一時停止して安全確認を行おう!
2023年3月号
今月のクイズ
2022年中にドライバーが起こした(第一当事者)交通事故は284,264件でした。そのうち法令違反である「一時不停止」と「安全不確認」を合わせた件数を次の中から選んでください。
- (1)63,968件(約23%)
- (2)83,968件(約30%)
- (3)103,968件(約37%)
横断歩道を歩行者が渡ろうとしているときや、一時停止の標識がある場所で車をしっかりと停止していますか?停止しただけで、すぐに発進していませんか?
今月は、一時停止が指定された場所でのドライバーの行動の実態と、一時停止と安全確認の重要性を理解し、さらに車を一時停止して十分な安全確認を行うための手順についてみてみましょう。
歩行者が横断しようとしているのが見えていても、一時停止しないドライバーが多い
横断歩道を歩行者等が横断しようとしているとき、車は横断歩道の手前で一時停止し、歩行者等の通行を優先しなければなりません(道路交通法 第38条)。
JAFの行ったアンケート調査(2016年)によると、信号機のない交差点の横断歩道を歩行者が渡ろうとしているとき、車は一時停止しなければいけないことを「知っており、行動に移している」が約71%で、「知っているが、たまにしか行動に移せていない」は約28%でした(図1)。ところが、信号機のない横断歩道での実態調査をみると、歩行者が横断しようとしているときに一時停止した車は2016年時点で全体の約8%しかいませんでした(図2)。2022年には約40%の車が一時停止するようになりましたが、依然として約60%の車は止まらずに横断歩道を通過していきました。横断しようとする歩行者が見えていても、一時停止を実行していないドライバーがまだまだ多いようです。
- 質問
- 信号機のない交差点で、歩行者が横断歩道を渡ろうとしている場合には、車は一時停止しなければなりません。そのことをあなたは知っていますか?

- 出典:一般社団法人 日本自動車連盟 (JAF)「『交通マナー』に関するアンケート調査(2016年6月)

- 出典:一般社団法人 日本自動車連盟 (JAF) 「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2022年8月)
- ※構成比は小数点第1位を四捨五入して表示しているため、合計が100%にならない場合があります。
一時停止が指定されている場所では車を止め、周囲の安全確認を行う必要がある
一時停止が指定されている場所は、横断歩道の他に信号機のない交差点(道路交通法 第43条)や歩道を横切る直前(同法 第17条第2項)、踏切を横断する直前(同法 第33条)などがあります。
一時停止せずに徐行したまま歩道や交差点などに進行した場合、瞬時に安全確認を行わなければならず、目の端で歩行者や車両を捉え「大丈夫」と判断してしまう可能性があります。それでは歩行者や自転車等を見落としたり、交差道路より迫ってくる車両との距離を見誤ったりして事故を起こす危険性が高くなります。一時停止することにより、周囲の交通状況を目で確かめて安全な判断を行うことができます。一時停止が義務付けられている場所では車を止め、周囲の安全確認を十分に行ってから通過する必要があります。

一時停止して安全確認を行おう
一時停止の指定がある場所や見通しが悪い場所で車を一時停止して、周囲の安全を自分の目でしっかりと確かめる安全確認は、安全な運転行動の持続につながります。では、一時停止し安全確認を行うための手順についてみてみましょう。
歩行者が横断歩道を渡ろうとしているときは、その直前で必ず一時停止しましょう
車が横断歩道や自転車横断帯に近づいたとき、横断歩道等を横断しようとする歩行者や自転車がいないことが明らかな場合を除き、その直前で停止することができるような速度で進みましょう。このとき横断歩道等を横断又は横断しようとする歩行者や自転車がいるときは、横断歩道の直前で一時停止し、歩行者や自転車の通行を妨げないようにしましょう。(道路交通法 第38条)
また、横断歩道がない交差点やその直近で歩行者が道路を横断している場合も、その歩行者の通行を妨げないようにしましょう。(道路交通法 第38条の2)

信号機のない見通しが悪い交差点では、2段階停止を行い安全確認しましょう
信号機のない交差点では、交差点や一時停止の標識の直前で一時停止し、安全確認を十分に行ってからゆっくりと進みましょう(道路交通法第43条)。車両や歩行者が交差点に進入しようとしていた場合は、通過するのを待ってから進みましょう。
また、信号機のない見通しが悪い交差点では、一時停止の標識がなくても左右から車両が出てくることを想定して2段階停止を行い、安全確認をしましょう。
-
1.
減速し、交差点手前で一旦停止し安全確認を行いましょう。
- 2.
交差する道路を確認できるところでもう一度停止(2段階停止)し、安全確認を行ってからゆっくりと進みましょう。

歩道や路側帯を横切るときはその直前で一時停止し、歩行者などの通行を妨げないようにしましょう
駐車場や施設などを利用する際に、歩道や路側帯を横切るときはその直前で一時停止し、歩道や路側帯、駐車場などの入出庫の安全確認を行いましょう。歩行者や自転車が歩道などを通行しているときや、駐車場から車が出入りしようとしているときは、通過するのを待ってからゆっくりと進みましょう。(道路交通法 第17条第2項)
道路標識などの指定により駐停車が可能な道路で、駐停車のため路側帯を通行する場合も、路側帯に入る直前で一時停止し安全確認を行ってから入りましょう。
踏切の直前で一時停止し、踏切の向こう側、電車や警報機の音などの安全確認を行いましょう
踏切では、警報機や遮断機が作動していなくても、踏切の直前で一時停止し安全確認を行いましょう。(道路交通法 第33条)
-
1.
左右の状況や踏切の向こう側を確認しましょう。踏切の向こう側に自車が進めるだけのスペースがない場合は、警報機が鳴っていなくても踏切内に入ってはいけません。
- 2.
ラジオや音楽の音量を下げて窓を開け、電車や警報機の音を確認しましょう。警報機が鳴り始めたら、一時停止のまま電車が通過するのを待ちましょう。
-
3.
踏切内は徐行で横断しましょう。ただし、信号機が設置されている踏切では、信号機の表示に従って進みましょう。
- 歩行者が横断歩道を渡ろうとしているときは、その直前で必ず一時停止しましょう
- 信号機のない見通しが悪い交差点では、2段階停止を行い安全確認しましょう
- 歩道や路側帯を横切るときはその直前で一時停止し、歩行者などの通行を妨げないようにしましょう
- 踏切の直前で一時停止し、踏切の向こう側、電車や警報機の音などの安全確認を行いましょう
今月のクイズの答え
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(3)
103,968件(約37%)
- 出典:警察庁交通局 令和4年5月「令和3年中の交通事故の発生状況」より
- 出典: