車の盗難や車上ねらいを防ぐには
2021年9月号
今月のクイズ
自動車、バイク、自転車等の部品を窃盗する「部品ねらい」の認知件数(警察等捜査機関によって犯罪の発生が認知された件数)は、2020年中に13,453件でした。その中でナンバープレートの盗難被害は何件発生していたか次の中から選んでください。
- (1)2,608件(約19%)
- (2)4,608件(約34%)
- (3)6,608件(約49%)
「自宅の車庫に車を停めて、カギは必ず掛けている」から「盗難に遭わない」と思っていませんか?また、「ほんの数分、車を離れるだけ」と貴重品を置いたままにしていませんか?
今月は、車の盗難と車上ねらいの発生状況を踏まえ、盗難被害を防ぐにはどうしたらよいかをみてみましょう。
車の盗難や車上ねらいは、深夜から朝の間に屋外の駐車場で起きるケースが多い
2020年中の車の盗難の認知件数(警察等捜査機関によって犯罪の発生が認知された件数)は5,210件*1で、そのうち3,006件(約58%)が検挙されています。防犯カメラなどの普及もあり、検挙率は10年前より約1.6倍も上がっています。
盗難時の車の状況をみると、キーがイグニッションスイッチ*2に差し込まれていたか車の中に放置されていた「キーあり」は約25%でしたが、それ以外の「キーなし」は約75%で、車のキーが無くても盗難に遭うケースが多いことがわかります(図1)。
- *1及び図1出典:警察庁生活安全企画課 令和3年3月「自動車盗難等の発生状況について」より弊社作成
- *2イグニッション(点火)スイッチとは、キーを差し込み「OFF、ACC、ON、START」と回すことにより、電気系統を制御(カーナビやオーディオをつける)したり、エンジンを始動させたりする装置です。
一方、車の中から金品を盗む車上ねらいの認知件数は27,978件*3で、そのうち検挙件数は10,300件と、車の盗難に比べ検挙率(約37%)が下がります。
2020年11月中に起きた車の盗難と車上ねらいの発生場所をみると自宅や契約駐車場が多く、両方とも屋内より屋外で盗難に遭遇するケースが多くを占めています(図2)。発生時間帯は、両方とも人気が無い深夜から朝の時間帯が最も多くなりますが、車上ねらいの方は日中の発生も目立ちます(図3)。「すぐに戻ってくるから」と、荷物やキーを車に置いたまま車を離れている間に、車上ねらいに遭っている様子がうかがえます。
- *3出典:警察庁刑事局捜査支援分析管理官 令和2年「犯罪統計資料 第614号」より
- ※構成比は小数点第1位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。
- 図2、3出典:一般社団法人日本損害保険協会「第22回 自動車盗難事故実態調査結果」より弊社作成
車の盗難や車上ねらいを防ぐには
車の盗難は、窓の隙間から針金を差し込んでドアロックを解錠したり、スペアキーを探し出してエンジンを始動させたりする手口があります。また、最近はスマートキーや車載ネットワークの特性を利用した盗難など、手口が多様で複雑になりました。では、最近の窃盗の手口を通して、車の盗難や車上ねらいを防ぐにはどうすればよいかみてみましょう。
最近の窃盗手口
リレーアタック
コードグラバー
CAN インベーダー
駐車場を選ぶときは
見通しがよく、防犯カメラや照明等の防犯設備が充実した駐車場を利用しましょう。
車を離れるときは
貴重品は、車に置いたままにせず、必ず持ち出しましょう。
- 数分でも車から離れるときは、窓を閉め、キーを抜いてドアロックをしましょう。
- スマートキーは、電波を遮断するキーケースに入れましょう。
防犯対策として
盗難防止システムや機器などを活用しましょう。複数組み合わせて活用すると、より効果的です。
防犯カメラ
イモビライザーキー(盗難防止装置)
警報装置
ハンドルロックやタイヤロック
- 参考:自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム「STOP THE 自動車盗難」を参考に弊社作成
- 見通しがよく、防犯カメラや照明等の防犯設備が充実した駐車場を利用しましょう。
- 車を離れるときは貴重品を持ち、窓を閉め、キーを抜いてドアロックをしましょう。
- 停車時の防犯対策として、警報装置やハンドルロックなど、盗難防止のシステムや機器などを活用しましょう。
今月のクイズの答え
-
(3)
6,608件(約49%)窃盗されたナンバープレートは、他の犯罪に悪用される危険性があります。ナンバープレートを取り付けているネジを「盗難防止ネジ」に替えて車にしっかりと固定することにより、部品ねらいを防ぐことが可能になります。
- 出典:警察庁生活安全企画課 令和3年3月「自動車盗難等の発生状況について」より
- 出典: