暑い日の車内で起こる危険!

2022年7月号

今月のクイズ

2020年8月の1ヶ月間にJAFが救援したキー閉じこみのうち、子どもやペットが車内に残されていた件数を、次の中から選んでください。

  • (1)
    58件
  • (2)
    78件
  • (3)
    98件
  • (JAF:一般社団法人 日本自動車連盟)

夏になると、暑い車内に取り残された子どもが熱中症で救急搬送されるという報道を耳にすることがあります。
今月は、暑い日に駐車した車の中で何が起きるのかを通し、暑い日の車内事故を防ぐためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

暑い日に駐車した車の中は、約15分で熱中症の危険レベルになる?

「子どもが寝ているから…」「15分くらい車を離れるだけだから…」と暑い日に子どもやペットを車に残したまま離れた場合、車の中はどのような状態になるのでしょうか?
外気温が35度の駐車場で車内温度の変化をみる実験によると、対策なしの黒い車の車内温度が平均で51度と最も高くなりましたが、サンシェードや窓開けなどの対策を施した車も車内温度の上昇を防ぐことができませんでした(図1)。
一方、エアコンを作動させた車は車内温度の上昇を防ぎましたが、そのときの状況によっては燃料が切れたり、子どもがいたずらしたりしてエンジンが止まる可能性があります。エアコンが止まるとどれくらいの時間で車内温度が上昇し熱中症になる危険があるのかをみる実験によると、約5分後には熱中症の警戒レベルを超え、約15分後には人体にとって危険なレベルに達することがわかりました(図2)。「日陰なら…」と考えるかもしれませんが、実験によると車内温度を27度にして日陰に駐車した車の20分後の車内温度は34度、日なたの方は40度だったので、日陰の方が少し低い程度でした。暑い日に駐車するときは、駐車場所や対策にかかわらず十分な注意が必要です。

図1:暑い日の車内温度の変化
  • (テストの条件)
    天候:晴れ
    場所:駐車場
    外気温:35℃
    開始時の社内温度:25℃
    時刻:午後12時から4時間
図2:エアコン停止時の車内の熱中症指数*の推移
  • *
    熱中症指数=暑さ指数(WBGT)とは、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい (1)湿度、(2)日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 (3)気温の3つを取り入れた指標です。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。(出典:環境省「熱中症予防情報サイト/暑さ指数とは?」より)

暑い日の車内事故を防ぐためには

暑い日の車内事故を防ぐためにはどうしたらよいのかをみてみましょう。

わずかな時間でも、車から離れるときは車内に誰も残さない!

夏の暑い日に注意が必要なのは、子どもやペットだけではありません。高齢者は、温度・湿度に対する感覚が弱くなるため、気付いたら熱中症が進んでいる危険性があります。
また、子どもの中でも乳幼児は、体温調節の機能が未発達なうえ、自身で暑い車から脱出することは不可能なため注意が必要です。わずかな時間でも、駐車して車から離れるときは、車に誰も残さずに車外に連れて出ましょう。

熱中症の疑いがあるときは、涼しい場所へ避難し、服を緩めて体を冷やそう!

乗員がぐったりしているため救急要請をしたとしても、場所や状況によっては救急隊が到着するまで、数十分も時間を要することがあります。熱中症の疑いがあるときは、涼しい場所へ避難し、服を緩めて体を冷やすなど速やかな措置を行いましょう。

図3:熱中症の疑いがあるときの対処法

車内温度を最も早く下げるには、エアコンを作動して走行する!

JAFの実験によると、車内にこもった熱気はエアコンを作動しながら走行する方法が最も短時間で効率的でした。
(1)窓を全開にし、エアコンを外気導入にして走り出し、車内の熱気を出しましょう。
(2)熱気が出たら窓を閉め、エアコンを内気循環にして冷やしましょう。


今月のクイズの答え