信号のある交差点で、右折先の横断歩道の十分な安全確認をしていますか?
2022年11月号
今月のクイズ
2021年中に四輪車が起こした(第1当事者)右折事故は42,279件で、そのうち相手も四輪車(第2当事者)だった事故は12,578件(約30%)でした。では、相手が歩行者(第2当事者)だった事故件数を、次の中から選んでください。
- (1)4,995件(約12%)
- (2)6,995件(約17%)
- (3)9,995件(約24%)
信号のある交差点(信号交差点)を右折するとき「対向車が通り過ぎたので右折しようと発進したら、右折先の横断歩道に歩行者が現れてヒヤリとした」という経験はありませんか?
今月は、信号交差点での右折車と右折先の横断歩行者との事故の要因を通し、安全な右折の方法についてみてみましょう。
信号交差点の右折時に、右折先の横断歩道の十分な安全確認をしていますか?
2011~2020年の10年間に起きた四輪車と横断歩行者との事故の発生場所をみると、約69%が信号交差点で発生していました(図1)。事故時の四輪車の行動をみると、右折が約64%を占めています(図2)。さらに、右折車ドライバーの人的要因の約83%が「安全不確認」でした(図3)。また、事故を起こした右折車ドライバーにヒアリング(30件)した調査結果をみると、「対向車を気にして横断歩道の安全確認を怠った」が最も多く、「歩行者はいないと思い込み横断歩道の安全確認を怠った」などが続いています。信号交差点の右折時は、対向車や後続車の動きなど安全確認を行う箇所が多岐にわたるうえに、「対向車がこないうちに、信号が変わらないうちに」急いで右折しようとする傾向があり、右折先の横断歩道の安全確認が不十分になり、事故を起こしやすくなります。
右折先の横断歩行者は、右折車を認識していない?
右折四輪車と横断歩行者の事故で歩行者側の法令違反内容をみると「違反無し」が約98%でした(図4)。信号機が青色の状況で横断歩道を渡っているにもかかわらず、事故に巻き込まれてしまう様子がうかがえます。横断開始前・直後に右折車の存在を認識していたかどうかを歩行者にヒアリング(30件)したところ、70%が「右折車認識なし」と回答しました(図5)。また、「右折車認識あり」の7件のうち6件が「こちらが認識しているので運転者も自分を認識していて止まる」と思っていたようです。歩行者は、信号交差点で横断歩道を渡るとき信号機の色は確認するものの、車両への注意はあまり払わない傾向があるようです。ドライバーは、信号交差点を右折するときに、右折先の横断歩道の安全確認まで十分に行えるだけの余裕をつくる必要があります。
(2011~2020年)
(2005~2020年)
- 図1~5出典:公益財団法人交通事故総合分析センター イタルダインフォメーションNo.140「信号交差点での右折四輪車と横断歩行者の事故」より弊社作成
信号交差点での安全な右折方法
信号交差点の右折時は、右折先の横断歩道にも注意を払い、安全確認を十分に行って通過する必要があります。では、信号交差点での安全な右折方法についてみてみましょう。
前の車に続いて右折するときは、右折先の視界を確保するだけの十分な車間距離をあけ、安全確認を行いましょう
交差点内や右折先の安全確認をしないまま、前の車に続いて右折し始めると、前の車が止まったり、右折先の横断歩道に歩行者がいたりしたときに事故を起こす危険があります。前の車に続いて右折するときは、交差点内と右折先の視界を確保するだけの十分な車間距離をあけ、安全確認を行い右折しましょう。
また、前の車に続き右折するときに、交差点内に自車の停止できるスペースがない場合は停止線で止まりましょう。前方の信号が赤になったときに、交差点手前の横断歩行者の進行を妨げてはいけません。
- 交差点手前で対向車の流れ、右折先の横断歩道や道路の状況などの安全確認をしましょう
- 交差点にまっすぐ入り、対向車や右折先の横断歩行者がいる場合は、交差点の中央手前で停止して安全確認をしましょう
- 右折先の横断歩道手前で、横断歩道及びその周辺の安全確認をしましょう
今月のクイズの答え
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(3)
9,995件(約24%)(相手:二輪車9,995件(約24%)、その他の車両9,512件(約22%)、その他(199件))
- 出典:公益財団法人交通事故総合分析センター 交通事故統計表データ 令和3年「当事者別 行動類型相関別 全事故件数」より
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