交通事故の被害者・目撃者になったとき

2026年3月号

今月のクイズ

呼吸停止後、約何分経過で死亡率が50%となるか、次の中から選んでください。

  • (1)
    約5分
  • (2)
    約10分
  • (3)
    約15分

交通事故はいつ発生するかわかりません。ある日突然、交通事故の被害に遭うこともあれば、事故の現場に居合わせることがあるかもしれません。発生直後は動揺と混乱で取り乱してしまう可能性があり、できる限り冷静に正しく対処するためには、予め知識を得ておくことが大切です。「自分には関係ない」と思わずに、いざというときのため、被害者・目撃者になったときのことを考えてみましょう。

交通事故の現場で当事者が対応すべきこと

事故直後の現場は事故車両の破片の散乱や車両火災のおそれ等があります。また、後続車による追突事故等が発生することがあり非常に危険です。交通事故に遭ったときや現場に居合わせたときは、「安全の確保」「負傷者の救護」を行った後、「警察への通報」を行います。

安全の確保

ハザードランプをつけ、後方に停止表示器材(三角表示板)や発炎筒を置き、事故が発生したことを周囲に知らせましょう。二次的事故のおそれがある場合や現場保存が難しいような場合は、事故車両を路側帯や路肩等の交通の妨げにならないような安全な場所に移動させ、エンジンを切ります。車体からのガソリン漏れがないかも確認しましょう。火災につながるおそれがあるため、事故現場ではタバコ等の火気は厳禁です。

負傷者の救護

負傷者がいる場合は意識の有無や負傷の程度を確認し、119番通報とAEDの手配をします。119番通報では、救急であること、現場の住所(住所が不明な場合は交差点名や目印となる建物等)、負傷者の人数や程度、通報者の情報等を落ち着いて伝えましょう。自身が負傷していて通報ができない場合は、周囲の人に協力を要請します。通報時に応急手当の説明や指示を受けることもできますので、電話はスピーカーにして繋いだままにしましょう。通報者のスマートフォンから現場の映像を送信し、消防が状況をリアルタイムで確認した上で口頭指導ができる「Live119」のサービスも広がっています。専門知識がなくても対応できるよう助言もありますので、勇気をもって可能な限りの応急救護処置を行いましょう。救護する際は、後続事故のおそれがある場合を除き、負傷者をむやみに動かさないようにします。特に頭部・首・腰は重大な怪我をしている可能性がありますので、注意しましょう。負傷者を動かす必要があるときや動かしても問題のないときは、歩道等の車が通らないところで、なるべく救急車との連携がしやすい安全な場所を選びます。意識・呼吸を確認し、呼吸がないときや判断に迷うとき、人工呼吸に抵抗があるときは、すぐに心臓マッサージを行いましょう。AEDは機器が電気ショックの必要性を自動で判断・指示してくれます。感染のおそれがあるため、止血する際はビニール袋等を使用し、直接血液に触れないようにしましょう。

警察への通報(110番)

事故の大きさや負傷の程度にかかわらず、必ず110番通報しましょう。特に被害者になった場合に警察への届出を行っていないと、交通事故の発生を公的に証明する「交通事故証明書」が発行されず、保険金や損害賠償の請求ができなくなり、不利益を被ることになります。

被害者・目撃者になったときの対応のポイント

被害者になったとき

相手の情報を確認しましょう

相手の身元(氏名・住所・連絡先)、車のナンバー、保険会社名等を確認し、メモに控えたり同意を得た上で写真を撮ったりして情報を残しておきましょう。メモをとる際は相手の言うことをそのまま信用するのではなく、必ず免許証等の身分証明書や自賠責保険証明書を確認しましょう。その場で感情的になったり、当事者間で直接示談しようとしたりすると、トラブルに発展する可能性があります。必ず警察官や保険会社等、第三者を交えて対応するよう心がけましょう。

医師の診察を受けましょう

交通事故に遭ってすぐは、興奮していて痛みを感じなかったり、目立った外傷がないと軽い怪我だと考えてしまったりするかもしれません。事故後しばらくしてから症状が出るケースがありますので、自己判断せず、必ず医療機関を受診しましょう。また、受診が遅れると交通事故との因果関係を証明することが難しくなりますので、早めに受診するようにしましょう。

事故の状況を記録しましょう

発生日時、事故現場の道路状況、事故に至るまでの経緯等、記憶が鮮明なうちに記録しておきましょう。車両相互事故であれば、スピードや停車位置、信号の状況、交差点上での優先関係等も、わかる範囲で記録しておきます。また、可能であれば目撃者の証言も確保しておきましょう。ドライブレコーダーが取り付けられている場合は、データの上書きを防ぐためにSDカードを抜き取るか、緊急録画・データ保護の機能を使用しましょう。

保険会社に連絡しましょう

加入している自動車保険の保険会社に連絡をしましょう。事故直後であれば、現場での対応に関するアドバイスを受けられたり、代わりに事故相手と話をしてくれたりするサービスもあります。ただし、早急に治療や受診が必要な場合はそちらを優先し、保険会社への連絡は落ち着いてからにしましょう。後日あらためて連絡する際は、保険証券や診断書、事故状況や損害の程度、相手の情報等を用意しておくとスムーズです。

目撃者になったとき

可能な範囲で協力しましょう

事故対応は義務ではありませんが、目撃者の存在は被害者や警察にとって大きな助けとなります。負傷者がいる場合は積極的に応急救護処置を行いましょう。救護活動が難しい場合は、後続事故防止のため車両の移動や後続車への注意喚起、通報の代行等、無理のない範囲で協力することが大切です。万が一事故を起こした車が逃走したのを発見した場合は、すぐに車両ナンバーや色、特徴を控えましょう。

警察官へ報告・証言をしましょう

目撃した内容の記録や現場を撮影し、警察官へ報告しましょう。目撃者の証言や事故現場の写真は、事故原因の解明に重要な役割を果たします。また、示談交渉においても大きな判断材料となります。場合によっては被害者や警察官に連絡先を聞かれたり、後日証人になることを求められたりすることもありますので、可能であれば協力をしましょう。

事故後の心のケア

交通事故は身体だけでなく、心にも大きな影響を及ぼすことがあります。被害者であっても目撃者であっても、強い不安・恐怖・罪悪感を抱くことがあるかもしれません。無理に気持ちを抑え込まず、必要であれば家族や友人、専門機関に相談することも大切です。事故後しばらくは、怪我や後遺症だけでなく、心の変化にも注意を向けましょう。

被害者・目撃者になったときは…

今月のクイズの答え