運転と性格の関係
2021年11月号
今月のクイズ
「普段は温厚な人なのに、車を運転するとイライラして怒りっぽくなる」など、運転時に性格が変わる人がいると聞くことがありますが、「温厚」な部分も「イライラして怒りっぽい」部分も、その人の性格の一部です。ただし、この「イライラして怒りっぽい」部分が運転中に表れると事故につながりかねません。
今月は、運転に影響を及ぼすと考えられる性格を踏まえ、その特徴と事故を防止するためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

人の性格は複雑で、運転に影響を及ぼすことがある
2020年中の法令違反による交通事故の内訳をみると「安全不確認」が最も多く、「脇見運転」や「動静不注視」「漫然運転」等が続きます(図)。「交通ルールは守らなくてはならない」と分かっていても、自分の都合がいいように「大丈夫」と安全確認を怠ったり、「少しだけなら」と目をそらしたりして運転すれば、事故を引き起こす危険性があります。
ドライバーは、交通状況をどのように捉えるかによって判断が異なり、その後の運転行動が変わります。たとえば、ノロノロと走る前の車にイライラしたとき、「まぁいいか」と気持ちを切り替えて安全な運転を心がける人と、イライラが抑えきれずに暴言を吐いたり、車間距離を詰めたりするなど危険な運転を行う人に分かれることがあります。この「状況を捉える」ときに、その人の持つ性格が関係してきます。

- 出典:警察庁交通局 令和3年2月「令和2年中の交通事故の発生状況」より弊社作成
- ※構成比は小数点第1位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。
運転免許取得時に教習所へ通われた方や、自動車運送事業者のドライバーは、運転適性検査を受けた記憶があると思います。運転適性検査は、運転資格の合否や優劣を決めるための検査というわけではなく、安全運転に必要ないろいろな性質(性格や運転態度、交通ルールを守ろうとする意識など)を客観的に測り、自身の安全運転に影響を及ぼす傾向にどのようなものがあるのかをよく理解し、何に気を付ければよいかを提示してくれるものです。
安全運転のためには、自分自身の性格などと客観的に向き合う必要があります。人の性格は、情緒の安定度、協調性、がまん強さ、几帳面さなどさまざまあり、それぞれの程度が複雑にかかわり、運転に影響を及ぼします。中でも「怒りっぽい」や「些細なことを気にする」など、運転への影響がより強いと考えられる要素に焦点を当てて、事故防止の方法をご紹介します。
運転に影響を及ぼすと考えられる性格とは
「優しくて几帳面だけど、せっかちだ」、「怒りっぽいが、真面目で思いやりがある」など、人は様々な性格を持っています。その中でも「せっかち」や「怒りっぽい」など運転に影響を及ぼすと考えられる性格について、その特徴と事故を防止するためのアドバイスをみてみましょう。
気分(感情)が落ち込んだり、高ぶったりしやすい
- 特徴
- 気分が安定せずムラが生じやすく、沈んだ状態にあるときは、面倒くさがって投げやりになったり、他の事に気をとられたりして運転に集中しにくい状態になる可能性があります。また、気分が高揚しているときは気分よく運転をしますが、調子に乗り過ぎてスピードを出し過ぎるなど乱暴な運転になる可能性があります。
- アドバイス
- 運転中に気分の変化を感じたら、車を一旦停め、深呼吸するなどして心を落ち着かせてから運転を再開しましょう。また、常に心にゆとりをもって運転するよう心がけましょう。

せっかちで、イライラしやすい
- 特徴
- じっとしていることが苦手なので、無理な追い越しをするなど事故を起こしやすい可能性があります。また、焦りがちなので、せっかちな運転をしやすく、十分な安全確認を怠ることがあります。
- アドバイス
- 運転中にイライラしないよう、日頃から心にゆとりをもつ習慣を身につけるとともに、常に落ち着いた運転を心がけ、衝動的な判断や行動に注意しましょう。
ちょっとしたことでカッとなったり、怒ったりしやすい
- 特徴
- 前の車の速度が遅かったり、割り込みをされるとカッとなって暴言を吐いたり、無理やり車間距離を詰めたりするなど、事故を誘発させる運転を行う可能性があります。
- アドバイス
- 運転前に冷静さを欠いていると思ったときは、なるべく運転を控えましょう。また、些細なことでカッとならないよう、日頃から心に余裕をもちましょう。
物事を自分中心に考えたり、判断したりしやすい
- 特徴
- 相手の立場で考えることができず、他車の動きを自分勝手に解釈してしまうことがあります。「私の車が優先される」「道を譲ってもらえる」などと思い込み、事故を起こすことがあります。
- アドバイス
- 道路は自分だけのものではありません。事故防止はもちろん、他の交通参加者に迷惑を掛けないよう、周囲の歩行者や他車などへの配慮を忘れずに運転しましょう。
些細なことを気にしたり、 緊張したりしやすい
- 特徴
- 心配事や気になることがあると注意が散漫になり、運転に集中できないため、事故を起こしやすくなる可能性があります。
- アドバイス
- 心配事があるときや、落ち込んでいるときはなるべく運転を控えましょう。また、運転するときは時間に余裕をもった計画を立て、運転に集中することが事故防止のポイントです。
几帳面なことが苦手で、いい加減になりやすい
- 特徴
- 物事をしっかりと考えずに安易に判断したり、着実に行うことが苦手なため駐車時に枠からはみ出た状態になったりする可能性があります。また、車の点検や車内の整理整頓を怠る可能性があるので、運転中にエンジントラブルが生じたり、ブレーキペダルに物が挟まったりするなど、事故を誘発する要因をつくってしまうこともあるかもしれません。
- アドバイス
- 日頃から、車の点検や車内外の清掃を心がけましょう。また、運転に際しては、安易な判断を避けるとともに、周囲へ迷惑を掛けないよう心がけることが大切です。
自分自身の性格に、運転に影響を及ぼすと考えられる特徴が見受けられる場合は、運転中にその傾向が表れないように心がけて、事故を防ぎましょう。
今月のクイズの答え
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(3)
288,704件(出典:警察庁交通局 令和3年2月「令和2年中の交通事故の発生状況」より)