チャイルドシートを正しく使用していますか?
2023年2月号
今月のクイズ
骨格や身体の形成が未発達な6歳未満の子どもを走行中の衝撃から保護するために、ドライバーはチャイルドシートを正しく使用する義務があります(道路交通法 第71条の3)。
今月は、チャイルドシートの使用状況などを通し、チャイルドシートの正しい使用方法についてみてみましょう。
チャイルドシートは年齢が高くなるほど使用しないケースが多くなる
チャイルドシート使用有無別の致死率をみると、「適正に使用」しているケースに比べ「不使用」は約5倍も高くなりました(図1)。
一方、チャイルドシート使用状況の調査結果をみると、新生児から6歳未満全体の約75%がチャイルドシートを使用していました(図2)。1歳未満の乳児では使用率が約90%と最も高くなりましたが、不使用のうち「保護者のだっこ」が約8%を占めていました。1~4歳の幼児になるとベルトを締めない状態の「車両シート・チャイルドシートにそのまま着座」が増えてきます。就学直前の5歳になるとチャイルドシートの使用自体が約54%に減り、「車両シートにそのまま着座」が増えるうえに「大人用シートベルト着用」が約19%を占めていました。子どもが成長するにつれ、身体が固定されていなかったり、身体に合わないシートベルトを着用していたりするケースが多くなるようです。
- 図1出典:警察庁交通局「チャイルドシート関連統計」より弊社作成
- 図2出典:警察庁/一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)「チャイルドシート使用状況全国調査(2022年)」より弊社作成
- ※構成比は小数点第1位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。
チャイルドシートは車に正しく取り付け、子どもを正しく着座させる必要がある
チャイルドシート取り付け状況の調査結果をみると、誤って取り付けていた「ミスユース」が全体の約35%を占めました(図3)。その要因として乳児用、幼児用シートはともに「腰ベルトの締め付け不足」が最も多くなりました。また、チャイルドシート着座状況の調査結果では、子どもを誤った方法で座らせていた「ミスユース」が全体の約51%を占めました(図4)。その要因として最も多かったのは、乳児用、幼児用ともにハーネスの「締め付け不適正」「高さ調節間違い」「よじれ・ねじれ」でした。学童用シートでは「体格の不適合」が最も多くなっています。
チャイルドシートは車に正しく取り付け、子どもをチャイルドシートに正しく座らせてしっかりと固定させることが、走行時や事故時の衝撃から子どもを護ります。
- 図3、4出典:警察庁/一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)「チャイルドシート使用状況全国調査(2022年)」より弊社作成
- ※構成比は小数点第1位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。
正しいチャイルドシートの使用について
大人の腕で体重5kgの赤ちゃんを抱っこした状態で、乗車した車が時速50kmで衝突事故を起こしたとき、大人の腕への衝撃(力)は赤ちゃんの体重の約30倍の約150kgかかります。衝突時の一瞬の衝撃に赤ちゃんを支え続けることは非常に困難です。子どもを衝撃から保護するためには、チャイルドシートが必要不可欠です。では、正しいチャイルドシートの使用方法についてみてみましょう。
子どもの体格に合わせてチャイルドシートを使用しましょう
チャイルドシートは体重、身長を目安に基本は次の3種類に分かれています。成長に合わせて使い分けましょう。また、購入時は子どもの身体に合っているかを必ず確認しましょう。
乳児用(ベビーシート)
体重:10kg未満
身長:70cm以下
年齢:新生児~1歳くらい
- 乳児は、骨格等が未発達のため、頭部から背中にかけて体全体で支えられるように、乳児用チャイルドシートを使用します。
- 乳児用チャイルドシートは後ろ向きまたは横向きに取り付けます。
幼児用
体重:9~18kg
身長:65~100cm以下
年齢:1~4歳くらい
- 幼児が自分で座れるようになったら、幼児用チャイルドシートを使用します。
- 幼児用チャイルドシートは前向きに取り付けます。
学童用(ジュニアシート)
体重:15~36kg
身長:150cm以下
年齢:4~10歳くらい
チャイルドシートの使用義務は6歳未満ですが、シートベルトが正しく利用できるまでは、学童用シートを必ず使用しましょう。
後部座席に取り付けましょう
チャイルドシートを助手席に取り付けて使用した場合、事故時にエアバッグが開いて子どもを圧迫してしまう危険性があります。チャイルドシートは、後部座席に取り付けましょう。また、歩道側に面した後部座席に取り付ければ、子どもの乗り降りを安全に行うことができます。チャイルドシートのタイプによって取り付け方が異なりますので、取扱説明書をよく読んで、正しく取り付けましょう。
- 車のシートベルトを利用して取り付けるタイプのチャイルドシートの場合は、腰ベルトの部分が緩んでいると、取り付けたチャイルドシート自体が衝撃で動き、乳幼児が負傷する危険性があります。腰ベルトの緩みがないようにしっかりと締めましょう。
- 出典:一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)「はじめてのチャイルドシートクイックガイド」を参考に弊社作成
ハーネスを調整し子どもの身体をしっかりと固定しましょう
乳児用・幼児用のハーネス(肩ベルト)の部分に、隙間やよじれがあると、身体がずれたり首や腕が肩ベルトに絡まったりして危険です。調整用ベルトを引っ張りながら、肩ベルトに緩みがないようにし、子どもの身体をしっかりと固定しましょう。
- 炎天下での駐車時には、チャイルドシート本体やバックル、ベルトの金具部分などが熱くなり、やけどをするおそれがあります。子どもにチャイルドシートを着用させるときは、各部に触れて、温度を確認した上で使用しましょう。
- 出典:独立行政法人 自動車事故対策機構(ナスバ)チャイルドシートアセスメント2022.3「チャイルドシート安全比較BOOK」を参考に弊社作成
チャイルドシートは
- 子どもの体格に合わせて使用しましょう
- 後部座席に取り付けましょう
- ハーネスを調整し子どもの身体をしっかりと固定しましょう
今月のクイズの答え
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(1)
(数字は、装置を認可した国の番号です。「43」は日本の番号です。)
((2)のは、「i-Size」ISO-FIX固定方式のチャイルドシートのマークです。車のシートベルトを使用せず、専用の金具で座席に固定するチャイルドシートで、誰でも簡単・確実に取り付けることができ、ぐらつきなくしっかりと固定することができます。2012年7月以降の新車(乗員定員10人未満)には、ISO-FIXチャイルドシート対応の共通取付具が装備されています。)