自動車の検査と点検整備

2025年6月号

今月のクイズ

2024年における「整備不良車運転」での検挙件数を1日あたりに換算すると何件になるか、次の中から選んでください。

  • (1)
    約50件
  • (2)
    約30件
  • (3)
    約10件

自動車の不調は、故障や排出ガスの増加等だけでなく、事故につながることもあります。点検整備は法律でも「使用者の義務」と定められています。自動車を適切な状態に保つため、今月は自動車の検査と点検整備について理解を深めましょう。

整備不良が招く事故リスク

自動車の点検整備を怠り、不調や不具合を放置してしまうと、重大なトラブルや事故につながるおそれがあります。

各種液量の不足 ランプ類の不具合 タイヤの整備不良
ブレーキ液、冷却水、エンジンオイル等が不足した状態で走行を続けると…? 正常に点灯・点滅していない、損傷しているなどの状態で走行を続けると…? 空気圧不足、亀裂・損傷した状態で走行を続けると…?
ブレーキの効きが悪くなる、オーバーヒートを起こす、エンジンが停止するなど、走行不能に陥ったり危険を回避できなくなったりする可能性があります。 自車の動きを周囲に伝えることができず、接触等の事故につながることがあります。また、夜間も走行ができなくなります。 バーストする可能性があります。バーストするとハンドルがとられ、車を制御できなくなるおそれがあります。

点検の種類と車検の受検可能期間

自動車の検査や点検は、それぞれ頻度や目的が異なります。内容を理解して適切に実施しましょう。

頻度 目的
車検 2年に1回実施
(新車は初回のみ3年に1回)
※一部の事業用自動車を除く
国が定める自動車の安全・環境基準をクリアしているかをチェックするための検査
※車検証の有効期間内の安全性を保証するものではありません
定期点検 自家用乗用車は12ヶ月ごとと24ヶ月ごとに実施 故障等のトラブルを未然に防ぎ、その性能維持を図るために行う予防点検
日常点検 走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に実施
(1ヶ月に1回以上)
劣化や消耗、損傷等をいち早く発見できるよう、車の状態を確認するために使用者自身の責任において実施する点検

国土交通省によると、月別の平均車検台数が約281万台であるのに対し、3月は約389万台と突出しており、予約が取りづらい状況や自動車整備士の負担が大きいことが問題となっていました(図1)。
このような背景から、年度末における車検の混雑緩和と自動車整備士の働き方の改善のため、2025年4月1日に道路運送車両法施行規則等が改正されることとなり、「車検証の有効期間満了日の1ヶ月前から」とされていた車検の受検可能期間が「車検証の有効期間満了日の2ヶ月前から」に拡大されました。また、これに整合させるため自賠責保険の更新期間も拡大されています。車検は余裕をもって予約・受検するようにしましょう。

図1:月別の車検台数(2019年~2023年の平均)

日常点検の15項目と車の異常を知らせる警告灯

日常点検は使用者(運転者)自身で行うことができます。不備、不足、不良等の異常が見受けられるときは、補充またはディーラーや整備工場へ相談をしましょう。

エンジンルームの点検 ブレーキ液 冷却水 エンジンオイル バッテリ液 ウインド・ウォッシャ液 各種液量に過不足がないかを点検します 車の周りからの点検 ランプ類の点灯、点滅 タイヤの亀裂や破損 タイヤの空気圧 タイヤの溝の深さ 損傷や破損等の不良がないかを点検します 運転席での点検 エンジンのかかり具合や異音 ウインド・ウォッシャ液の噴射状態 ワイパーのふき取り能力 ブレーキペダルの踏み残りしろと効き具合 パーキング・ブレーキの引きしろ(踏みしろ) エンジンの低速・加速状態 正常に作動するかを点検します

車には、様々な異常を知らせるサインとして警告灯があります。特に赤色の警告灯は重大なトラブルが発生していることを示していますので、速やかに点検・修理をしましょう。

ウォッシャ液警告灯 エンジン警告灯 充電警告灯 油圧警告灯 高水温警告灯(赤)
ウォッシャ液が不足しています エンジンやトランスミッションシステム等に異常があります バッテリーや充電系統に異常があります エンジンオイルの異常やオイル漏れの可能性があります オーバーヒートを起こしている可能性があります

今月のクイズの答え