子どもたちを守るための安全運転とは
2021年4月号
今月のクイズ
2013~2017年(5年間)に起きた小学生の歩行中の交通事故のうち、小学1・2年生(低学年)の負傷者数が最も多かった月を、次の中から選んでください。
- (1)5月
- (2)6月
- (3)10月
- (4)11月
春になると、小学1年生の初々しく微笑ましい登校風景をあちらこちらでみかけます。一方、親の手を離れて外を歩き始めるため、交通事故に遭う危険性も高まります。
今月は、小学1・2年生(低学年)がどのような状況で交通事故に遭っているかを踏まえ、未来ある子ども達を守るための安全運転についてみてみましょう。
子どもの飛び出しに気を付けよう
2015~2019年(5年間)の交通事故による小学生の死亡重傷者数を事故時の状態別にみると、小学1・2年生(低学年)は歩行中の事故が多く、5・6年生(高学年)の約3倍になります(図1)。低学年の歩行中の事故が起きた時間帯は、朝(7時台)と夕方(15~17時台)が多くなっています(図2)。事故時に何をしていたかをみると、登下校中の事故が約3割で、遊戯や訪問などの私用が残りを占めています(図3)。子ども達の朝夕の登下校や遊び、習い事に出かける時間帯は、ドライバーが仕事や通勤、買い物などで先を急ぐ時間帯とも重なります。
2013~2017年(5年間)の低学年の交通事故による死傷者数をみると、事故に遭った地点は、交差点内が最も多くなりますが、中央線が無い道路(非分離道路)や通行帯が区分されている道路(第1通行帯)などでも多く発生しているため、走行中は注意が必要です(図4)。事故状況をみると、道路横断中が全体の約3/4を占めます(図5)。歩行者優先の横断歩道で起きた死傷事故が全体の約28%を占めていますが、その他の場所を横断したケースで最も多く事故が発生しています。2014~2018年に起きた低学年の歩行中の死亡重傷事故*の法令違反をみると、子ども自身の「飛び出し」が約40%で最も多く、「違反なし」が約32%、横断歩道以外で道路を横断するなどの「横断違反」が約18%と続いています。交通環境に慣れていない子どもの道路への飛び出しや、横断歩道を渡ろうとする行動に、ドライバーは十分に注意を払う必要があります。
- 図1、2、3出典:内閣府 令和2年版「交通安全白書 特集 未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」より弊社作成
- 図4、5出典:警察庁交通局 平成30年3月「児童・生徒の交通事故」より弊社作成
- *警察庁交通局 平成31年3月「歩行中児童の交通事故の特徴等について」より
子どもたちを守る安全運転とは
子どもたちが活発に行動する時間帯や、子どもたちの多い場所では慎重に運転をする必要があります。子どもたちを守るための安全運転についてみてみましょう。
学校の近くや生活道路では、慎重に運転しましょう
通学路の安全のために、学校を中心とした半径500m内にスクールゾーンが設置され、速度規制があったり、登下校時の通行が禁止になっていたりします。また、生活道路の区域であることを示すゾーン30では、最高速度30km/hの規制があります。これらの標識や道路標示をよく見て、小学校周辺や生活道路など子どもが多い場所を把握し、速度を落として慎重に運転しましょう。
歩道にいる子どもの近くを通過するときは、速度を落とし、距離をあけましょう
子どもは、大人より目線が低く視野も狭いため、近づいてくる車を容易に把握することができません。さらに、子どもは興味があることに気が移りやすいため、道路の向こうに友達を見つけたときなどは、周囲を気にせず道路に飛び出す危険性が高くなります。
歩道にいる子どもや路側帯を通行中の子どもを見かけたら「車に気付いていない」と考え、子どもの飛び出しを疑い、速度を落とし、子どもとの距離をあけて通過しましょう。
見通しの悪い交差点や路地では、二段階停止し、十分な安全確認を行いましょう
左右の見通しの悪い交差点や路地では、危険を理解していない子どもが急に飛び出してきたり、曲がった先に現れたりする危険が潜んでいます。見通しの悪い交差点や路地を通過するときは、二段階停止を実行し、十分な安全確認を行いましょう。
横断歩道では、周囲の安全確認をしてから、徐行して通過しましょう
信号のない横断歩道付近に子どもがいる場合は、注意深く観察し、徐行して通過しましょう。子どもが横断しようとしている場合は、一時停止し、渡りきるのを見届けてからゆっくり発進しましょう。
信号のある横断歩道付近では、青信号になってもすぐに発進してはいけません。子どもが横断歩道に出てこないかを確認してから発進しましょう。
- 学校の近くや生活道路では、慎重に運転しましょう
- 歩道にいる子どもの近くを通過するときは、速度を落とし、距離をあけましょう
- 見通しの悪い交差点や路地では、二段階停止し、十分な安全確認を行いましょう
- 横断歩道では、周囲の安全確認をしてから、徐行して通過しましょう
今月のクイズの答え
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(1)
5月
小学校低学年は、新しいお友達と遊び始める5月に歩行中の交通事故が最も多くなります。また、外で活動しやすい気候の6月、10月、11月も多くなっています。
図6:月別負傷者数(小学校低学年の歩行中)(2013~2017年) - 図6出典:警察庁交通局 平成30年3月「児童・生徒の交通事故」より弊社作成
- 図6出典: