To Be a Good Company

天気の予測と大雨時の運転

2023年7月号

今月のクイズ

2021年に起きた交通事故(305,196件)のうち、濡れた(湿潤)舗装道路で起きた事故件数を、次の中から選んでください。

  • (1)
    24,087件(約8%)
  • (2)
    34,087件(約11%)
  • (3)
    44,087件(約14%)

夏休みは、海や山へとドライブの計画を立てている方も多いと思います。最近は、道路が冠水するほどの大雨や、次々と発生する積乱雲が同じ場所で長時間停滞すること(線状降水帯)による集中豪雨などが発生し、車が立ち往生するケースが増えています。
今月は、どのくらいの雨量で道路が冠水するか、冠水路を走行するとどうなるのかを知り、走行ルート上の天気の予測の大切さと、走行中に大雨に遭遇したときの対処法を確認しましょう。

車が立ち往生してしまうほどの雨量とはどのくらいなのか?

雨量と車の走行の関係についてみてみると、1時間あたりの降水量が20~30mmの「強い雨」が降ると、走行中の車はワイパーを速くしても前方が見づらい状態になります(表1)。30~50mmの「激しい雨」になるとタイヤが滑ってブレーキが効きにくくなります。50mm以上の「非常に激しい雨」、80mm以上の「猛烈な雨」になると、道路の排水が追いつかず冠水して川のようになるおそれがあり、車の走行が危険な状態になります。天気予報で「非常に激しい雨」もしくは「猛烈な雨」の予報が出ているときは、運転を控えるか走行している場合は安全な場所へ移動して停止する必要があります。
また、線状降水帯が発生しそうなときは気象庁より「線状降水帯予測」が半日前からニュースや天気予報、気象庁ホームページの防災情報で情報提供されます。該当する地域の走行予定がある場合は、走行ルートや日程を変更するなどして危険回避する必要があります。

表1:雨の強さと降り方

1時間雨量
(mm)
雨の強さ
(予報用語)
人の受けるイメージと影響 運転への影響
20~30 強い雨 どしゃ降りで傘をさしても濡れてしまう。 ワイパーを速くしても前方が見づらい。
30~50 激しい雨 バケツをひっくり返したように降る。 タイヤが滑りブレーキが効きにくくなる。
(ハイドロプレーニング現象)
50~80 非常に激しい雨 滝のように降り、傘は全く役に立たなくなる。 車の運転は危険!
80~ 猛烈な雨 息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感じる。

大雨で道路が冠水すると車はどうなるのか?

大雨や台風、それに起因する河川の氾濫などで、道路はあっという間に冠水する場合があります。道路が冠水した場合、深さが10cmを超えるとブレーキの性能が低下し、30cm(足の向う脛くらい)を超えるとエンジンが停止して立ち往生してしまいます(表2)。50cm(膝上くらい)以上になると、外からの水圧でドアが開きにくくなり、パワーウィンドウ車は窓を開けることができなくなるため車に閉じ込められます。このとき、車は浮いてしまう可能性もあり、水に流れがあると車が流される危険性があります。

表2:水の深さ別にみた車への影響について

水の深さ 車への影響
50㎝以上 パワーウィンドウが開かなくなり車に閉じ込められる。車が浮いて、水に流れがあるとそのまま流されるので、非常に危険な状態になる。
30~50㎝ エンジンが停止する。車から脱出を図らなければならない。
10~30cm ブレーキの性能が低下する。安全な場所に移動する必要がある。
10㎝未満 走行するのに、とくに問題ない。

天気の情報を確認しよう

ドライブに出発する前や、走行中に雲行きがあやしくなってきたときの対処法についてみてみましょう。

ドライブ前にラジオやインターネット、スマートフォンアプリなどで天気の情報を確認しましょう

出発前にラジオやインターネット、スマートフォンアプリなどで天気の情報を確認しましょう。
最近は、スマートフォンで目的地までのドライブルート上に発生する天気のリスクを確認できるアプリや、高速道路を利用する際に進行方向の気象と道路情報を確認できる情報アプリなどがあります。急な大雨による路面状況や視界の悪化のおそれが発生したときは、アプリの情報が更新され、危機回避の手助けになるので、利用するのもよいでしょう。

  • ご注意ください
    運転中にスマートフォンを見ること、操作することは危険な行為であるとともに道路交通法違反(第71条5の5)になります。スマートフォンを利用するときは、車を安全な場所に停めてから確認をしましょう。

走行中に天気が悪くなったら、気象庁の「キキクル」で大雨や洪水などの危険度を調べましょう

山や河川に近い場所を走行中に天気が悪くなった場合は、近くの駐車場などに車を停めて、気象庁ホームページの防災情報「キキクル」で土砂災害や洪水の危険度を確認しましょう。
大雨や河川の氾濫の注意(黄色)が出ていたら、現在地から避難できる安全な場所を確認しましょう。警戒(赤色)や危険(紫色)が出ていたら、すみやかに安全な場所へ避難しましょう。なるべく警戒情報が低い段階で、避難の準備をしましょう。

走行中に大雨に遭遇したときの対処法

走行中に大雨に遭遇したときの対処法についてみてみましょう。

走行中に雨が強くなったら減速し、車間距離をあけ、ヘッドライトを点けましょう

雨天時は、タイヤと路面の間に水の膜ができてスリップしやすい状態になります。雨が強くなってきたら急ハンドル・急ブレーキを避け、タイヤが路面をとらえていると感じられるまでゆっくりと減速して、前の車との車間距離を十分にあけましょう。昼間でもヘッドライトを点け、夜間は上向きにして前方の視認性を高めるとともに、周囲に対し自車の存在を知らせましょう。

路肩に寄せて車を停めるときは、ブレーキランプの強い光で後続車の追突を防ぎましょう

前の車がよく見えないほど雨が強い状態になると、運転自体がとても危険になります。ハザードランプを点滅させ、車を路肩に寄せて停めましょう。停止中は、テールランプを点けた状態で、さらにブレーキペダルを踏み続け、ブレーキランプの強い光で後続車の追突を防ぎましょう。

エンジンが停止しドアが開かなくなったら、シートベルトを外し、窓を割って避難しましょう

エンジンが停止し、水圧でドアを開けられなくなったら、


天気の情報を確認

大雨に遭遇した時の対処法

今月のクイズの答え