標識・標示の意味と遵守することの大切さ

2026年6月号

今月のクイズ

2025年に取締りを受けた最高速度違反の内、超過速度で最も件数が多いものを次の中から選んでください。

  • (1)
    速度25km/h未満
  • (2)
    速度20km/h未満
  • (3)
    速度15km/h未満

交通違反の取締りは日常的に行われていますが、その多くが標識・標示に関係しています。
標識・標示の見落としや思い込みが事故や違反につながることも少なくありません。教習所で学んだ意味を忘れていたり、新しい標識を知らないまま運転していたりする場合もあるかもしれません。
今月は、身近な標識・標示の意味を改めて確認し、遵守することの大切さを考えてみましょう。

道路交通法違反の取締り状況

2025年の道路交通法違反による取締り件数は4,932,459件あり、上位の「一時不停止」「最高速度違反」「通行禁止」が半数を占めています(図1)。これらは標識・標示が設置されている場所で多く発生しており、見落としだけでなく、理解しているつもりでも、誤った判断が違反につながっている場合もあります。

図1 取締りの違反種別と割合

重要な意味を持つ標識・標示

道路交通法で定められた標識・標示は200種類以上ありますが、その中でも特に重要なものを紹介します。これらは、違反や事故が多く発生しやすい場面で判断の基準となり、ドライバーの行動を直接左右するものです。これらの標識・標示の意味と注意点について確認してみましょう。

一時停止 一時停止の標識は見通しの悪い交差点や事故が起きやすい場所に設置されています。一時停止を怠ると、出会い頭事故や死角にいた歩行者等と衝突するおそれがあります。なお、訪日外国人の増加に伴い、2017年からは日本語に加えて英語も併記されるようになりました。
横断歩道または自転車横断帯あり 前方に信号機のない横断歩道・自転車横断帯があることを示しています。この標示を見かけたら、前方に横断歩道・自転車横断帯があることを意識し、周辺の状況を確認するよう心がけましょう。状況に応じて一時停止や減速ができるよう前もって準備することで、歩行者等との接触を避けることができます。
最高速度 最高速度は道路の構造や周囲の環境を考慮して指定されています。その道路に見合った速度が決められているため、これを守らないと重大事故につながる可能性があります。特に、右左折して走行する道路が変わるときには、必ず標識・標示で最高速度を確認する習慣をつけましょう。
一方通行 車両進入禁止 一方通行は狭い道路の入口や高速道路のジャンクション等にあり、その出口には車両進入禁止の標識が設置されています。これらを無視すると逆走することになり大変危険です。ただし、自転車は補助標識で進入が許可されていることもあるので、一方通行の逆側から走行してくる自転車と接触しないよう注意しましょう。
指定方向外進行禁止 交差点や一方通行の出口付近にあり、矢印で示された方向以外には進行してはいけません。また、通学路等では時間を指定する補助標識と一緒に設置されていることも多くあります。無視して進行すると、車や通学中の児童との衝突、または思わぬ進行方向違反になる危険があります。
学校、幼稚園、保育所等あり 付近に学校や幼稚園、保育所等があることを示しています。子どもは予測していない動きをすることもあり、急な飛び出し等に注意しなければいけません。特に登下校の時間帯にはより慎重に運転し、近くに保護者がいない子どもの側を通るときは必ず徐行しましょう。

その他の注意すべき標識・標示

標識・標示には新設されたものや間違えやすいものもあります。見かけたときに慌てないよう、あらかじめ意味をしっかりと理解しておきましょう。

新設された標識・標示

これらの標識・標示は設置されてからまだ年数が浅く、意味を正しく理解していないと戸惑うことがあります。見かけた際に迷わないよう、ポイントを押さえておきましょう。

タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め 許可車両専用
2018年に新設されました。
大雪時に発生する大規模な立ち往生を防ぐことを目的としています。チェーン未装着車の通行を規制する標識であり、スタッドレスタイヤを装着していても通行できないため注意が必要です。
2020年に新設されました。
バスターミナル等の「特定車両停留施設」の入口に設置され、許可を受けた車両以外の進入を制限します。車両進入禁止の標識や、「特定車両専用」と記された補助標識と併設される場合があります。
広域災害応急対策車両専用 進路変更禁止の注意喚起表示
2021年に新設されました。
あらかじめ「防災拠点自動車駐車場」に指定された道の駅やSA/PA等に設置されています。災害時に一般車両の駐車を禁止・制限することで、緊急対応にあたる車両が優先的に使用できるようにするための標識です。
2021年に新設された法定外表示*1です。
この先に進路変更禁止区間があることを事前に知らせる目的で設置されています。黄色い実線(進路変更禁止区間)の約30m手前にあり、この表示がある区間では車線変更が可能です。

間違えやすい標識・標示

形や色が似ている標識・標示でも、意味を取り違えると違反や思わぬ事故につながるおそれがあります。それぞれの違いを正しく理解しておきましょう。

追越し禁止と追越しのための右側部分はみ出し通行禁止 駐車禁止と駐停車禁止 車線数減少と幅員減少
「追越し禁止」の補助標識があるかどうかの違いです。補助標識がある場合は追い越しそのものが禁止されますが、補助標識がない場合は、右側部分にはみ出さなければ追い越しをすることができます。 赤い斜線が駐車禁止で、より強い意味を持つ×印は駐停車禁止です。駐車禁止の場所では人の乗り降りや5分以内の荷物の積み下ろし等、ドライバーがすぐに車を動かせる状態(停車)であれば、止めることができます。 標識内に車線が描かれているかどうかの違いです。車線数減少は車線の数が減ることを示しており、幅員減少はこの先、道路の道幅が狭くなることを示しています。

標識・標示に従って安全に走行すること

標識・標示は、交通の安全と円滑化を図るため、危険な場所や事故の起きやすい道路に設置されています。その意味を正しく理解し、確実に従うことは、安全に運転するだけでなく、法令を守ることにもつながります。走行する道路が変わったときの最高速度、右左折時の進行方向や進入禁止、駐停車の可否等、行動に合わせて標識・標示を意識する習慣を身につけましょう。知らない標識や意味があいまいなものは、そのままにせず、国土交通省の道路標識一覧*2等で確認することが大切です。標識・標示を正しく理解し、守る意識を持つことが、事故防止と安全な交通環境の維持につながります。

今月のクイズの答え