「危険予測」で交通事故を未然に防ぐ
2024年1月号
今月のクイズ
運転とは認知・判断・操作を繰り返すことによって行われていますが、認知と判断の間に「予測」をすることによって交通事故を未然に防ごうとするのが「危険予測」という考え方です。
危険予測能力は、運転中に起こり得る交通環境の変化を予測し、予測された危険を回避するための適切な判断・操作を事前に実施して、予め危険に備えようとする、運転には欠かせない能力です。
「危険予測」においてどのような情報が危険の兆候となるのか、どのように交通事故を防ぐことができるのかを考えてみましょう。
走行中の危険
走行中の危険には、見える危険(顕在的な危険)と見えない危険(潜在的な危険)が存在します。
運転者は、次々と変化する交通環境の中で素早く危険要因を見つけ出さなければなりません。どういったところに危険があるのか、どういった要素が危険に繋がるかを理解する必要があります。
見える危険(顕在的な危険) | 見えない危険(潜在的な危険) |
---|---|
左側の駐停車車両が発進の合図を出している | 見通しの悪い交差点 →死角に車や歩行者、自転車がいる…? |
歩道に立っている子どもと、その反対側の歩道から子どもを呼ぶ保護者や友達がいる | ルームミラーやドアミラーに映らない部分 →左後方の死角部分に二輪車がいる…? |
渋滞している対向車の間に、横断しようとしている歩行者の頭が見える | 公園からボールが転がってきた →ボールを追って子どもが飛び出してくる…? |
危険予測トレーニング
危険予測能力を高めるためには、危険に繋がりそうな“きざし”を捉え、その後に起こり得る状況を予測し、どのような運転を心がけるべきか、日頃からイメージすることが大切です。また、イメージとトレーニングを繰り返すことにより、交通事故防止に必要な思考と習慣が身につきます。
4つの交通場面から、それぞれ『予測される危険(どこに危険があるか)』と『危険をさけるための運転行動(どうすれば事故が起きないか)』を考えてみてください。
危険予測トレーニング(解答例)
予測される危険
- ゆずってくれたトラックのかげから直進のバイクなどが来る
- 右折した先の横断歩道を歩行者が突然横断してくる
- 右折した先の道路に車が停止している など
危険をさけるための運転行動
- ゆずってもらっているからと、慌てて右折をしないようにしましょう
- 対向車のかげに二輪車などがいないか、徐々に前進しながら通行しましょう
- 右折した先の横断歩道や道路の状況をしっかりと確認してから曲がりましょう
予測される危険
- 駐停車車両が急に発進する
- 駐停車車両の運転席のドアが急に開く
- 駐停車車両のかげから歩行者が飛び出してくる など
危険をさけるための運転行動
- ブレーキランプが光っている車には運転者が乗っていると考えましょう
- 駐停車車両とは十分な側方間隔を保って進行しましょう
- いつでも止まれるよう速度を落として進行しましょう
予測される危険
- 子どもが横断歩道のないところで横断を始める
- 駐停車車両のかげから運転者や歩行者、自転車が現れる
- 駐停車車両をよけた先でカーブを曲がってくる車や二輪車と衝突する など
危険をさけるための運転行動
- 子どもの様子を見ながら、場合によっては徐行か一時停止をしましょう
- 駐停車車両の側方を通って前方に出る前に一時停止をしましょう
- 速度を落とし、カーブやその先の状況を確認しながら進行しましょう
予測される危険
- 雨音や傘によって、音や視界を遮られた歩行者が、車の接近に気づかないまま道路に出てくる
- 対向車のライトやフロントガラスの水滴で横断歩行者を見落とす
- 路面に水たまりができていて、歩行者に泥はねをする など
危険をさけるための運転行動
- 速度を落とし、歩行者の動きに注意して進行しましょう
- 対向車のライトを直視しないようにしましょう
- ワイパーを適切に使用し、日頃からワイパーブレードが劣化していないか点検しましょう
適切な判断と危険の少ない運転行動
危険につながる“きざし”を見つけることができても、それを正しく危険と感じ、適切な判断・操作をしなければ事故になってしまいます。特に、「~だろう」や「まさか~とは思わなかった」など、自分本位に安易な判断をしてしまうと、結果的に事故を起こす可能性が高まります。「もしかしたら~かもしれない」と考える習慣を身につけましょう。また、危険要因には近づかない、予め速度を調節する、安全確認を徹底するなど、より危険の少ない運転行動をとることが大切です。日頃からイメージとトレーニングを繰り返し、危険予測能力を高め、交通事故を未然に防ぐことができるようになりましょう。
- 「~だろう」と考えず、「~かもしれない」と考える習慣を身につけましょう
- 危険要因には近づかない、予め速度を調節するなど、より危険の少ない運転行動をとりましょう
- 日頃から様々な交通場面をイメージし、正しい運転行動がとれるようトレーニングを続けましょう
今月のクイズの答え
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(3)
77.5%判断ミスは14.9%、操作ミスは7.4%となっています。
- 出典:公益財団法人 交通事故総合分析センター「人的要因別・事故類型別 全事故件数(1当)-車両」より
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