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正しい運転操作

2024年4月号

今月のクイズ

2018年~2020年におけるペダル踏み間違いによる全死傷事故のうち、24歳以下の若年ドライバーが起こした事故の割合は次のうちどれでしょうか?

  • (1)
    16.5%
  • (2)
    11.4%
  • (3)
    6.8%

自動車教習所で運転について学んでいたときには、正しい姿勢や目線の配り方、ハンドル・ペダルの操作方法など、基本に忠実な運転を心がけていたはずです。しかし、運転や車両に慣れるにつれ、自己流の運転や悪い癖が習慣化されてしまうドライバーが見られます。誤った習慣は操作ミスなどを誘発し、時には死亡事故を起こす危険性があります。今月は誤った習慣に起因する操作ミスなどによる交通事故を防止するため、車を正確にコントロールする方法を学びましょう。

運転操作の基本は正しい姿勢

操作不適による事故は主にブレーキペダル・ハンドル・アクセルペダルの操作ミスによって発生しています(図1)。 運転姿勢が崩れていると、これらを正確に操作することが難しくなり、思わぬ事故を起こす危険性が高まります。運転操作の基本は正しい姿勢を保つことですが、運転や車両そのものへの慣れが生じると、緊張感がなくなり気がゆるむことで、次第に姿勢が崩れやすくなります。誤った姿勢が習慣化されると悪い癖となりますが、癖を自覚し正すことは容易ではありません。いま一度、自分自身の運転姿勢を見直してみましょう。

図1 操作不適による全事故件数(2022年)
  • 出典:
    公益財団法人交通事故総合分析センター「人的要因別・事故類型別全事故件数(1当)- 車両」(令和4年)より弊社作成

正しい運転姿勢のとりかた

運転席では初めにシートの位置を調節し、頭・ひじ・ひざ・腰が正しい位置にくるよう姿勢を整えます。ミラーの調節とシートベルトの着用は、正しい運転姿勢をとってから行いましょう。まずはシートに深く腰掛け、進行方向の先までを見渡せるよう、背筋を伸ばして座ります。頭はヘッドレストの中心が耳の高さになるよう置きます。ひじは、ハンドルを握った際にわずかに曲がる程度が正しい位置となります。ひじが伸びきってしまう、あるいは曲がりすぎてしまうと、円滑にハンドルを操作することができず、ミスを起こしやすくなります。ひざはブレーキペダルをいっぱいに踏み込んだ時に余裕が取れる程度にしましょう。ペダルまで遠すぎると、万が一の際にブレーキの踏み込みが甘くなり、正しく力が伝わりません。一方で、近すぎるとアクセルペダルからの踏みかえ時に足がペダルにひっかかることがあり、踏み間違いを誘発します。運転姿勢が崩れていると操作ミスを引き起こすだけでなく、シートベルトやエアバッグの効果が損なわれる危険性もあります。

正しいミラーの合わせ方

ミラーは運転者の座高やシートの位置によって見え方が異なるため、特に家族や同僚と共用している車両やレンタカー、カーシェアリングなどを利用する際には、毎回ミラーを調節する習慣をつけましょう。ルームミラーは真後ろがミラーの中央に映るように調節します。左右のドアミラーはそれぞれ全体の2分の1から3分の2程度、路面が映るようにして、内側には車体の4分の1が映るように調節します。ミラーを調節する際は目と手だけを動かし、頭の位置や姿勢が変わらないように注意しましょう。ミラーを正しい位置に調節することで死角を減らして、左右後方の状況や他車との位置関係を正しく確認できるようにします。

正しいハンドルの持ち方

運転に慣れてくると、いわゆる片手ハンドルや内掛けハンドルなど、誤った方法でハンドルを操作するドライバーが見られます。誤った持ち方や操作をしていると、緊急時の危険回避が難しくなるだけでなく、運転姿勢が崩れる原因にもなります。
また、速度が高いときにはハンドルのわずかな傾きが車の動きに大きな影響を及ぼすため、ささいなミスが大きな事故を引き起こす可能性があります。正しいハンドルの持ち方は、9時15分~10時10分の位置を目安に、自然な場所へ手を置き、親指は内側にいれず、ハンドルに添えるようにします。回すときは手を交差させて持ち替えましょう。

正しいペダルの踏み方

正しい位置に足を置いていないと、ペダルの踏み間違いをしたり、踏み込みの力をうまく調節できなかったりします。また、危険回避すべき時にしっかりとブレーキを踏み込むことができずに事故となってしまう危険性が高まります。操作時にはペダルの向きに合わせつつ、足指の付け根あたりがペダルの中央にあたるように足を置きましょう。乗り慣れていない車を運転する時には、発進前に目視でペダルの位置を確認しておきます。
また、ペダルを正しく操作するためには、履物にも注意が必要です。ヒールのある靴や、かかとが固定されないサンダルなどを履いて運転をしてはいけません。必ず、運転に適したものを履くようにしましょう。予め車の中に運転用の靴を常備しておくと、レジャーや営業回りなどで適した靴がないときにも履き替えることで、安全に運転することができます。

車のコントロールには視線も重要

運転操作の大部分は手や足を動かすことによって行われますが、適切な走行ポジションの確保や危険回避のための操作には、視線も重要になります。運転時には、自然と視線の先へ向かおうとする意識が働きますが、近くを見ていると車の進路がずれていることに気づきにくくなります。なるべく遠くへ視線を向けることで早めに進路のずれを修正することができ、自然と車をコントロールできるようになります(図2)。
また、近くばかりを見ていると見える範囲が狭くなり、先の情報を捉えることができません。状況に応じて車を正しくコントロールするためにも、遠くを見ることを意識し、必要な情報をより多く取り入れるようにしましょう。

図2 近くを見ていると車の進路が
ずれていることに気づきにくくなる

操作ミスによる交通事故を防ぐためには

急ぎ・焦りやパニックといった心理状態では、操作ミスを引き起こしやすくなります。心に余裕をもち、突然の変化に落ち着いて対応するためにも、適切な速度管理を行い、普段から十分な車間距離を保つようにしましょう。速度が出ていると、ブレーキやハンドルの操作が間に合わないということがあります。基本の操作を確認し、正しい習慣を身に付けましょう。


今月のクイズの答え