは、十分に減速して交差点に入り、対向車やその先の横断歩道を歩行者が通行している場合は、交差点内で停止して十分な安全確認を行いましょう。対向車が停止したら、二輪車の飛び出しを想定し、いつでも停止できるように人が歩く程度のゆっくりした速度で右折しましょう。

交差点の左折時は、左後方の安全確認を十分に行いましょう

交差点を左折するとき、左後方の安全確認を行わないと、後方から近づく二輪車を巻き込む事故につながる危険性があります。
左折するときは、周囲に左折することを知らせるためのウィンカーを点け、左後方から二輪車が来ていないかサイドミラーで安全確認し、車線の左側に寄って減速しましょう。二輪車が遠くに見えても交差点では追いつかれる可能性があるので、交差点が近くなったらサイドミラーと目視で再び安全確認し、二輪車が近づいている場合は交差点手前で停止して、二輪車が通過するのを待ちましょう。

カーブでは十分に速度を落とし、ハンドルを安定させて曲がりましょう

カーブや曲がり角では、二輪車が対向車線を逸脱してくる危険性があります。曲がるときに四輪車側の速度が落ちていれば、安定したハンドル操作が可能になり危険を回避しやすくなります。
カーブに入る前に、アクセルペダルから足を離し「このくらいなら大丈夫」と思う速度より、もう少しだけ速度を落とし、カーブを曲がりましょう。カーブを曲がり終え、先の見通しが良くなったら速度を上げましょう。

今月のクイズの答え