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歩行者の交通ルールとマナー

2023年1月号

今月のクイズ

2021年中に起きた歩行者の交通事故36,839件のうち、相手が四輪車だった事故件数を次の中から選んでください。

  • (1)
    11,001件(約30%)
  • (2)
    21,001件(約57%)
  • (3)
    31,001件(約84%)

皆さんは歩行者として道路を利用するとき、歩道だからとスマートフォンを見ながら歩いたり、歩行者用信号機の青色が点滅しているからと走って横断したりしたことがありますか?
今月は、車の安全運転から離れ歩行者に多い交通事故を通し、歩行者として道路を利用するときの交通ルールとマナーについてみてみましょう。

歩行者の交通事故は、道路の「横断中」が多い

2021年中に起きた歩行者の交通事故(36,839件)を、事故類型(事故時の行動)別にみると、道路を「横断中」が約56%を占めていました(図1)。どこを「横断中」だったかをみると「横断歩道」が最も多くなりますが、横断歩道以外の「その他」でも多く発生しています。
また、歩行者側に法令違反があったケース(8,072件)をみると「横断不適」が最も多く「飛出し」、駐車車両や走行車両の「直前・直後横断」が続いています(図2)。歩行者が交通ルールを守らず道路を横断し、事故に遭うケースも少なくないようです。道路は、多数の人や車が通行するところです。みんなが道路を安全で円滑に通行するために、歩行者も交通ルールを守らなくてはなりません*1

図1:歩行者の事故類型別事故件数の割合
(第1+第2当事者/2021年中)
図2:歩行者の法令違反別事故件数の割合
(第1+第2当事者/法令違反なしを除く/2021年中)

安全確認を怠ったり、注意がそれたり、状況を都合よく解釈すると事故に遭う危険性が高くなる

原因が歩行者側にあった事故をみると、危険に対する「発見の遅れ」が最も多く「判断の誤り等」が続きます(図3)。「発見の遅れ」の詳細をみると「安全不確認」によるものが全体の約49%を占めており、十分な安全確認を行わないまま道路を横断している様子がうかがえます。また、「前方不注意」の中には、歩きながらの「スマホ等の画面注視」や「イヤホン等で音楽」を聴きながら歩くなどして事故に遭っているケースがありました。
一方、「判断の誤り等」では「相手が譲る・停止すると思った」が最も多く、状況を都合よく解釈して事故に遭っているようです。道路や歩道を通行するときは前方をよく見て歩き、道路を横断するときは安全確認を十分に行い、車両の様子に注意を払う必要があります。

図3:歩行者の人的要因別事故件数の割合
(第1+第2当事者/調査不能と人的要因なしを除く/2021年中)

歩行者の交通ルールとマナー

ドライバーや歩行者が道路を通行するときは、決められた交通規則を守ることはもちろん、それ以外にも道路や交通の状況に応じて、適切な配慮をしなければなりません*2。歩行者が道路を歩くときの交通ルールとマナーについてみてみましょう。

道路を通行するときは

歩道を歩きましょう

道路に歩道や路側帯がある場合は、その歩道や路側帯を通行しましょう。道路に歩道や路側帯がない場合は、走行する車両と歩行者がお互いの存在を認識できるよう道路の右端に寄って通行しましょう。ただし、工事や破損などにより道路の右端が安全に通行できない場合は、道路の左端を通行しましょう。(道路交通法 第10条)

歩きながらスマートフォンを注視したり、ヘッドフォン等で音楽を聴いたりするのはやめましょう

歩きながらスマートフォンを注視したり、ヘッドフォン等で音楽を聴いたりすると、周囲へ注意が向かず他者に配慮した行動がとれなくなるため、歩行者と接触したりフラフラと車道に出てしまったりする危険が生じます。
歩きながらスマートフォンを注視したり、ヘッドフォン等で音楽を聴いたりするのはやめ、前を向き周囲に注意を払って通行しましょう。

道路を横断するときは

信号機がある場合は、その表示に従って道路を横断しましょう

ご存じの通り、信号機の「青」は「進行してもよい」、「赤」は「止まれ」という意味です。では、歩行者用信号機の「青の点滅」(歩行者用信号機がない場合は車両用の信号機の「黄」)は、「歩行者は道路の横断を始めてはいけない」という意味なのはご存じですか?もし、横断中に「青の点滅」(「黄」)になったら、速やかに横断するか、横断をやめて引き返さなくてはいけません。信号機がある場合は、その表示に従い道路を横断しましょう。(道路交通法 第7条、道路交通法施行令 第2条)

信号機がない場合は、安全確認を十分に行ってから横断歩道を横断しましょう

横断歩道は歩行者優先ですが、残念ながら止まらずに通過しようとする車がいます。横断歩道を横断するときは「車は止まらないかもしれない」と考え、車が止まるまで待ちましょう。車の他にバイクや自転車が通過しようとしてないかなど、周囲の安全確認を十分に行ってから横断しましょう。
また、横断歩道付近で道路を横断することはできません。横断歩道を横断しましょう。(道路交通法12条)

道路の斜め横断はやめ、真っ直ぐ横断しましょう

道路を斜めに横断することは距離や時間が長くなり、視界から走行車両が外れることがあるため危険です。スクランブル交差点等のように指示標示がある場所を除き、道路の斜め横断はやめましょう。近くに横断歩道がなく、交通量の少ない道路をやむを得ず横断するときは、左右の安全確認を十分に行い、道路を真っ直ぐに横断しましょう。(道路交通法12条)

車の直前直後からの横断や、「歩行者横断禁止」の標識がある場所での横断はやめましょう

走行中・駐停車中の車の直前・直後から横断しようとする行為は、それ以外の走行車両を発見しにくいばかりか、走行車両側からみると「急に歩行者が飛出してきた」となり、事故を誘発する危険性があります。走行中・駐停車中の前後から道路を横断することはやめましょう。
また、「歩行者横断禁止」の標識がある場所は、車の通行量が多かったり幅が広い道路だったりして大変危険な場所です。標識がある場所での横断はやめましょう。(道路交通法 13条)


道路は、多数の人や車が通行するところです。みんなが道路を安全で円滑に通行するために、歩行者も交通ルールとマナーを守りましょう。

今月のクイズの答え