LRT・路面電車走行地域での運転

2024年2月号

今月のクイズ

2022年度の路面電車の交通事故は44件でした。このうち、自動車や歩行者との接触または衝突による事故は何件発生したでしょうか?

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    15件
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    23件
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    31件

路面電車は自動車の普及によって大幅に減少し、現在は20路線にとどまっています。一方で、2023年8月に開業した「宇都宮ライトレール」は、75年ぶりとなる新たな路面電車の開業と、日本で初めて全線にわたって新規建設されたLRTとして話題になりました。LRTは「次世代型路面電車システム」とも言われ、人と環境にやさしい公共交通機関として高く評価されています。今後、日本国内でもLRTの新規開業が続くかどうかが、注目されています。
しかし、LRTを含む路面電車の運行は一部地域に限られているため、大多数のドライバーにとってはなじみがなく、思わぬ事故に繋がる可能性があります。
出張や旅行などで訪れる際に戸惑うことのないよう、路面電車走行地域における交通ルールや注意点を理解し、どのような運転を心がける必要があるのかを考えてみましょう。

次世代型路面電車システム ー LRTとは

LRTとは、「Light Rail Transit (ライト・レール・トランジット)」の略で、低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面で優れた特徴を有する軌道系交通システムのことです。*1従来の路面電車に比べて、車両内や停留所に段差がなく、高齢者や車いす、ベビーカーの方でもスムーズに乗り降りすることができます。LRTの乗り場に近接した駐車場・駐輪場を整備し、自家用車から乗り換える「パーク&ライド」によって、交通量や排気ガスの削減、道路混雑の緩和、移動時間の短縮などが期待されています。
また、LRTはその近未来的なデザイン性の高さも相まって、都市計画のシンボル的な存在にもなっています。LRT開通に伴う周辺の再開発、トランジットセンター(乗り継ぎ拠点)の設置による公共交通ネットワークの構築など、魅力的なまちづくりにも貢献しています。
今後、宇都宮ライトレールに続くLRTの新規開業が実現可能かどうか、その実績や効果にも注目が集まります。

LRTの特徴

人にやさしい
  • 低床式車両の採用とバリアフリー構造により、誰もが利用しやすい交通機関である
  • 騒音・振動が少なく、乗り心地が快適である
環境にやさしい
  • 自家用車や路線バスに比べて二酸化炭素の排出量が少なく、一度に多くの人を運ぶことができる
街にやさしい
  • LRT開通に伴う周辺の再開発や地域活性化など、魅力ある街への再生が期待される
  • 地下鉄やモノレールに比べて建設コスト・整備コストが少なく済む

路面電車走行地域での交通ルール

同じ道路を走行する自動車と路面電車は、ともに道路交通法に従わなければなりません。
路面電車の事故で最も多いのは、自動車や歩行者との衝突または接触による事故です。
主な交通ルールについて改めて確認し、交通事故防止に努めましょう。

1. 軌道敷内の通行

危険防止のためやむを得ない場合を除き、原則、車は軌道敷内を通行してはいけません。
例外として「軌道敷内通行可」の標識がある場所や、右左折・横断・転回をするため横切る場合は通行することができます。
ただし、通行中に後方から路面電車が近づいてきたときは、すみやかに軌道敷外に出るか、十分な距離を保たなければなりません。
また、軌道敷内で停止することはできませんので、交差点内で右折待ちをするときは軌道の手前で停止するようにしましょう。軌道敷内では、路面電車の通行が最優先です。路面電車の通行を妨げることのないよう、注意しましょう。

軌道敷とは…
道路上で路面電車が通行するために必要な部分のこと。主にレールと敷石や線などで示されている。
「軌道敷内通行可」の標識

2. 黄色の矢印信号

交差点では、路面電車は自動車と同じように信号機に従って通行します。
ただし、黄色の矢印信号がある場合は、赤信号であってもこれに従って進むことができます。黄色の矢印信号は路面電車に対する信号であるため、自動車や歩行者は進むことができません。

  • 路面電車は右折できますが、自動車は右折できません。
黄色の矢印信号

3. 停止中の路面電車のそばを通るとき

停留所に止まっている路面電車のそばを通るときのルールは、安全地帯があるかどうか、乗り降りする人がいるかいないかによって変わります。

<停留所に安全地帯がないとき>

  • 乗り降りする人や横断する人がいなくなるまで、後方で停止して待たなければならない(図1)
  • 乗り降りする人がおらず、路面電車との間に1.5m以上の間隔がとれるときは徐行して通行することができる(図2)

<停留所に安全地帯があるとき>

  • 乗り降りする人がいるいないに関わらず、徐行して通行することができる(図3)
「安全地帯」の標識
図1:安全地帯がないとき
図2:安全地帯がないとき
図3:安全地帯があるとき

また、停留所の近くに交差点があるところで右左折をする場合は、歩道だけでなく停留所からの横断歩行者にも注意してください。


今月のクイズの答え