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持続可能なCO2削減と安全運転とは~エコドライブの実践はSDGsの目標に近づく?~

2022年6月号

今月のクイズ

2015年に起きた交通事故は536,899件でした。では、5年後の2020年の交通事故件数を、次の中から選んでください。

  • (1)
    409,178件(約24%減)
  • (2)
    359,178件(約33%減)
  • (3)
    309,178件(約42%減)

最近よく耳にする「持続可能な開発目標(通称:SDGs)」とは、2015年9月の国連サミットで採択され「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です*1。17の目標と169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。その目標11のターゲットには「大気の質に注意をはらい環境に与える悪影響を減らす」ことが記されており、目標3のターゲットでは「2020年までに、世界の交通事故による死傷者を半減させる」とあります。SDGsの実践は、ドライバーの日々の運転に深くかかわっています。
今月は、環境改善のためのCO2削減がどれだけ進んでいるかを通し、環境改善と事故削減を身近なところから実行するにはどうすればよいのかをみてみましょう。

CO2削減は環境にもお財布にも優しい

2019年度の日本全体のCO2排出量に占める自動車の排出量は1億7,735万tで、全体の約16%にあたります(図1)。自動車の燃費改善や輸送量の減少等により、CO2排出量は2018年度より397万t削減されました。1人が1年間に排出するCO2の量は約1.9t*2なので、約209万人が普通に電気や車を使い生活できる量のCO2が削減されたことになります。
一方、一般家庭(世帯当たり)における2019年度のCO2排出量は約3.97tで、そのうち自家用乗用車は約1.05tと約26%を占めています(図2)。SDGsの取り組みが始まった2016年と比べCO2排出量はほぼ変わっていません(図3)。一般家庭において車のCO2排出量削減に対する行動が消極的であることがわかります。CO2排出量を削減する運転は、環境改善と同時に燃費の改善につながるので、ガソリン代がそれだけ削減され環境にもお財布にも優しい行動になります。

図1:日本のCO2排出量に占める自動車のCO2排出量(2019年度)
図2:家庭からのCO2排出量の内訳(2019年度)
図3:家庭からのCO2排出量の推移(2015~2019年度)

持続可能なCO2削減と安全運転とは?

「SDGsを実践しよう」と構えると難しそうですが、「ガソリン代を抑え、事故を防ぐためにエコドライブを習慣にしよう」とすれば、おのずとCO2が削減されSDGsの目標に近づきます。また、環境に優しいエコカーを選択することもCO2削減につながります。では、すぐにできるエコドライブをみてみましょう。

タイヤの空気圧をこまめにチェックしましょう

タイヤの空気圧は、車を使用していなくても自然に低下します。タイヤの空気圧が適正値より低下すると、市街地で約2%、郊外で約4%の燃費が悪化します*3。さらに、タイヤの側面がたわんで車全体の安定性が悪くなり、パンクやバースト(破裂)につながる危険性があります。
出庫前に目視で日常点検を行い、月に1回以上はエアゲージを使って空気圧の点検を行いましょう。

「ふんわりアクセル」でゆっくり発進しましょう

発進時にゆっくり発進する「ふんわりアクセル」を実践すると、約10%の燃費を改善することができます。交差点等での発進時に急に加速をすると、周囲の危険に対応できなかったり、前の車に追突したりする危険性があります。緩やかにアクセルペダルを踏みはじめ、発進から5秒後に20km/h程度になるのが「ふんわりアクセル」の目安です。
発進時は、周囲の危険を把握するために一拍おいてから、車の速度をゆっくりと上げる「ふんわりアクセル」を実践しましょう。

十分に車間距離をあけて、加速・減速が少ない運転をしましょう

車間距離が短いと、前の車の動きに左右されやすくなるため、ムダな加速や減速が多くなり、市街地では約2%、郊外では約6%の燃費が悪化します。また、後続車のドライバーに「速くなったり遅くなったりして危ないなぁ」と不安を与えかねず、場合によっては周囲から「あおり運転」と認識される危険性もあります。
走行時は十分に車間距離をあけて、加速・減速などの速度変化が少ない運転をしましょう。

減速時は、早めにアクセルペダルから足を離し、ゆっくり減速して停止しましょう

車を停止させるとき、アクセルペダルから早めに足を離しエンジンブレーキを作動させることにより、約2%の燃費が改善します。また、焦らずに足をブレーキペダルへ移せるので、踏み間違えが起きにくくなり、停止位置で安全に止まることができます。
減速時は早めにアクセルペダルから足を離し、ゆっくり減速して停止しましょう。


今月のクイズの答え