信号機のない交差点の交通ルール

2025年3月号

今月のクイズ

2023年中に交差点で発生した交通事故133,570件のうち、信号機のない交差点で起こった割合を次の中から選んでください。

  • (1)
    39.2%
  • (2)
    47.1%
  • (3)
    58.8%

交差点は事故の多い場所の1つです。特に信号機のない交差点では、異なる方向から進入してくる交通参加者に対して交通整理が行われていないため、事故を防ぐには優先関係や一時停止などの基本的なルールを遵守することが大切です。信号機のない交差点で発生した交通事故では、車両相互の事故が約87%と多数を占めており、また、「出会い頭」での事故が約65%で最多となっています*
信号機のない交差点での事故を防ぐために、あらためて交通ルールについて確認してみましょう。

信号機のない交差点における優先関係

信号機による交通整理が行われていない交差点においては、原則、道路の形状に応じた優先順位が定められています。
また、信号機がない代わりに一時停止の標識・標示による規制を設けている交差点もあります。

道幅が同じような場合

原則、左方優先となるため、左側から来る車の進行を妨げないようにしなければなりません。

片方の道幅が明らかに広い場合

道幅が明らかに広い方の道路を通行している車が優先となるため、非優先の車は徐行するとともに、交差する道路を通行する車の進行を妨げてはいけません。

交差点の手前に一時停止の規制がある場合

一時停止の規制がない方が優先となります。規制のある側の車は停止線の直前で一時停止しなければならず、また、交差する道路を通行する車の進行を妨げてはいけません。停止線は交差点の端よりも少し手前に設けられていることが多く、特に見通しが悪い場所では左右からの車の確認が難しいため、多段階停止を心がけましょう。

多段階停止とは
安全のために、一時停止場所で複数回停止する方法です。
「止まる」「見せる」「見る」の3段階での停止が推奨されています。
  • (1)
    停止線で停止する
  • (2)
    車両の先端が交差点にかかるところで再度停止し、交差道路の走行車両などに自車の存在を知らせる
  • (3)
    左右の状況が見えやすい位置でもう一度停止し、安全を確認してから通行する

交差道路が優先道路の場合

交差する道路が「優先道路」であるときは、非優先道路を通行する車は徐行するとともに、優先道路を通行する車の進行を妨げてはいけません。見通しの悪い交差点であっても、優先道路を通行している側には徐行の義務はないため、特に注意が必要です。

優先道路とは
「優先道路」の標識がある道路や、センターライン・車両通行帯の線が交差点の中まで描かれている道路を指します。

ただし、優先道路を通行している側にも安全運転義務はあります。非優先道路を通行する車が優先関係を無視して進入してくることも考えられますので、相手が止まるだろうと思い込まず、交差点進入時はアクセルオフにして注意を向けるようにしましょう。また、交差点の先が停止車両で混雑しているときや、非優先道路側の後続車が連なっているとき、視界が悪いときなどは進路を譲ることによって、交通の安全や円滑さを確保することができます。優先意識を強く持ちすぎず、思いやりと譲り合いを心がけることが事故を防ぐことに繋がります。

環状交差点(ラウンドアバウト)の通行方法

環状交差点(ラウンドアバウト)とは、信号機や一時停止が設置されていない円形の平面交差点のことです。2014年9月1日の道路交通法改正以降、少しずつ導入が進んでおり、2024年3月末時点では日本全国に計161箇所あります。ほとんどのドライバーが実際に走行した経験がないため、出張や旅行先などで初めて通行するときには戸惑うこともあるかもしれません。予め正しい通行方法を知っておきましょう。

ロータリー(円形交差点)との違い
ロータリーには信号機や一時停止が設置されていることがあり、規制に従って通行をしなければなりません。信号機がない場合は通常の交差点と同じく左方優先となるため、進入する車が優先です。一方、ラウンドアバウトは信号機や一時停止が設けられていないため、別途、道路交通法によってルールが定められており、周回している車が優先です。
ロータリーの標識 ラウンドアバウトの標識
・入るときと出るときは、歩行者に注意しましょう ・環状交差点内を通行する車が優先です※入るときは、合図不要です ・右回り(時計回り)で、左端に沿って徐行しながら通行します ・出ようとする地点の直前の出口の側方を通過したときに合図を出します
環状交差点の正しい通行方法
環状交差点の誤った通行方法
環状交差点は右回り(時計回り)の一方通行であるため、通常の交差点のように右端または中央に寄って右折すると逆走となり大変危険です。右折する場合も最短ルートを進まず、左端に沿って通行しなければなりません。

信号機のない交差点での事故を防ぐためには

信号機のない交差点では優先関係や一時停止義務を無視すると事故を起こすリスクが高まります。法令に従って適切に通行するようにしましょう。また、優先道路を走行している場合でも優先意識を持ちすぎてしまうと、思わぬ事故に繋がったり円滑な交通の流れを止めてしまったりする可能性があります。原則に従うだけでなく、状況に応じた対応ができるようにしましょう。

今月のクイズの答え