駐車場での事故を防ぐには
2021年7月号
今月のクイズ
2019年中に起きた交通事故は381,237件でした。そのうちサービスエリアやパーキングエリア等の駐車場で起きた交通事故件数を次の中から選んでください。
- (1)8,048件
- (2)13,048件
- (3)18,048件
駐車場で不意に出てきた車や人に、ヒヤッとしたことがありませんか? 駐車スペースに入れるとき、ペダルやハンドルの操作に手間どったことはありませんか?
今月は、駐車場でどのような事故が起きているかを確認し、駐車場での事故を防ぐためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。
駐車場では、十分な安全確認、周囲をよく見ること、正確な運転操作が必要です
2019年中の駐車場*で起きた事故のうち、車両側の過失による事故を法令違反別にみると、「安全不確認」が約8割を占め、運転の「操作不適」が約1割と続きます。一方、交通事故全体と駐車場の事故類型の割合を比べると、どちらも車両相互事故が多くを占めますが、人対車両事故は約2.6倍、車両単独事故は約2.3倍も駐車場の方が多くなります(図1)。
駐車場での車両相互事故を詳しくみると「後退時」が最も多く、「出会い頭」が続きます(図2)。駐車場では道路のような交通規制がないため、駐車スペースを見つけた車が周囲の安全確認をせずにいきなり後退しようとしたり、駐車スペースを探しながら走行していたりと不規則な動きをする車が多くなります。不十分な安全確認は、車両同士の衝突へつながりやすいことがわかります。
人対車両事故をみると事故時の歩行者の行動が様々だった「その他」が約8割を占めています(図3)。駐車場内は歩道と車道の区別がなく、歩行者の行動を予測することが困難になります。ドライバーが駐車スペースに気を取られるなどして、周囲をよく見ていないと歩行者と接触する危険性が高くなります。
車両単独事故をみると壁などの「工作物衝突」、「駐車車両」との衝突が多くなっています(図4)。駐車スペースへの出入りの際は、周囲の安全確認を行いながらペダルやハンドルの操作を正確に行わなければならず、作業が複雑になります。焦ったり、車の切り返しが思うようにいかなかったりすると運転操作の誤りに繋がり、駐車車両への接触や、車が急発進して壁などに衝突する等の危険が生じます。
- *「駐車場」の事故件数は、公益財団法人交通事故総合分析センターの交通事故統計において「一般交通の場所」(「一般の交通の用に供するその他の道路」に該当する場所及び事故が発生した道路が高速道路、国道、都道府県道等に付属して設けられているサービスエリア、パーキングエリア等の場合をいう)の事故件数です。
- 本文及び図1~4の出典:公益財団法人交通事故総合分析センター 令和元年版「法令違反別・昼夜別 道路種類別 全事故件数(第1当事者)」「事故類型別(詳細)・昼夜別 道路線形別 全事故件数」より弊社作成
駐車場での事故を防ぐには
駐車場での事故を防ぎ、安全に利用するためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。
駐車場内を走行するときは
十分な車間距離をとり、すぐに止まれる速度で走行しましょう
通路が交差するところでは一旦停止して安全確認を行いましょう
駐車スペースに停めるときは
後退して止めるときはハザードランプを点け、一旦停止しましょう
十分な安全確認と運転操作を焦らず正確に行い、いつでも停止できる状態で後退しましょう
後退して駐車するまえに、駐車スペース内の安全確認を十分に行いましょう。後退時は、安全確認とハンドルやペダルの操作を、焦らず一つ一つ正確に行いましょう。踏み間違えを防止するために、足はブレーキペダルの上に乗せた状態で、ゆっくりと後退しましょう。
最近は、車体の後ろについたソナーやカメラで、後退時の運転操作をアシストする機能が付いた車種があります。ソナーは、障害物を感知するとドライバーに警告を促します。カメラは、見えづらい後ろの様子を取り込み、ガイド線(ハンドル操作をスムーズに行うための予測線)を付けてモニターに映し出し、後退時の運転操作をアシストしてくれます。ただし、実際の路面とモニターに映る路面では、位置や距離感が異なることがあります。後退時は、便利なアシスト機能を利用しつつ、必ず目視で十分な安全確認を行いましょう。
出庫するときは
2段階で停止し、安全確認を目視で行ってから出庫しましょう
最近は、車の左右に駐車車両や壁があって通路が見渡せない状況でも、車体の前に付いたカメラで通路を見渡し近付いてくる車や歩行者を捉え、モニターに映し出すアシスト機能が付いた車もあります。ただし、モニター越しに映る車と実際に目で見る車には、位置や距離感が異なることがあります。モニターで近付く車や歩行者がいないことを確認したあと、2段階停止を実施し目視で安全確認を行ってから通路に進み出ましょう。
- 駐車場では、焦らず落ち着いて、十分な車間距離を保ち、人が歩く速度で走行しましょう。
- 駐車場での事故を防ぐには、十分な安全確認を行い、周囲をよく見て、正確な運転操作を行いましょう。
今月のクイズの答え
-
(3)
18,048件(交通事故全体の約5%)
- 出典:公益財団法人交通事故総合分析センター 令和元年版「事故類型別(詳細)・昼夜別 道路線形別 全事故件数」より
- ※ここでいう駐車場とは「一般交通の場所」を指し、「一般の交通の用に供するその他の道路」に該当する場所及び事故が発生した道路が高速道路、国道、都道府県道等に付属して設けられているサービスエリア、パーキングエリア等の場合をいう。
- 出典: