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便利な自転車は運転次第で危険な乗り物になる

2021年5月号

今月のクイズ

自転車が悪質で危険な運転を繰り返し行った場合、四輪車と同様にあおり運転(妨害運転罪)の処罰対象となるか、次の中から選んでください。

  • (1)
    自転車は、あおり運転の処罰対象にならない
  • (2)
    自転車も、あおり運転の処罰対象になる

風が心地よい季節、自転車で出掛けようと考えている人もいらっしゃることでしょう。ところで、あなたは自転車の運転中に「止まれ」の標識がある交差点で一時停止していますか?自転車通行できる歩道を徐行していますか?
今月は、自転車の過失で起きた事故を通し、自転車の安全走行についてみてみましょう。

自転車は交差点での出会い頭や、歩道での歩行者との衝突、ハンドル操作を誤った転倒事故が多い

2019年中に起きた自転車側の過失による交通事故は15,673件でした。
衝突相手別にみると車両相手が10,178件で最も多く、四輪車との衝突は約40%、双方自転車の衝突は約19%でした(図1)。事故類型をみると出会い頭が約73%で、人的要因では安全不確認が約72%を占めていました(図2、5)。交差点に差し掛かったとき安全確認を怠ったまま通過しようとして、交差する道路から出て来た四輪車や自転車と衝突している様子がうかがえます。
衝突相手別で次に多いのは歩行者相手で2,800件でした。衝突した地点をみると歩道が約43%と最も多く、交差点内、車道と続きます(図3)。人的要因では安全不確認が約40%と最も多く、前方不注意、動静不注視と続いています(図5)。歩行者優先の歩道や交差点の横断歩道などで、安全確認を怠ったり、他のことに気を取られたり、歩行者の動きを見誤ったりして歩行者と衝突しているのが推測されます。
単独での事故は2,691件で、事故類型をみると転倒が約77%を占めています(図4)。人的要因では操作上の誤りが約73%を占め、中でもハンドル操作の誤りが半数を超えています(図5)。とっさの出来事にハンドルを切り損ね、自転車ごと倒れて事故に至っていると考えられます。

自転車の安全走行とは

自転車は、環境にやさしく便利な乗り物である一方、歩行者や他の自転車に接触すると大変危険です。また、四輪車と同様に左側通行や一時停止、飲酒運転の禁止などが義務付けられています。では、交通ルールを踏まえた、自転車の安全走行をみてみましょう。

自転車対車両

自転車対人

  • 車道の交通量が多く走行が危険な場合は、歩行者専用の歩道に移動することができますが、徐行または自転車を降りて押して歩くようにしましょう。(道路交通法 第63条の4 第1項3号)
  • 歩行者専用の標識があるところでは、車道を走行しましょう。(道路交通法 第8条)

  • 自転車及び歩行者専用の標識や「軽車両可」の補助標識がある歩道では、自転車の走行が認められています。車道側を徐行で走行し、歩行者の通行の妨げになる場合は一時停止し自転車を降りて押して歩きましょう。(道路交通法 第9条、第63条の4)

  • 自転車に乗りながらのスマートフォン操作は人に気づかず衝突するおそれがあります。絶対にやめましょう。(道路交通法 第70条)

自転車の単独

人と衝突したときは、救護義務があります

自転車で、歩行者や車両と接触したときは、自転車を安全な場所に停止して、けが人がいないか、車両に損傷を負わせていないか確認しましょう。そのまま立ち去ると「ひき逃げ・当て逃げ」事件となります(道路交通法 第72条第1項、第117条の5 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金)。相手にけがを負わせた場合は、応急手当や救急車の手配、警察への通報を行いましょう。
とくに、子どもは事故のショックで、大人が「大丈夫?」と問いかけても「うん」と答えてしまう可能性があるので注意が必要です。


自転車は環境にやさしく便利な乗り物の一方、歩行者や車両に接触すると危険です。自転車を運転するときは周囲の安全を考え、交通ルールを守りましょう。

今月のクイズの答え