シートベルト・チャイルドシートの正しい着用
2024年特別号
今月のクイズ
警察庁が行った調査において、どれくらいの割合で誤ったチャイルドシートの着座状況(ミスユース)が発見されたか、次の中から選んでください(2024年)。
- (1)15.8%
- (2)30.2%
- (3)44.3%
命を守るためのシートベルトやジュニア/チャイルドシートですが、確実かつ適切に着用していなければその効果を十分に得ることができず、場合によっては死亡事故を引き起こすことがあります。道路交通法では、運転者自身がシートベルトを着用すること、助手席や後部座席の同乗者にも着用させなければならないこと、6歳未満の子どもや6歳以上であっても体格や病気・ケガ、障がいなどの事情によりシートベルトを適切に着用できない子どもにはチャイルドシートを使用することが義務付けられています*1。一方で、後部座席のシートベルト着用率が低いこと(図1)や年齢が上がるにつれてチャイルドシートの使用率が下がっていること(図2)などが問題となっています。今回は、万が一事故に遭ってしまった際に命を守れるよう、シートベルト・ジュニア/チャイルドシート非着用時のリスクや正しい着用方法について理解を深めましょう。
- *1道路交通法第71条の3第1項~第3項
- 図1 出典:警察庁・JAF合同「シートベルト着用状況全国調査結果(令和5年)」より弊社作成
- 図2 出典:警察庁「年齢層別チャイルドシート使用率(令和6年)」より弊社作成
シートベルトは正しく着用しましょう
シートベルトは正しく着用できていないと十分な効果が得られず、場合によっては首や腹部を損傷する恐れがあります。正しく着用することにより、交通事故の被害を大幅に軽減するだけでなく、正しい運転姿勢を保持することができ、疲労の軽減などにも効果があります。
- シートに深く腰掛け、正しい姿勢で座りましょう
- 肩ベルトと腰ベルトの三点をしっかりと合わせましょう
- 肩ベルトは首にかからないよう高さを調節しましょう
首にかかっていると事故の衝撃で首が絞まる恐れがあります - 腰ベルトは骨盤を巻くように締めましょう
腹部を覆っていると事故の衝撃で内臓を損傷する恐れがあります - ベルトがねじれていないか確認しましょう
- バックルの金具は確実に差し込みましょう
運転者自身だけでなく、同乗者にも必ず着用をさせましょう。シートベルトをしていないと、フロントガラスやハンドル、座席などに衝突したり、車外に放り出されたりするリスクがあります。特に後部座席の同乗者は、事故の衝撃と反動で運転席や助手席に座っている同乗者に危害を加えてしまう恐れもあります。自分自身だけでなく、他の同乗者を守るためにも、シートベルトの着用を徹底しましょう。
チャイルドシートを使用していないと…
警察庁の発表によると、チャイルドシート不使用者の致死率は適正使用者の約4.2倍となっており、車内での全身の強打や車外放出によって命を落とすリスクが高まります(図3)。使用が義務付けられている6歳未満の幼児の内、特に体格がしっかりしてくる5歳児では使用率が低下しており、車両シートにそのまま着座させたり、大人用のシートベルトを着用させたりしていることが考えられます。身長の低い子どもに大人用のシートベルトを着用させてしまうと、事故の際に首が絞まったり、腹部への圧迫による内臓破裂を引き起こしたりする可能性があります。小さな乳児の場合は保護者が抱っこした状態で乗車していることもありますが、衝突時は体重の約30倍の衝撃が発生すると言われています*2。すぐそこまでだから…、子どもが嫌がるから…、といった油断や甘えがあっては、子どもの命を守ることはできません。大人が責任をもって使用させましょう。また、チャイルドシートを使用していても取付け方や着座の仕方が誤っていると(ミスユース)、事故の衝撃でチャイルドシートそのものが外れてしまう、子どもがシートから飛び出てしまうなど、チャイルドシート本来の機能が発揮されないことがあります。必ず正しい方法で使用するようにしましょう。
- *2参考:国土交通省・NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)「チャイルドシートアセスメント2024.03 チャイルドシート安全比較BOOK」より
- 図3 出典:警察庁「自動車同乗中(6歳未満幼児)のチャイルドシート使用有無別致死率比較(令和元年~5年合計)」より弊社作成
- 図4 出典:警察庁・JAF「6歳未満のチャイルドシート使用状況(使用・不使用状況の内訳)(令和6年5月実施)」より弊社作成
ジュニア/チャイルドシートの正しい使用方法
ジュニア/チャイルドシートは目安となる体重、身長、年齢に応じて適当な形状のものを使用しなければなりません。
乳児用(ベビーシート) | 幼児用 | 学童用(ジュニアシート) |
---|---|---|
体重:10kg未満 身長:70cm以下 年齢:新生児~1歳くらい |
体重:9~18kg 身長:65~100cm以下 年齢:1歳~4歳くらい |
身長:150cm以下 年齢:4歳~12歳くらい |
- 発育の程度に応じて、体格に合った形状のものを使用しましょう
- 後部座席で使用するようにしましょう
- 取扱説明書に従って正しく取付け、装着しましょう
- 国土交通省の安全基準に適合したものを使用しましょう
- 出典:国土交通省・NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)「チャイルドシートアセスメント2024.03 チャイルドシート安全比較BOOK」より弊社作成
6歳以上であっても、体格に応じて使用しましょう
チャイルドシートの使用義務期間は、法令上6歳未満となっていますが、6歳以上であっても身長が150cmに満たない場合は、大人用シートベルトを適切に着用することができないため危険が伴います。年齢だけを基準とするのではなく、子ども個人の体格に応じてチャイルドシートを使用するようにしましょう。
- 出典:国土交通省・NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)「チャイルドシートアセスメント2024.03 チャイルドシート安全比較BOOK」より弊社作成
今月のクイズの答え
-
(3)
44.3%乳児・幼児では「ハーネスの締め付け不適正」、学童では「体格不適合」が最も多くなっています。
- 出典:警察庁「チャイルドシート使用状況全国調査結果(令和6年)」より
- 出典: