電気自動車(EV・BEV)の特性と注意点

2024年11月号

今月のクイズ

ハイブリッド車と電気自動車の保有台数(全車種含む)において前年に対する増加率はどちらが大きいでしょうか(2023年12月時点)?

  • (1)
    ハイブリッド車
  • (2)
    電気自動車

近年注目されている電気自動車(EV・BEV)ですが、ハイブリッド車(HV車)やエンジン自動車とは異なる特性や注意点を理解していないと、予期せぬ事故やトラブルが発生するおそれがあります。2023年度の日本における新車登録台数のうち、約6割をHV車、3割強をガソリン車が占める中、EV・BEVは1. 6%とまだ少数ではありますが、保有台数は年々少しずつ増加しています(図1)(図2)。今月は電気自動車の特長や性能を知り、どのような点に注意すれば良いのかをみてみましょう。

図1 燃料別新車登録台数の割合(2023年度) 図2 電気自動車の保有台数推移

電動車の種類

モーターのみで走行する電気自動車(EV・BEV)の他に、モーターとエンジンを併用して走行するプラグインハイブリッド車(PHV)やハイブリッド車(HV)などがあり、総称として「電動車」と呼ばれています。

電気自動車(EV・BEV) 自動車に搭載したバッテリーに充電された電気で走行します。車外からの充電のみ可能です。 プラグインハイブリッド車(PHV) 走行状況によって、電動モーターとエンジンを併用して走行します。動力源はガソリンと電気の2つです。 ハイブリッド車(HV) 走行状況によって、電動モーターとエンジンを併用して走行します。動力源はガソリンのみです。

電気自動車の特長と注意点

電動車のうち、主に電気自動車(EV・BEV)における特長と注意点についてみてみましょう。

特長

走行中に二酸化炭素を排出しない

バッテリーに蓄えた電力のみで走行するため、走行中は二酸化炭素を一切排出しません。性能に応じてエコカー減税やグリーン化特例などの税金に関する優遇を受けることができます。

走行コストを抑えることができる

ガソリン価格が高騰している中、電気自動車は電力のみをエネルギーとしているため比較的安価な電気代で賄うことができ、走行コストを抑えることができます。例えば、下記の条件で計算してみると、ガソリン9.0円に対し電気では4.9円となっています。

1㎞あたりの価格 レギュラーガソリン:174円/L*1 1Lのガソリンで走行できる距離:19.4km*2 電気代:31円/kWh*3 1kWhの電気で走行できる距離:6.3km*4 ガソリン 174円÷19.4km/L=9.0円 電気 31円÷6.3km/kWh=4.9円

非常用電源として活用することができる

地震や台風などの災害で停電が起こったとき、非常用電源として活用することができます。令和6年能登半島地震による停電の際には、自動車メーカーなどが被災地に電動車を派遣し、外部給電機能を活用した活動を行いました*5。自然災害のリスクが高い日本において、電気自動車は災害対策の1つとしても注目されています。ただし、浸水・冠水した車両は、感電・火災が発生するおそれがありますので、使用しないでください。

注意点

電欠に陥る可能性がある

日本ではまだ充電スタンドなどの整備が不十分であることに加え、充電には長い時間がかかります。満充電されていないまま出発し、残量が少なくなったときには近くに充電する場所がない、などの状況に陥る可能性が考えられます。また、電気自動車は「低温な寒冷地が苦手」と言われており、低温ではバッテリー内の化学反応が起きにくく、より充電に時間がかかり走行距離も短くなりやすいため、特に冬場は電欠に陥るリスクが高まります。

加速性能に優れているため急加速に注意

一般的に、同クラスのエンジン自動車よりも加速性能に優れているため、アクセルペダルの踏み込み量によっては急加速となる恐れがあります。車輪止めや縁石を乗り越えないよう、特に駐車時などは、慎重にアクセル調節をしましょう。

振動や騒音が少ないので歩行者に注意

静粛性はメリットでもある反面、周囲に自車の存在が気づかれにくいことが考えられます。歩行者のそばを通るときは予め安全な距離を確保する、速度を落とす、などの対応が必要です。特に自車に気づいていない歩行者との間には、間隔をより広くとるようにしましょう。

電気自動車(EV・BEV)の特性を踏まえた運転をしましょう

電気自動車にはハイブリッド車やエンジン自動車とは異なる特性や注意点があることを理解した上で、適切な運転を心がけなくてはなりません。

今月のクイズの答え